FLYING POSTMAN PRESS

重岡大毅主演、AIを描く映画

作品を通じてどんな人と出会うのか

──航の役作りのためにノートにさまざま書き出していらしたそうですが、それは実際のノートですか? それともノートアプリですか?

重岡 手書きのノートです。

──本作のモチーフとなるAIと対照的で、アナログなスタイルが面白いです。

重岡 確かに正反対ですね。ノートに書くというのはいつもやっていることではなく、今回たまたま。発見でしたね。0から1にしたい何かがある時には、体を動かしながら頭を働かせてみる。やってみて“手書きっていいものだな”と思いましたね。

──どんなことを書いていたんですか。

重岡 “ここの航の心情はこういうことかな”と想像して書き出してみたり。あとは、航ではなく自分だったらどう思うのかを書き出してみたり。“こういうことを書く”と決めていたわけではなくて、とにかく思いついたことを片っ端から文字や絵、記号にして視覚化してみる。自分で自分の頭の中を眺める作業だったというか。誰に見せるわけでもなく、完全に自分だけのものだったので、本当に自由なんですよ。自分の五感を通して何かが飛び出してくるような感じがあって面白かったですね。こうして取材を受けることがあるのでいろいろ思い出しておこうと思って、この前、自分がノートにどんなことを書いていたのか見返してみたんです。面白かったですね。ダーッと文字が並んでいる、その下に線が引いてあるのを見て、“多分、この時何か見つけたんだな”とか思ったり。単純に、ノートに書くという作業を通して“やるべきことはやった”と思えるのもすごく良かった。僕は習慣が自信を作ると思っているので。現場に入る前に“やるべきことはやった”と思えることが、僕にとっては大事なんです。

──最初にお話しされた通りで、本作の物語はどんどん展開していきますし、謎解き要素もちりばめられています。全体を見て各シーンを計算して演じていく、ということもありましたか。

重岡 確かにそこは難しいところでした。でも、いろいろと考えてみた結果、その時々で自分が思っていることを素直にやってみようと。そこに行き着きました。というのも、あらかじめ計算して決め込んで演じても、うまくいかないことが多いので。また、僕がやってみたことがダメだったら、監督が言ってくれると信じていますし。事前にノートにいろいろと書き込んではみたものの、現場で本番を迎える時にはその全部を捨てる。そういう感じになりました。

──今回の現場でも、さじ加減は近藤亮太監督に任せたと。

重岡 そうです。僕の演技に“ん?”と思った時には、監督から来てくれるので。また監督がクランクイン前に言ってくれた言葉にも助けられました。物語の内容が内容なだけに、撮影前に追い込まれてしまって。あのまま行けば、終始重たい台詞運びになりそうだった。でも監督が、「人間は適応するものだから。妹としゃべる時もずっと思い詰めた感じではなくて、朝ごはんを食べながらしゃべっているみたいに、日常の会話の感じで展開していってもいいんじゃないか」と。その演出の言葉をもらって、だいぶ楽になりました。

──ご自身にとって本作の経験はどんなものになりましたか。

重岡 「この作品をどこかの映画祭に出品できたらいいね」と話していたんです。だから、プチョン(※第30回プチョン国際ファンタスティック映画祭)に行けたのは嬉しかったですね。この作品でやりたいことがまさに叶った瞬間でした。僕はこれまで映画祭に行ったことがなくて、今回が初めてだったんです。実際に行ってみたら、映画祭というものにより興味が湧いてきた。また映画祭に行くためにはどうしたらいいのかと、そんなふうに考えるきっかけを与えてもらいました。

──今後、俳優としてめざすところは?

重岡 究極、作品を通じてどんな人と出会うか、だと思っています。例えば、今回の作品ってオリジナルじゃないですか。オリジナル作品を形にできるということ自体、今、本当にすごいことなんです。その背景には、いろんな人たちの作品への熱い思いがあると思っていて。その熱量に巻き込まれるのが楽しいし、そういう熱量がある作品に出たいというのはひとつありますね。もっと言うと、自分の熱量にも人を巻き込んでみたい。あと、“こういう役をやりたい”というのはほぼないんですけど、僕はボクシングが好きなので。公私混同ですけど、ボクサーの役だけは一度やってみたいですね。

──どんな魅力を持った映画になったと思いますか。

重岡 試写で観たんですけど、やっぱり、自分の演技が気になって気になって仕方ないものなんです。難しい、客観視(笑)。多分、日常的にAIを使っていて何か思うところがある、という人がたくさん観に来てくださると思うんです。そういう人たちにとって何かしらのヒントになるような映画になっていればいいなと思いますね。自分はAIとどう向き合えばいいか、AIと人間はどうあるべきか。そういうことを見つめられる作品であればいいなと思うんですけど……、あとはもう、観てくださるみなさんにお任せします。


重岡大毅(しげおか だいき)

1992年、兵庫県出身。WEST.のメンバーとして活躍するほか、俳優業も行う。俳優業の近作に映画『ある閉ざされた雪の山荘で』(2024)、『35年目のラブレター』(2025)、『ラブ≠コメディ』(2026)、ドラマ『それってパクリじゃないですか?』、『単身花日』(いずれも2023)などがある

『5秒で完全犯罪を生成する方法』

https://gaga.ne.jp/5byodeseisei/

2026年/日本/107分

監督 近藤亮太
原案・脚本・プロデュース 岡田道尚
出演 重岡大毅 原 菜乃華 田中みな実 伊藤 歩 石丸幹二 ほか
配給 ギャガ

※9月11日(金)より全国公開

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