FLYING POSTMAN PRESS

重岡大毅主演、AIを描く映画

重岡大毅が生成AIにすべてを託す主人公に
映画『5秒で完全犯罪を生成する方法』
“アナログ”な役作りと俳優業への思い

 重岡大毅が主演を務める映画『5秒で完全犯罪を生成する方法』が9月11日(金)より公開される。原案・脚本・プロデュースは、映画『マスカレード・ ホテル』シリーズ(2019~)や、『#マンホール』(2023)など、ミステリーやサスペンス作品に定評のある岡田道尚。監督は『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』(2025)で商業映画監督デビューを果たし、その新しいホラー表現に注目が集まる近藤亮太。物語のモチーフは、現代人の生活に広く浸透した生成AIだ。人を殺してしまった妹を守るため、兄は生成AIのプロントに『完全犯罪を成立させる方法を考えて下さい』と打ち込む。「そんなことありえない」と言いきれないのが恐ろしい、ありえてしまう“完全犯罪サスペンス”が誕生。主演を務めた重岡大毅に話を聞いた。

取材・文:佐藤ちほ



気になることを、役を通じて掘り下げる

──映画『5秒で完全犯罪を生成する方法』の初海航役のオファーを受け、初めて脚本を読んだ際にはどんなことを感じましたか。

重岡 台本を読む前から“これはやるんだろうな”という感覚があったんです。というのも、ギャガの方だったり、岡田(道尚)さんだったり、以前お仕事をご一緒させてもらった方々がかかわっている作品だったので。また、ちょうどこの作品の台本をもらった頃、僕はAIに興味を持ち始めていたんです。自分自身が気になっていることを、映画の役を通じて深く掘っていくことができるかもしれない。そんな感覚で台本を読み始めたんですけど、これが衝撃的で。ページをめくるたびに展開が変わり、最後までまったく飽きなかった。これは面白いエンタメになると、ぜひ出演したいと思いました。

──AIに興味をお持ちということですが、日常的に使いますか。

重岡 課金ユーザーです。ほんまに日常的に使っていますね。ニュースサイトを開くのと同じ感覚で、気になることがあれば生成AIを使って調べたり、生成AIに相談したりしています。例えば、『何分後に車でこの場所に行くんだけど、道中でおいしい店ある?』とか、『朝ごはんはこんなものを食べているんだけど、もっと食べたほうがいいかな?』とか聞いてみたり。

──生成AIはご自身にとってなくてはならないものですか。

重岡 “なくてはならない”までなってしまうとヤバいと思っているので、自分でセーブしながら使っています。

──重岡さんが演じた航は生成AIのヘビーユーザーです。映画の冒頭では、人を殺してしまった妹を守るため、生成AIのプロンプトに『完全犯罪を成立させる方法を考えて下さい』と打ち込みます。

重岡 あの状況、僕だったら警察に通報するだろうなと思います。ただ、大切な妹を守りたいという、その気持ちはわかります。僕には妹はいないけど姉がいて、姉に何かあったらと思うと、ね。やっぱり家族ですから、それは“守らなきゃ”となると思うんです。そういう、きょうだいの絆みたいなものはわかる。ただ、航は航なりの守り方をしていて、そこは自分とは違う。その間を埋めていく作業が結構大変でした。

──本作を手がけた松下剛プロデューサーは重岡さんについて、「重岡さんの持つ二面性に惹かれていました」とコメントされています。

重岡 それ本当によく言われるんです。「笑っていても目の奥が笑っていないよね」とか(笑)。そう言えば、昔ゲッターズ飯田さんに手相を見てもらった時、「二重感情線がある」と言われました。最近も(藤井)流星づてに、とあるスタッフさんが僕のことを褒めてくれていたと聞きまして。どういう褒め言葉だったのか聞いてみたら、「あいつはバカなふりしているけど、なかなかのキレ者だ」って。いや、俺、別にバカなふりしていないしなって思ったんですけど(笑)。

──自覚はないと(笑)。

重岡 どうなんでしょうね。でも多分、二面性どころじゃないのかもしれない。例えば、地元のツレとおる時、メンバーとおる時、家族とおる時、それぞれキャラクターは違うと思いますし。

──WEST.のメンバーとしての本業と、俳優業。芸能活動においても、さまざまな顔を持っていらっしゃる印象があります。ご自身にとって、俳優として過ごす時間にはどんな意味合いがありますか。

重岡 今、本業と言っていただきましたが、自分の中で本業はなんだろうと考えると、確かにやっぱり音楽なんです。ステージにいたいという思いが強くある。でも、音楽1本でやっていると、どこか息が詰まるような瞬間もあって。ただ、それは逆も然りで。そういう意味では、音楽業に重心をかけている時は俳優業が息抜きになり、俳優業に力を入れている時は音楽業が息抜きになっているところがあるのかもしれない。どちらもやらせていただけていることが、本当にありがたいです。ただ、今こうして音楽業と俳優業を別々のものとして話しましたけど、実際のところあまり分かれている気はしなくて。僕は“横に繋げていくこと”が大事だと思っています。お芝居する時に音楽のライブっぽい感覚を持ち込んでみたりと、培った技術や経験を横に繋げていく。結果、その人のオリジナリティみたいなものが生まれると思うんですよね。

──その逆で、俳優業で培ったものを音楽業のほうに持ち込むこともあるわけですよね?

重岡 ありますね。俳優として台詞をしゃべるような感覚で歌詞を口にしてみたりとか。いろいろと作用し合っています。あとシンプルに、俳優業をやることで僕を知らなかった人たちにも知ってもらえるというのは大きいです。スマホとかを使っていると、どうしてもアルゴリズムに左右されるものじゃないですか。普段から自分が興味を持っていることだけが出てきてしまう。俳優をやることで、音楽をやる僕にまったく興味がなかった人たちにもリーチできる。アルゴリズムの外側に行けるというか。逆も然りです。