SPECIAL ISSUEMUSIC
デビュー10周年のiri初のエッセイ
この歌が誰かの支えになれたら
──コロナ禍の後、ここ数年はパニック発作を抱えて精神的に苦しかったということも書かれていました。かつてアルバム『neon』の制作後、「制作がつらかった」とおっしゃっているのを拝見しましたが、それもこうした背景があったのかと今回初めて知りました。
iri そこは書くか書かないかかなり時間をかけて悩んだところだったのですが、これまでもリアルに自分のことを歌詞に綴ってきたので、自分の作品と日常で起きていることを切り離して話すことはやっぱり難しくて。それに、同じような症状を抱えて、どう向き合って克服していけばいいかわからない人も多いと思うんです。私もそうで、私の場合はIKKOさんがYouTubeでパニック発作について語られている動画を見て、すごく勇気づけられたんです。だから今同じような思いをされている方にとって、少しでも救いになればいいなという気持ちもありました。

──YouTubeを見つけられたのは、やはり何かヒントを探そうとされていたのでしょうか
iri そうですね。変わらずお仕事はしていたので、どうにかこの症状を楽にしなきゃと思って、その方法を探していました。その後、IKKOさんにSNSでメッセージを送らせていただいたら、「必ず治るから大丈夫よ」と長文のメッセージをくださったんです。その後もファンクラブの企画でサプライズ動画を送ってくださったり、とても気にかけてくださって。こうしたことからも安心をひとつ手に入れられる気がするので、今回私のことも書くことにしたという経緯がありました。
──そうだったんですね。救われる人はたくさんいると思いますし、iriさんの歌に潜む優しさの理由が見えたようにも思いました。過去を振り返ることで、“歌う意味”を見つめ直すきっかけになったところもありますか?
iri そうですね。私は小学生の頃は、本にも書いたのですが、カウンセラーになりたかったんです。自分自身がスクールカウンセラーの先生にすごく助けられたので、自分も誰かの心を支えられるような仕事をしたいと思っていて。それと同時に、歌うこともすごく好きだったから、音楽にもすごく支えられたし、自分の居場所を作ってくれたものでもありました。だからその夢を歌を通じて実現しようとしているのかなと思います。ただ、歌うことについては、実は先日、幼稚園のお遊戯会の映像を見たのですが、その中で私ひとりだけ、めちゃくちゃ大きい口を開けて、大きい声で、とても集中して歌っていたんです。時折笑ったりしてすごく楽しそうで、自分でも衝撃を受けました(笑)。
──そんなに前のめりだったんですね、かわいい。
iri 本当に(笑)。だから私は子どもの頃からやっぱり歌うことで自分をアウトプットするのが自然なことで、何かを表現するとかじゃなく、もう会話みたいな感じだったんだなと思いました。
