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デビュー10周年のiri初のエッセイ

“iriの始まり”から現在までを綴った 初のエッセイ『相反』
2026年10月22日にデビュー10周年を迎える、シンガーソングライター・iriが、初のエッセイ本『相反』(そうはん)を発売。歌詞以外で言葉を綴るのは初めてというiriの幼少期から現在までの記録は、都会的でミステリアスな雰囲気を纏いながらも、どこか泥臭く優しく寄りそうiriの楽曲の秘密を覗くようでもある。
こんな環境で育ってきたのか、こんな人たちと出会い、音楽の道を進んできたのか。こんな気持ちで日々の生活と向き合っているのか。ミステリアスなベールが少しずつ剥がれながらも、顔を出すのは、やはりiri。“知れてよかった”という安堵とともに、また楽曲が聴きたくなる一冊だ。
写真:信岡麻美 取材・文:俵本美奈
“iriの始まり”の部分が見えてきた
──先ほど完成したばかりの本を見せていただきました。サイズ感も手の中の収まりがよく、ずっとそばに置いておきたくなるような装丁ですね。
iri ありがとうございます。サイズ感だったり写真の質感にはこだわりました。途中途中で曲のエッセイを遊び心として入れてみたり。私も完成した本を手にして、紙であらためてゆっくり読みたいなと思っているところです。
──初のエッセイ本となりますが、どんな気持ちで取り組まれましたか。
iri 初めてのことですし、私はこれまでインタビューでも自分のことを話したり曲のことを説明することもあまり好きではなく、歌詞を書く以外で何か文字を残したり自分のことを伝えるということをほとんどしてこなかったので、こうして本で伝えられるのは素直に嬉しいなと思いました。

──これまで自分のために言葉を書くこともされていなかったですか? たとえば日記を残すとか。
iri 日記は何度かトライしたことはあったのですが、2日くらいで止まっていました(笑)。過去のことを書き溜めておくこともそうですし、私は歌詞を書き溜めておくこともしないんです。曲の中ではその時々の自分のリアルな気持ちや考え方を歌詞にして伝えていますが、これまでは音に導かれて言葉が出てくる感じだったので、今回の本では、音を通さずにダイレクトに言葉にすることができたと思っています。
──ご自身の幼少期からこれまでのことが言葉になって可視化されたことで、見えてきたことはありますか?
iri 過去を見返すことで、どうして自分はあの時これができなかったんだろうとか、どうしてあの時こちらの選択肢に進んだんだろうということの理由が見えてきました。デビューしてから10年、ある意味、“アーティストiri”として生きてきたので、その前はどんな人物だったっけというところが見えてきて。どうして音楽を好きになったのかとか、どんなものに惹かれて音楽を始めたのかとか、始まりの部分に気づけたことは、自分でもとても面白かったです。
──私も読んでいて“そうだったんだ”の連続でしたが、iriさんも“面白かった”なんですね。
iri 自分のことなんだけど、何かこうちょっと一歩引いて観察しているような感覚がありました。今iriの楽曲を楽しんでくださっている方々は、きっとiriを別の角度から見てくださっていると思うから、実はiriはこんなふうに、デビュー前はこんな思いで音楽を志していたんだというのが伝えられたかなと思います。
──iriさんの音楽は洗練された都会的なイメージも大きいから、こんなに人と人の距離感の近いところでiriさんの音楽が始まっていたことに驚きもありましたし、同時に腑に落ちたところでもありました。
iri 私もこの本を書き終えて最後に読み返した時に、自分に関わってくださった一人ひとりの言葉や、背中を押してくれた出来事が、全部今に繋がっていて、これらの出会いがあったから次のステージに進んでいくことができたんだなと感じることができて、感動しました。
