FLYING POSTMAN PRESS

西島秀俊主演映画『時には懺悔を』

こんなふうにカメラの前でいられたら

──佐竹が出会う、重い障がいのある少年・新役のしんすけさんをはじめ、本作には総勢20名以上のスペシャルニーズのみなさんがキャストとして参加されています。共演の感想を聞かせてください。

西島 スペシャルニーズの出演者のご家族のみなさんと初めてお会いした時、「俳優として接してください。やりたいことは遠慮しないでください。“これどうかな…?”ということがあったら私たちに言ってください。やる前から自分でストップをかけないでください」と言っていただいたんです。確かにその通りだとご家族の言葉を受け止め、撮影に臨みました。実際、子どもたちの演技は本当に感動的でした。新役のしんすけ君は本番になると時々笑うんです。本番に向けてみんなが集中して高揚していっているのを感じ取っていたんでしょう。ほかのスペシャルニーズの子どもたちの演技も素晴らしかった。でも、それは“カメラの前でこんなことをしてやろう”というものではないんです。本当にその瞬間に自然に出た演技で、見ていてとても感動的でした。こんなふうにカメラの前でいられたらと、心の底から思いました。意図せず、演じる役や物語に求められる存在そのものになっている。そういうことを彼らは自然にできていて、非常に感銘を受ける瞬間がたくさんありました。

──佐竹として新と向き合い、思いがけないものが溢れ出るといったこともあったのでしょうか。

西島 基本的に佐竹は何も感じていない人ですが、心の奥底には柔らかい部分があり、この物語を通して、その柔らかい部分に光が届いていきます。それは、満島(ひかり)さんが演じた聡子の行動からの影響もありましたし、もちろん、しんすけ君が演じた新からの影響も大きかったと思います。佐竹は、新と触れ合うことで大きく変わっていきました。佐竹を通して、僕自身が感じたものが表に出たということでもあったのではないかと思います。スペシャルニーズの出演者のみなさんとの撮影は、僕にとって本当に楽しく、そして豊かで素晴らしい体験となりました。