CINEMASPECIAL ISSUE
照屋年之監督映画『かなさんどー』
辛い時や寂しい時にエンタメに救われた
──映画監督デビューは2006年ですから、約20年続けてこられた。当初、こんなに続くと思っていましたか。
照屋 思わない思わない。1本目の短編を作り終わった時、“こんなにきついのはもう絶対に嫌だ。割に合わない”って思いましたから。いまだに割に合わないと思っています。監督業だけでは生活ができないですから。僕はガレッジセールとしての仕事があるから生活ができていますけど、専業監督さんたちは本当にきついと思います。脚本作りから、相当の時間をかけるわけです。それなのにこのギャラかと正直思います。
──それほどきついのに、やめられないわけですよね。
照屋 そうなんですよ。映画作りは合法ドラッグですよ。やめられないんです。それにしても、ここまでよく続けてきたなと思いますね。誰にも注目されていなかったのに。
──いや、注目しています(笑)。
照屋 いやいや、短編を撮っていた最初の頃なんて誰にも知られていなかったですから。ほとんどの人の目に触れないものをよく作り続けたなと。そこは自分を褒めてあげたいです。正直、自分が短編を撮り続けていることをもっと知られたかったですし、長編を撮るチャンスももっと欲しかったです。でも、地味にでも短編を撮り続けたからこそ力がついて『洗骨』(2018)を撮ることができた。『洗骨』があったからこそ今回の『かなさんどー』も作れた。続けてきて良かったなと本当に思いますね。
──最も影響を受けた映画監督も聞かせてください。
照屋 実は僕、映画監督を語れるほど映画を観ていないんです。普通に『インディ・ジョーンズ』シリーズ(1981〜2023)とか、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ(1985〜1990)とかには影響を受けていると思います。あとは、ジャッキー・チェンの映画かな。ジャッキー・チェンの映画にはアクションとコメディ、悪に立ち向かうという物語の展開含め、エンタメの要素が詰まっている。ジャッキー・チェンの影響は大きいかもしれないですね。作品で言ったら、『洗骨』は『リトル・ミス・サンシャイン』(2006)に影響を受けて作ったものです。『ファミリー・ツリー』(2011)にも影響を受けていますね。“笑えるんだけど最後ジーンとくる”という作りが基本的に好きなんです。重い映画があまり好きじゃない。みんな現実でいろいろと大変な思いをしているわけだから、映画を観ている間ぐらいはあたたかい気持ちになってもらいたい。僕はそういう映画を作りたいんです。
──ご自身にとって映画の魅力はそういったものなんですね。
照屋 映画というか、エンタメというものを僕はそう考えているのかもしれない。僕自身がつらい時や寂しい時にエンタメに救われてきましたから。今は僕が提供する側になれたわけですから。世の中には何かを抱えている人たちがいっぱいいると思うんですね。そういう人たちの背中を押すのか、なでてあげるのかはわかりませんが、僕の映画でそういうことができたらなと思っています。
──『かなさんどー』もまさにあたたかい気持ちになれる映画です。
照屋 そうなっていたらいいなぁと思います。映画を観た後はそれぞれの大切な人に会いにいってほしいなと思いますね。
照屋年之(てるや としゆき)
1972年生まれ、沖縄県出身。1995年にお笑いコンビ・ガレッジセールを結成、2006年に映画監督のキャリアをスタート。主な監督作に映画『南の島のフリムン』(2009)、『洗骨』(2018)。脚本を担当したニッポン放送開局70周年記念ラジオドラマ『マミーロード』が3月4日(火)に放送される
映画『かなさんどー』
2024年/日本/86分
監督・脚本 | 照屋年之 |
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出演 | 松田るか 堀内敬子 浅野忠信 ほか |
配給 | PARCO |
※1月31日(金)より沖縄先行公開、2月21日(金)より全国公開
Ⓒ「かなさんどー」製作委員会
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