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JUVENILE×キム・ドギュン(82MAJOR)
JUVENILEグローバルプロジェクト 第1弾はキム・ドギュン(82MAJOR)
「From Tokyo To The World」を掲げ、JUVENILE Worldとも言うべき独自のシティ・ミュージックを発信し続けるDJ/アーティスト、音楽プロデューサーのJUVENILEが、2025年より本格的にグローバルプロジェクトを始動。コラボ第1弾は、K-POP界の注目の新星・82MAJORのメインボーカル、キム・ドギュンを迎え、切ないラブバラード『Letter feat. Kim Do Gyun(82MAJOR)』を1月24日に配信リリースする。
JUVENILEとキム・ドギュン、世代を超えたコラボは互いに刺激的だったようで、プロのアーティストとしてリスペクトし合う様子がとても印象的。作品制作に向かう姿勢、集中力の話など、次々と飛び出すエピソードから、ふたりのレベルの高さが伺える。ぜひ制作背景を想像しながら聴いてほしい。
取材・文:俵本美奈
「JUVENILEさんは仕事が速い!」
──今回、海外に向けたグローバルプロジェクトの第1弾として82MAJORのキム・ドギュンさんとともに発表されますが、まずはこちらのプロジェクトへの思いを聞かせてください。
JUVENILE これまでも海外の方と一緒にしたことはあるのですが、今回のグローバルプロジェクトは、言葉の垣根をなくしたいという思いから、韓国語で書いてもらった歌詞を僕が日本語に直して出したことが大きくて。音楽に国境の壁はないですが、言葉にはやはり壁があるので、そこが難しさでもあり、面白さでもありました。82MAJORのドギュンくんを日本人に知ってもらったり、ドギュンくんのことが好きな韓国の方に日本語っていいなと思ってもらえたらうれしいなと思っています。第2弾は英語で作るかもしれないし、今後は捉われずにやっていきたいと思っています。
──その第1弾としてリリースされるのが、『Letter feat. Kim Do Gyun (82MAJOR)』です。
JUVENILE これは冬の失恋ソングです。曲調はR&Bですが、今っぽい感じになっていると思います。僕がメロディを作ってお渡しして、ドギュンくんから10日ほどで韓国語の歌詞が返ってきました。それを訳したままでは文章になってしまうので、ドギュンくんの中でその言葉が生まれた最初のイメージまで辿り、僕が日本語の歌詞にしました。
──ドギュンさんはどのような思いで歌詞を書かれましたか?
キム・ドギュン JUVENILEさんからメロディをいただいた時に、ひとりの男性がポツンと残されて寂しい思いをしている絵が思い浮かんだんです。そのイメージから歌詞を書きました。聴くといろんなことを考え、共感できる曲だと思います。メロディを聴いた時から絵が浮かぶほど自分の気持ちを表現できる曲だったので、歌う時も自分の感情をそのまま乗せて歌いました。
──レコーディングにあたって、JUVENILEさんから何かリクエストはされましたか?
JUVENILE 僕が声をかけるのは、日本語の発音くらいでした。それ以外、細かいことはあまり言っていなくて。一度歌ってもらって、それがドギュンくんとしてはどうだったのかを聞きました。「もう1回歌いたいです」と言われた時は、次の歌を聴けばここをこう直して歌ってきたんだなというのがすぐわかりましたし、そのやりとりの中でプロ意識が感じられて、さすがだなと思いました。
──一緒に制作される中で、ドギュンさんの印象に変化はありましたか?
JUVENILE 今回の話が決まる前に2回ほど韓国で82MAJORのライブを観せていただいたのですが、パフォーマンスのレベルが高く、ここに立つにはどうした積み重ねが必要かという背景は容易に想像できました。実際一緒に仕事をしてみると、音楽的な細かいニュアンスに気づき、それを体現できるフィジカルのスキルがあって、こちらがほしいもの、それ以上が返ってくる。高いレベルにいないと見えないことがいろんな場面にあって、やっぱりそりゃそうだよなという感じがありました。
ドギュン 恥ずかしいです(笑)。今回ありがたいことにとても良い曲をいただいたので、きちんと表現しなければという責任を感じました。曲の構成すべての箇所に対してどう表現するかたくさん悩みました。
──レコーディングまでにかなり準備されたのでしょうか。
ドギュン 僕はいつもレコーディングまでにすべて完璧に準備して、レコーディングでは自分が準備したものを調整してもらうようにしています。82MAJORでも、ライブ前はステージ上のすべての動線と振り付けの細かいところまで確認して、完璧にしておくというのはメンバー全員がやっていることなので、自分にとっては身についた習慣のようになっています。
──ドギュンさんはJUVENILEさんと一緒に制作して何を感じましたか?
ドギュン まず一番感じたことは、JUVENILEさんはとにかく“仕事が速い”ということでした。スーパー速い! そして本当に“音楽を愛している”こと。韓国で僕たち82MAJORのライブが終わって、「こういう曲を作りたいね」などふたりで話した時に、JUVENILEさんの目がすごく輝いていて、音楽への愛が僕にも伝わってきました。
JUVENILE 僕も質が高いことができそうだなと思うと純粋にうれしくて。かなり年下なのですが、リスペクトですね。自信もあるし、中身もある。僕が18歳の頃なんて根拠のない自信だけでしたから。仕事は僕も速い自覚があるんです。それはたぶん集中力だと思います。作業していて気づいたら夜中ということもよくあって、集中力って、はじめよりも終わりにかけて高まるので、夜中が一番集中しているんだけど、体力的に限界だからやめるということが多いです。
ドギュン それはすごくよくわかります。あと、レコーディングの時には僕をリラックスさせてくれました。
──レコーディング時には何か意識されたのですか?
JUVENILE 僕もレコーディングのブースの中に入ることがあるんですが、分厚いガラスで隔たれていて、向こう側の声がまったく聞こえないんです。ボタンを押して話す時だけ、向こうの声がヘッドフォンから聞こえるという状態で。「ちょっと待って」と言われて、向こうでみんなが怖い顔で話していていると不安になるんです。それで何かあるのかと思っていたら、「はい、OKです〜」と言われたりして。なんだったんだろうっていう(笑)。だから今回はなるだけボタンを押し続けて、こちら側の会話が中のドギュンくんにも聞こえるようにしていました。
ドギュン 会話を聞かせてもらいながら行うレコーディグは初めてでしたが、こんなに順調にいくんだと驚きました。
JUVENILE どちらも良さはあると思うんです。細かいことまで伝えて迷わせてしまうこともあるので、決まったことだけを伝える良さもあると思うんですが、お互い一緒にするのが初めてだったので、なるべく透明化した方がいいなと思いました。あの中って本当に静かで孤独なんです(笑)