FLYING POSTMAN PRESS

「OTO MART」仕掛け人に聞く

Mashinomiと小板橋瑛斗に聞く
「OTO MART」が広げる音楽の可能性

 GWより東京・渋谷で開催されている「OTO MART(オトマート)」は、まったく新しい手法で音を楽しむことのできる、“「いい音」のスーパーマーケット”。手がけたのは、NTTドコモ・スタジオ&ライブと、数々の体験型展示に定評のあるCHOCOLATE Inc.。クリエイティブディレクターを務めるのは、CHOCOLATE所属のMashinomiと小板橋瑛斗だ。

 会場にはあらゆる楽器の音や動物の鳴き声、生活音まで、世界中から集めた500種類以上の音が展示され、来場者が気になる音を自身のスマホで読み取り、自由に組み合わせて再生すれば自分だけの音楽が完成する。音楽の知識ゼロでも感覚的にオリジナルの音楽が作れ、プロであればさらにマニアックな楽しみ方ができるという点も面白い。

 この企画展の背景にはどんな思いがあり、どんな準備を積み重ねてきたのか。仕掛け人のMashinomiと小板橋氏に話を聞いた。東京・渋谷「PLAT SHIBUYA」にて5月17日(日)まで開催中のOTO MARTを、ぜひ滑り込みで体験してみてほしい。

取材・文/俵本美奈



アイデア次第で楽しさが広がっていく

──開催が始まり、来場者の反響に今どんなことを感じていますか?

Mashinomi 始まるまでは実際どのくらいの速度で遊び方を理解してくださるんだろうと心配していたところもあって、補助用の解説を作ったりもしていたのですが、みなさんがとても直感的に遊んでくださっていて、友だち同士でいらっしゃる方もカップルの方も、お子さんも、会場に入ってすぐから「あれだ、これだ」と盛り上がって、音を聴かせ合ったり、会場を何周もしたりしてくださっていて。

小板橋 遊び方も、音楽を作るという以外に、台詞の音同士を組み合わせてシチュエーションを作ったり、ピンクのジャケットの音ばかりを集めてみたり、我々が想定していなかった遊びを発見してくださっていて、みなさんの投稿を見ながらすごくうれしい気持ちになっています。

──お客さんのアイデアで、楽しさが自由に広がっているんですね。

Mashinomi 例えば「明日友だちの結婚式があるので、友だちに贈る曲を作りました」という方がいたり、友だち同士でLINEに音楽を送り合ってお互いの曲を聴いて楽しんでいたり、みなさんの創造性が想定以上で、“そんな楽しみ方もあるのか”と、私はずっと拍手を送りながら喜んでいます(笑)。私たちも音の組み合わせはほぼ試し尽くしただろうというくらいやってきたと思っていたのですが、全然やり尽くしていないんだと思って。もう、一生終わらない! って。

──沼過ぎる! というのはお客さんも同じ感覚ですよね。

小板橋 いただく声の中でいちばん多いのが、「何時間でもいられる」というものなんです。

Mashinomi 集めた音を一斉に再生して聴くだけではなく、こっちの音を流してこっちをオフにして、とか各音のオンオフをしながら演奏できる機能もあるので、極めていくと次の沼に入っていくというところもあると思います。

──これだけポップに誰でも遊べて、一方でマニアックに楽しめる仕組みも兼ね備えていて、シンプルながらも奥深く設計されているんですね。

小板橋 ずっとチームで目指してきたのは、“子どもとアーティストが一緒に楽しめる遊びを作る”ことでした。子どもでも直感的に集めるだけで自分だけの音楽が楽しめて、一方で、アーティストなど日頃音楽を作られている方が遊んでも独創性やクリエイティビティを反映しやすく、もっと極めて自分だけにしか作れないものを作りたいという気持ちを掻き立てられる。その両面を叶えられる仕組みを作るということを目標にしてきました。だから今、無邪気に遊んでいる子どもの隣で、凝って演奏まで楽しむ方が同じ会場にいるというのはとてもうれしいことです。