FLYING POSTMAN PRESS

クリエイターを繋ぐ対談連載CREATOR × CREATOR

異なるフィールドで活躍する若手クリエイターふたりがモノ作りの楽しさや面白さ、大事にしていることなどを語り合う本連載。第25回のゲストは、往年のハードウェアシンセサイザーや音源モジュールを用いるDTMユニット“パソコン音楽クラブ”の柴田碧×北海道札幌市発のニューウェーヴ・テクノポップ・バンド“LAUSBUB”の岩井莉子。

Vol.25ミュージシャン・柴田碧(パソコン音楽クラブ) × ミュージシャン・岩井莉子(LAUSBUB)

  • 柴田 碧
  • 岩井莉子

「身の周りに溢れているものは音楽にコンバートできる」(柴田)
「音楽を昇華する時に、聴く体験と作る体験がセットになっている」(岩井)

パソコン音楽クラブの最新作『FINE LINE』を聴いて、岩井さんが感じたことは?

岩井「前作・前々作より歌モノの比率が高くなってて、しかもそれぞれが渾身の1曲じゃないですか。ちゃんとインストもやりつつ歌モノを出すことにこだわりを感じるんですけど、そうなったきっかけがあれば教えていただきたいです」

柴田「『イルボン2000』を聴き過ぎて、歌モノとインストの境界線がなくなっているのが大きいんですよね。世の中的には歌とインストって明確に分けられているけど、自分の心持ち的には違いがないから、並列に扱ってアルバムを作っているのかなと思います」

岩井「TB-303(※ローランドのシンセサイザー)も歌いますもんね」

柴田「そうそう。例えば『スキャットマン』ってスキャットマン・ジョンがベラベラ歌ってますけど、そのフィーリングと303のビヨビヨという音の感じって実は変わらないんじゃないかって思ったことがあって…“人に伝わらなくても自分がやりたいことをやる”というのはそういう意味ですね。捉え方は世の中的に間違っているかもしれないけど、俺がこう思うならやったろうみたいな」

岩井「おっしゃる通りです」

柴田「僕たちの音楽は箱庭的というか、ミニチュアみたいに好きな要素を組み立てていく感じなんですけど、LAUSBUBってすごく大きな音楽を作っているなと思ってて。ライブを見た時に広大な場所を感じさせる音楽だったのが印象に残ってるんですが、そういうスケール感って意識されてますか?」

岩井「ほとんど何もない雪原を見ながら曲を作ったりチェックしたりすることもあって。その目の前が開けている感じが音楽に影響しているのかもしれないです。あとは最近ビョークのライブを観て、大きい空間で鳴るような音楽が私は好きだなと改めて思いました。エレクトロのライブで私が一番聴きたい音は何だろうって考えながら作ったら、ああいう感じになったんだと思います」

柴田「なるほど、すごいね。北海道が関係あるか聞くのはステレオタイプっぽいなと思って避けたんですけど、やっぱり関係ゼロではなさそうですね」

今回はおふたりのさまざまな共通点を感じましたが、今後共演も期待できそうですか?

柴田「ユニットを組んで、人が全然来ないところでライブをやってみたいですね(笑)。そういうのが意外と面白いので」

岩井「今度柴田さんがソロで札幌に来られるんですが、そこに私も出演するので何かできたらうれしいです」

柴田「知人の誕生日会に出演するんですけど、そういうのも好きなんです。そこで何かできたら面白いし、別の機会でも一緒にやれたら楽しそうですね」