FLYING POSTMAN PRESS

クリエイターを繋ぐ対談連載CREATOR × CREATOR

異なるフィールドで活躍する若手クリエイターふたりがモノ作りの楽しさや面白さ、大事にしていることなどを語り合う本連載。第12回のゲストは、GANG PARADE脱退後、振付師として活動するカミヤサキ×水曜日のカンパネラの2代目ボーカリスト・詩羽。

Vol.12振付師・カミヤサキ × アーティスト・詩羽(水曜日のカンパネラ)

  • カミヤサキ
  • 詩羽

「好きなものに素直になること。そのシンプルさに気付いたら自由になれた」(カミヤサキ)

今のお仕事を始めたきっかけを教えてください。

カミヤサキ「以前在籍していたグループで振り付けをすることもあったんですが、“振付師”を意識したのは、トレードでBiSに加入した時。自分の振りを表現してくれるメンバーやファンの様子を見てとても感動したんです。自分の振り付けが作品として形になることに。そこからこれをお仕事にしてもいいかなって思ったのが最初のきっかけです」

事務所を辞めるのは勇気がいったのでは?

カミヤサキ「1年くらいすごく悩みました。でも、昔は赤い炎だったものがどんどん消えてしまう気がして焦ったり、新しく入ってくる子たちがすごくキラキラして見えたり。このまま事務所にいれば安定かもしれないけど、甘い蜜だけ吸って生きてる気がして。一度ゼロになって生きる希望を取り戻そう、腐らない人生を始めよう、と思ったんです。今ではわかるんですけどね。それは別方向へベクトルが向いてる、その焼け跡にまた新しい草が生えてくるよって」

詩羽さんは?

詩羽「高校を卒業してから、フリーランスのモデルを1年半ぐらいしてた時期がありました。学生時代にいろいろあったからこそ、今の自分にできることを試行錯誤しながら。自分で写真を撮ったり、モデルとして写真を撮られる中で、自分が伝えたいことが明確になってきたんです。それが自己肯定感。私自身も自分を認められない時期があったからこそ、“あなたは正解だよ。そして私も正解だよね”ってことをインスタで発信してました。その頃に、水曜日のカンパネラのプロデューサーさんから連絡が来たんです」

ボーカルのお話が出た時は?

詩羽「“ぜひやります!”って即答。その時は深く考えてなかったんですが、その日家に帰って落ち着いて考えてみたら、自分が想像していたよりも今回のお話が大きいことに気付いちゃって。そこで初めてプレッシャーを感じました(笑)」

考え過ぎない方がいいですよね。

詩羽「そう思います。もともと考えてから進むというより、やってみて失敗したらそれはそれ。“やってみないとわかんないじゃん精神”が私には備わっているみたいです」

おふたりはビジュアルも個性的で、自分の好きな世界観が伝わってきます。

カミヤサキ「メイクの存在は大きいですね。化粧をしないと目が覚めないし、頭も働かないぐらい。踊ってる時、鏡に映る自分がスッピンだと覚めるんですよね。何やってんだよって(笑)。さっきの詩羽さんの自己肯定感のお話に共感するし、繋がると思うんですが、自分が好きなものを好きって認めることができない人はいっぱいいると思う。私自身も最近までそうでした。事務所を辞めてから出会った友だちは、なんの躊躇もなく自分の好きな世界観を表現してる子が多くて。そういうのを見てたら、“好きなものに素直になればいいんだ”っていう、すごくシンプルなことに気が付いたんです。そこからはより自分のメイクやファッション、ヘアスタイルも自由になりました。ずっと坊主だったけど、そこにこだわらなくてもいいし、今の自分が好きなスタイルで生きていこうって。だから今の自分が一番好きだし、自信が持てます」