クリエイターを繋ぐ対談連載CREATOR × CREATOR

異なるフィールドで活躍する若手クリエイターふたりがモノ作りの楽しさや面白さ、大事にしていることなどを語り合う本連載。第4回のゲストはインディーポップシーンに突如現れた21歳の新生、Dayglow
×近年はアジアやアメリカなどでも海外ツアーを行ってきたミツメの川辺素。

Vol.4ミュージシャン・Dayglow × ミュージシャン・川辺 素(ミツメ)

  • Dayglow
  • 川辺 素

「音楽は日常的に作っている。それはまるでレゴを作るかのように」(Dayglow)

Dayglowは日本の音楽に影響を受けたようですが、最初に触れたきっかけとは?

Dayglow「YouTubeを観ていた時にたまたまシティポップのプレイリストで日本のポップスに触れ、一瞬で恋に落ちました。日本語はわからなかったけど、そのメロディにハマったんです」

恋に落ちた理由を聞くのも無粋ですが、あえて言葉にするなら?

Dayglow「何よりもメロディ、そしてプロダクション。特に僕はもともとシンセが大好きなので。シンセオタクとしては、日本のシティポップはグッとくるものがあります。聴いていてとにかく楽しいし、ハッピーな気持ちになるところも最高。アメリカで流れているポップスと比べると、すごく新鮮に聴こえました」

今回はDayglowから川辺さんへと対談相手のご指名がありました。大好きだと公言しているミツメの音楽の魅力とは?

Dayglow「とてもキャッチーで、音楽の構成も完璧だと感じています。僕はミツメの音楽を聴くと、泡のお風呂に入っているような幸せな気分になるんです(笑)。ミツメはどんな音楽の影響を受けて、今に至っているのですか?」

川辺「最初は大学のコピーバンドサークルでメンバーと出会いました。ペイヴメントやベルセバ(ベル・アンド・セバスチャン)とかが好きで、1stはギターバンドらしい録音を小さなリハーサルスタジオでしました。そこからトロ・イ・モアとかウォッシュト・アウトなど、チルウェイヴと呼ばれた人たちがインターネット上に自由に音楽を発表しているのを見て、自分たちも宅録に近いDIYな感じで曲作りを始めました。そこからだんだんスタジオでのプロダクションになり、エンジニアの力も借りて曲が進化。それと同時に、アジアやアメリカへもライブに行くようになり、逆に“日本らしさ”みたいなものを少し理解し始めた気がしています」

Dayglow「アメリカでのライブはどうでしたか?」

川辺「アメリカでは3回小さなツアーをやりました。日本はメロディや曲の展開に反応する感じがあるんですが、アメリカはリズムに対してすごくみんなが反応してくれる感じが伝わってきました。そこは自分たちにとっても新鮮で、こんな聴き方、受け取り方の違いがあるんだなって、ひとつの学びになりましたね」

Dayglow「その違いは面白いですね。ミツメの音楽はメロディが際立っているので、僕自身はメロディに反応してしまいます(笑)」

川辺「それももちろんうれしい(笑)。僕もDayglowの音楽を聴かせていただきました。音一つひとつの質感や、ボーカルのエコーの利かせ方一つとってもきちんと狙いがあって、曲ごとにキャラクターもある。一曲ごとにプロダクションが研ぎ澄まされていて素晴らしいと思いました。曲の着想はいつもどこから?」

Dayglow「毎日意図せず、日常的に作っています。自分の部屋に置いてあるシンセやギターを順番に手に取り、音を鳴らしながらトラックを作る。それはまるでレゴを作るかのように。僕もメロディ重視なので、メロディを作ってから、歌詞を乗せていきます」

川辺「そのDIYな姿勢、気の持ち方みたいなものにシンパシーを感じます。それは作品に対しても。すごくいいなと思います」

Dayglow「ありがとうございます。ミツメは2009年から活動をスタートしており、ストリーミングやSpotifyがない時代。その頃はどうやって活動をしていたのですか?」

川辺「国内ではショップにCDを流通してもらい、それを買ってもらう。当時、著作権管理をしっかりできてなかったから、勝手に曲がアップロードされ、フリー・ダウンロードできる状態で(笑)。でもそれがきっかけで、聴いてくれた海外の人たちが自分の国へとライブの招待をしてくれた。僕たちにとっては、“偶然”が大きな味方になってくれたんです」