CINEMASPECIAL ISSUE
ノーラン最新作『オデュッセイア』

映画史上初全編IMAX®フィルム撮影 古代ギリシャ神話の世界を現代に蘇らせた クリストファー・ノーラン監督最新作
クリストファー・ノーラン監督の最新作『オデュッセイア』が9月4日(金)より10日(木)までIMAX®先行上映、11日(金)より全国公開となる。ひと足先に公開された各国の映画ファンの熱狂ぶりに興味をそそられ、日本の映画館で観られる日を待ちわびていた人も多いはず。さあ、異次元の映画体験を約束する場所=映画館へ。ノーランが描く古代ギリシャの神話の世界にどっぷり浸かり、心を震わせたい。
ノーランが古代ギリシャの英雄譚に挑む
ジャンルを超越し、常識を覆し、映画そのものを再定義し続けてきた映画作家クリストファー・ノーランが、20年越しの念願作に挑む。原作は、古代ギリシャの吟遊詩人ホメロスによる12,109行の壮大な叙事詩「オデュッセイア」。10年に及ぶトロイア戦争ののち、愛する家族が待つ故郷へと帰還するため、さらに10年かけて荒れ狂う海、怪物、魔女、神々の介入という容赦なき試練に立ち向かう英雄オデュッセウスの姿を描く。そのスケールはノーラン監督作史上最大、映画表現の集大成にして王道のエンタテインメント超大作は7月17日(金)に世界74カ国で公開され、空前のヒットを記録。8月時点で世界興行収入は13億5,200万米ドルに達し、今なお記録を更新し続けている。

主人公オデュッセウスにマット・デイモン、父の帰還を信じる息子テレマコスにトム・ホランド、彼を待ち続ける妻ペネロペにアン・ハサウェイ。さらにロバート・パティンソン、ルピタ・ニョンゴ、ゼンデイヤ、シャーリーズ・セロンら、全員主演級のオールスターキャストが集結。また、撮影監督は『インターステラー』(2014)、『ダンケルク』(2017)、『TENET テネット』(2020)、『オッペンハイマー』(2023)に次ぎ、ノーランとは5度目のタッグを組むホイテ・ヴァン・ホイテマ。プロダクション・デザインは『アス』(2019)や『NOPE/ノープ』(2022)、ノーラン監督作では『オッペンハイマー』を手がけたルース・デ・ヨンク。音楽は『ブラックパンサー』(2018)、『罪人たち』(2025)、ノーラン監督作では『TENET テネット』、『オッペンハイマー』を手がけたルドウィグ・ゴランソン。衣装デザインは『危険な情事』(1987)や『ウォール街』(1987)、『氷の微笑』(1992)、ノーラン監督作では『オッペンハイマー』を手がけたエレン・マイロニック。世界最高峰のスタッフが揃い、ノーランのコンセプトをもとに、そのイメージを具現化している。

ギリシャ、イタリア、アイスランド、スコットランド、モロッコと6カ月かけて世界中のロケ地を巡り、映画史上初めて全編IMAX®フィルムカメラでの撮影を実現。海は荒れ、怪物は息づき、神々は介入する。それは想像を超えた“リアルの極致”であり、神々が存在した古代ギリシャの世界を現代のスクリーンに呼び戻している。
愛、欲望、裏切り、復讐──エンタテインメントのすべてが詰まった、かつてない映画体験がここに。ノーランの手によって、また映画史は塗り替えられた。
新型IMAX®カメラと“ブリンプ”
巨大な木馬に潜んだオデュッセウスと兵士たちがトロイアを陥落させた“トロイの木馬作戦”、古代ギリシャの三段櫂船で荒れ狂う海を往く様子、巨人キュクロプス、魔女キルケ、鎧の巨人たち、セイレーンの歌、精霊カリュプソといった数々の試練に翻弄されるさま。そのすべてをIMAX®フィルムカメラで撮影した本作の臨場感、迫力は尋常ではない。間違いなく、映画体験をひとつ上の階層へと押し上げている。
もちろん、全編IMAX®フィルムカメラで撮影するという試みにはさまざまな困難が伴った。最も大きな障害は、IMAX®フィルムカメラ自体が発する駆動音。カメラの音が大き過ぎるゆえに、とりわけ、被写体にカメラが寄って映す会話シーンの撮影が難しくなるのだという。
本作は、IMAX®社の最高品質責任者であり、IMAX®というフォーマットの第一人者であった故デヴィッド・キーリーの監修のもと開発された新型カメラで撮影されている。デヴィッド・キーリーとその妻パトリシアにちなみ、“ザ・キーリー”と名付けられたその新型カメラは機能性が改善され、軽くなり、駆動音も低減された。
ノーランと撮影監督ホイテ・ヴァン・ホイテマは『TENET テネット』の準備段階で“ブリンプ”と呼ばれるカメラ用の消音機制作に挑戦している。簡単に言えば、カメラを覆うカバーのことだ。ふたりは、さらにカメラの駆動音を低減すべく“ザ・キーリー”用の“ブリンプ”の開発を急がせた。本作では必要な時には“ブリンプ”に“ザ・キーリー”を入れて撮影し、駆動音を限りなく低減させることに成功している。“ブリンプ”に入れると総重量は135kgとなり、持ち運びも、演じる際に俳優たちが目線を定めるのも困難を極めたが、スタッフもキャストも一切怯まなかったという。
そのほかにも、ライティングのデザイン、衣装や小道具のデザインや使用する素材、メイクアップ、ヘアデザイン、音響デザインなど、すべてがIMAX®フィルム撮影を前提に考えられ、綿密にその世界が構築されている。

2D(字幕/吹替)、IMAX®(字幕)、Dolby Cinema®(字幕)、4DX(字幕/吹替)、MX4D®(字幕/吹替)、35mmフィルム(字幕)の全6種9バージョンで上映される本作。とりわけ、目玉となるIMAX®で観る本作は圧巻だ。視界を埋め尽くすシャープで鮮やかな映像と、耳元でさざめく不穏な風の音や地響きのような怪物の咆哮、登場人物の息遣いまでクリアに再現し、ルドヴィグ・ゴランソンによる独創的な映画音楽を際立たせるサウンドシステム。いつの間にか自分自身が映画館にいることさえ忘れ、古代ギリシャの物語の世界へと入り込んだかのように錯覚してしまうはずだ。
「オデュッセイア」を現代的な超大作に
「オデュッセイア」が書かれたのは紀元前8世紀とされているが、この壮大な叙事詩は何世代にもわたって歌い継がれていく中で、その表現や内容が変化していった可能性が極めて高い。ただ、古代ギリシャ文化における理想と価値観を伝えるふたつが絡み合い、テーマとして提示されている点は変わらない。ひとつは“クセニア”と呼ばれる、見知らぬ者でも丁重にもてなすという慣習。もうひとつは“ノストス”で、帰郷という意味に加え、その旅路で精神的に生まれ変わるプロセスも意味する。故郷へと帰る旅路で自らの人間性を試す、あるいは作り替えるほどの試練を乗り越えなければいけない、というものだ。

ノーランは「オデュッセイア」映画化への思いをこう語っている。「ホメロスの『オデュセイア』は世界史や文化の発展において非常に重要な作品だが、現代的な超大作としての映画化はまだされていなかった。乗り越えるべき課題はあったが、私は古代ギリシャ神話の世界を蘇らせ、その物語や豊かなテーマの数々をこれまで見たことのない形で表現するという熱意に燃えていた」。
そんなノーランが選択したのは、かつての歌い手と同様の手法だった。つまり、原作の核心はしっかりと受け継ぎつつもさまざまな調整を加え、現代の映画として、現代を生きる人々が共感できるものとしたわけだ。このノーランの姿勢が、エンタテインメント超大作としての完成度を押し上げている。2,800年も前の物語に、現代を生きる私たちが感動できるのはどうしてか。ノーランがそう描いたからだ。愛する妻と息子のもとへ帰るため、どんな逆境にも負けず、知恵と勇気を振り絞って道を切り開いていくオデュッセウスの姿に励まされ、奮い立つ人も多いはず。
後世に語り継がれるだろう映画作家、クリストファー・ノーランの新作をリアルタイムで観られる幸せを噛みしめたい。
『オデュッセイア』
2026年/アメリカ/172分
| 監督・脚本 | クリストファー・ノーラン ホメロス「オデュッセイア」に基づく |
|---|---|
| 出演 | マット・デイモン トム・ホランド アン・ハサウェイ ロバート・パティンソン ルピタ・ニョンゴ ゼンデイヤ シャーリーズ・セロン ほか |
| 配給 | ビターズ・エンド ユニバーサル映画 |
※9月4日(金)より10日(木)までIMAX®先行上映、11日(金)より全国公開
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