FLYING POSTMAN PRESS

クリエイターを繋ぐ対談連載CREATOR × CREATOR

異なるフィールドで活躍する若手クリエイターふたりがモノ作りの楽しさや面白さ、大事にしていることなどを語り合う本連載。第15回のゲストは、20代の恋愛をリアルに描いた映画『わたし達はおとな』で映画監督デビューを果たす加藤拓也×4/27に3rdアルバム『Strides』をリリースした小袋成彬。

Vol.15演出家・加藤拓也 × ミュージシャン・小袋成彬

  • 加藤拓也
  • 小袋成彬

「“なぜ?”と問い続けないと一流のアーティストじゃない」(小袋)

おふたりのモノ作りの原体験も聞かせてください。

小袋「俺、ナチュラルボーンで何かを作るのが好きなんですよ。音楽にしろ、絵にしろ、服にしろ。でも別に自信はなかったんですよ。ただ作るのが好きで、そのうち人に“いいな”って言ってもらえるようになって自信が付いてきた。だから、原体験があるわけじゃなく、これはもうDNAですね(笑)」

加藤「僕は“嫌だったことに対して、本の中で復讐する”というところから(笑)。現実のように書くとつまらないから、そこからどんどんフィクションの要素が大きくなっていったという感じです」

ずっと作り続けてきて、今なお創作を楽しめていますか?

加藤「楽しいです。楽しくなかったらやっていられないです(笑)」

小袋「うれしいし、楽しいですよ。これ以上の快楽はないって感じ(笑)」

今この時代にモノ作りする上で大事にしていることを教えてください。

加藤「僕が作り続けている理由って利己的なものなんです。自分が楽しいから。自分のために作ったものが結果的に社会に還元されていくことはあるかもしれないけど、それはあくまで後付けだと思っています。また、今は演劇や映画は“短くまとめてくれ”と言われる時代ですが、2時間の作品を5分でまとめられたら、“最初から5分でいいじゃん”って話じゃないですか。5分でまとめない、2時間の作品をちゃんと観た後にしか見えない面白さってあると思っていて。そういうものを大事に作っていきたいですね」

小袋「この時代にって考えるとなんだろう…? コンセプト次第かもしれない。俺、モノ作りにおいてコンセプトを考えることに一番時間を使うんですよ。とにかく考える。自分と同じ時間軸で深く考える人にはまだ会ったことがないっていうぐらい。今ってみんな考えることを避けるじゃないですか。検索したらパッと答えが出てきちゃうサイクルにみんないるから。5年ぐらい悩んで何も答えが出ないことを受け入れられる人って、今ほとんどいないんじゃないですかね。でも俺はそういうことにこそ意味があると思っていて。“なぜ?”とずっと問い続けないと一流じゃないなって。忍耐を持ってそう問い続けられたら最高のアーティストだよなって。これが答えですね。この時代にモノ作りする上ではとにかく忍耐、考え続けることです」

加藤「今日はありがとうございました。今度ロンドンに行く機会があるのでまたぜひ」

小袋「ぜひ遊びましょう。クラブ連れて行きますよ(笑)」