Vol.19ミュージシャン・オカモトレイジ(OKAMOTO’S) × アーティスト・IRIS SAKAI
「アートに感動できる心を維持し続けること。OKAMOTO’Sを続けること」(レイジ)
「世界中の人たちに作品を見てもらって心を動かしてもらいたい」(SAKAI)
SAKAIさんは、レイジさん出演の映画『もっと超越した所へ。』を観ていかがでしたか。
SAKAI「レイジ君、最高でした!レイジ君本人の良さがそのまま出ているんだけど、でもやっぱり映画の主人公で」
レイジ「サブキャラじゃなくて?」
SAKAI「うん、主人公」
レイジ「メイン8人の中で埋もれてなかった、みたいな感じ?」
SAKAI「そうです、そうです」
レイジ「それはうれしいなぁ。基本、俺は仕事は楽しんでいるだけなんだけど、今回の映画に関してはかなり努力したから。褒められたいです(笑)。最初はミュージシャンがやる役だからと軽く考えていたんですよ。でも蓋を開けてみたら根本宗子さんの舞台の映画化で、台本を読んだら台詞量がハンパなかった。しかもワンシチュエーションで会話のみで成立させなきゃいけないという。“こんなの本域の役者さんがやるやつじゃん!”って(笑)。撮影してた2カ月はまあ、がんばりましたよ。自分で台詞を読み上げて録音して、それをずっと聴いてました」
努力の甲斐あって、恋人役の伊藤万理華さんとの掛け合いも最高でした。
レイジ「万理華ちゃんともともと友だちだったのは、マジで幸いでした。万理華ちゃんには練習にも付き合ってもらえたので。また、今回改めて思いましたけど、映画って奇跡なんですよね。例えば、俺と万理華ちゃんのシーンって部屋の中にふたりしかいないみたいに見えるじゃない?」
SAKAI「見える」
レイジ「でも、実際の現場では30人ぐらいがあの一部屋にひしめき合ってるわけ。その中には、シーンとシーンの繋がりを司りしスタッフとかもいるわけ。“そのクッション、前のシーンではジップが逆側でした”とか教えてくれる人が。そういうプロの仕事がいっぱい重なって初めて、ワンシーンを無事に撮れるんだよ」
SAKAI「なるほど」
レイジ「100%作りものなのに“普通に見える”、そういう状況を作り出せること自体が本当にすごいなって思った」
SAKAIさんからレイジさんに聞いてみたいことは?
SAKAI「レイジ君はいろんな人を巻き込んで、いろんなことをクリエイトしているじゃないですか。でも、レイジ君個人が将来やりたいことってなんなんですか?」
レイジ「自分が今いいと思っていること、興味があることを100%押し出せる状態にあるのが俺は一番幸せで。例えばYAGI(EXHIBITION)でキュレーターやらせてもらっているのも、自分が新しいアーティストを後押ししているなんて意識はないんだよ。ただ、自分が格好いいと思うものを格好いいって口に出して言っているだけで。でも、仲間になってくれたアーティストたちがその後、もっと格好いい感じになっていってくれるから。そういう奴らが俺に自信を持たせてくれるんだよね」
SAKAI「レイジ君のすごいところは、人が秘めた力を見つけ出すところなんですよね」
レイジ「“見つけ出す”という意識もないんだよ。俺は東京で普通に暮らす中で、みんなが残してくれたいい作品に出会えてるだけ。やっぱり、行動が大事なんだよね。人の評価を気にせず、自分でいいと思うものを作って“メッチャいいものできた!”って思えるだけでいいんです。俺自身も“メッチャいいビートができた!”と思えた時にはテンションが上がるし、実はそこがモノ作りの最高到達点な気がしますね」
SAKAI「僕も人のために絵を描いてるわけじゃないです。やっぱり、自分の描きたい絵を描いているだけで。その結果、見た人に感動してもらえたらうれしいですね」
レイジ「今後の俺自身の目標は、いろんなアートに感動できる心を維持し続けること。それとOKAMOTO’Sを続けること。バンド以外にもいろいろやってるけど、“バンドに戻ってきた時、格好いいよね”を維持し続けたい。15歳からずっとOKAMOTO’Sってそれ自体が奇跡だし、長いアートだと思う。だから俺はこれからもレペゼンOKAMOTO’Sです。勇人の目標は?」
SAKAI「今は絵を描いてるけど、必ずしも絵でなくてもいいと思ってます。また、ひとりでやるんじゃなくクリエイター集団を作りたいなって。それで世界中を飛び回り、そこにいる人たちの心を僕らの作品で動かしたい。そういうモノ作りをしていくのが目標です」
レイジ「まずは上海からだね。行きてぇなぁ」
SAKAI「展示会実現できるよう、がんばります!」