Vol.9アーティスト・雪下まゆ×アーティスト・COIN PARKING DELIVERY
「表面的な美しさや流行りをなるべく排除することを意識してる」(雪下まゆ)
おふたりの出会いとは?
COIN「僕の2回目のエキシビジョンにまゆちゃんが遊びに来てくれ、その後、ごはんに行ったんだよね」
雪下「そう。共通の知り合いがセッティングしてくれて。後日また会っていろいろ話した記憶があるよ」
COIN「そして、もうその次にはJUN INAGAWAも参加した3人展をやったんです。最初に僕らを会わせてくれた方のキュレーションで、昨年の11月に<LITTLE FINGERS>という展示会」
そうだったんですね。では、お互いの作品の印象を聞かせてください。
COIN「インパクトのある絵なので、知り合う前からデジタル広告とかで作品は観たことあって。最初は、写真をアプリで加工した作品だと思ってたんです。フォトレタッチみたいなことなのかなって。その後でちゃんと描いてると知り、とても面食らいました」
雪下「携帯で描いてるって聞いてたので、まずその技術的な面がすごいなって。また、展示会のコンセプトが毎回しっかりしていて、その姿勢は若手の作家とは思えないぐらいで。本人もコンセプトも、そして作品も面白いです」
お互いに聞いてみたいことはありますか?
雪下「コインパのアイコンでもある白井さんは、いつ、どういう時に生まれたの?」
COIN「携帯で絵を描き始めた学生の頃に、自分のアイコンが欲しくなって。その時に作ったのが白井さん。当時、僕自身が過去とか未来の話ばかりしてて、今を大切にできてなかった。生きてるのは現在なのに。そして、周りも“昔は良かった”とか思い出を語る人が多くて。“今を生きることが未来のために重要であり、過去を輝かせる”。そんな作品を描きたくて、白井さんというキャラクターを“現在の定義”として作ったのが、COIN PARKING DELIVERYのすべての始まりなんだよね。じゃあ僕からの質問。まゆちゃんの作品は生々しい女の子が多いけど、それを書く理由とは? いい意味で作品が流行りっぽくなくて好きなんだよね。そして、どれも雪下まゆの絵ってわかるのが素晴らしい」
雪下「実はあまり男性・女性って分けてる意識はなかったりして(笑)。それよりも人物を描くにあたっては、SNSで大量に流れてくる自撮りのような表面的な美しさや流行りをなるべく排除することを意識してます。目の前の生身の人間をそのまま、物体として写し描いてる感覚というか。写し描く段階で、独特の暗さや生々しさが出てくるのかな、と」
その意識は制作する中で変化したことでもあるんですか?
雪下「そうですね。描き始めた初期はむしろかわいらしい女の子ばかり描いてたんですが、そういったものから脱したい気持ちが強くなってきて。そこに捉われると苦しいし。そこから離れたくなり、今の意識に繋がっていきました」