FLYING POSTMAN PRESS

クリエイターを繋ぐ対談連載CREATOR × CREATOR

異なるフィールドで活躍する若手クリエイターふたりがモノ作りの楽しさや面白さ、大事にしていることなどを語り合う本連載。第9回のゲストは、意志を持った大きな瞳が印象的な絵を描く雪下まゆ×スマホでポップなグラフィックを描画する気鋭のアーティスト、COIN PARKING DELIVERY。

Vol.9アーティスト・雪下まゆ×アーティスト・COIN PARKING DELIVERY

  • 雪下まゆ
  • COIN PARKING DELIVERY

「現在に執着し、過去と未来に繋げるという表現が僕の役割」(COIN PARKING DELIVERY)

そんなおふたりがインプット、刺激を受けることとは?

COIN「それこそ“現在”を感じた時ですね。自分が好きなものが作品に出てるアーティストは多いですが、僕、好きなものがないんですよ。ポップな作品を作ってるけどディズニー作品をまともに観たことなかったり。現在って刻々と変わる。その変化することに僕なりの面白さがあったので、日常生活で何か違うエッセンスを入れるようにはしてます。ジャンルを問わず、勉強の種類を変えることが唯一の刺激かもしれない。例えば、ルービックキューブ。一度も揃えられたことなかったので、揃えられたら世界が変わるかなって。始めた3日目から、2分ぐらいでできるようになったんです(笑)。むずかしそうに見えて、世界って案外簡単にできてるんだなってその時に思いました」

雪下「素晴らしいね。私は昔から、宇宙はどこにあるんだろうとか、自分はなんで生まれたのかとかを永遠に考え続ける人間で。それで1日が終わるぐらい(笑)。だから、哲学書や脳科学の本を読むのがすごく好きで。読むと救いになるんです。脳はこうできてるから今の私の思考はこうやって解決できるなとか、矛盾してなかったんだなとか。最近だと伊集院光さんと養老孟司さんの対談本『世間とズレちゃうのはしょうがない』も面白かったです」

COIN「ちょうど僕も今ゲノム遺伝子の本を読んでるよ。ゲノム遺伝子から、人間の考えが読み取れるんだって」

雪下「へー。それもとても面白そうな本だね」

最後に、ご自身の創作の根幹を教えてください。

COIN「人類という大きなフォーマットの中で、それぞれ長けてる部分が違うと思うんです。僕は現在というものに執着し、それを抽出し、過去と未来を繋げるという表現が役割であり、それが生きる理由にも繋がってると思っています」

雪下「小さい時からずっと絵を描き続けてきて、自分には絵しかないと思ってきたけど、その思い込みが自分の首を絞めてるなって。“自分の絵はこれでいいのか…?”って考え続けてた時に、まったく描けなくなった時もあって。クリエイトする時に気を付けている部分にも共通しますが、アートじゃないことでもいいから常に何かをインプットすることが大事ですね。最終的には絵しかないのかもしれないけど、そこだけに自分を置かないこと。だから洋服のブランド『Esth.』を立ち上げたり、新しい表現の場を増やしていくことが、自分自身の救いになるというか。いろんなことが最終的には、絵を描く時の新しいフィルターになっていくのかなって今は思ってます」