FLYING POSTMAN PRESS

クリエイターを繋ぐ対談連載CREATOR × CREATOR

異なるフィールドで活躍する若手クリエイターふたりがモノ作りの楽しさや面白さ、大事にしていることなどを語り合う本連載。第2回のゲストはモデルとして活躍するのみならず、シンガー・デビューも果たしたる鹿×初長編映画『グッドバイ』の公開を控える宮崎彩監督。

Vol.2モデル/シンガー・る鹿 × 映画監督・宮崎 彩

  • る鹿
  • 宮崎 彩

「自分が簡単にゲットできるあらゆるものから、自分を守る」(宮崎)

お互いの作品に触れ、どう感じましたか?

る鹿「『グッドバイ』、すごく良かったです。言葉にするのが難しいんだけど……すごい沁みた」

宮崎「言葉に迷ってくれるほうがうれしいです。観て“……”ってなる映画だと思うから」

る鹿「夜、枯れた木が映って右下にタイトルが出るところ、そこからして絶妙だと思いました。あのシーンを観た瞬間、“これは絶対いい映画だ”って思いました」

宮崎「細かく観てくれているんですね!」

る鹿「細かいところまで観てます(笑)。あの、聞いていいですか?主人公のさくらが料理中に“焦げる”って言うところ。あの“焦げる”はすごいなと思ったの。聴いて一瞬止まったぐらい。すごく自然な台詞なんだけど、多分、観ている人はそれぞれ違う意味に聴こえると思う。あの“焦げる”は、ただの料理が“焦げる”じゃないですよね?」

宮崎「今回の映画はあくまで地に足が着いたところにありたいなと思っていて。だから、喋っている言葉も普段のものにしたいなと。普段の言葉って自分の感情を全部説明するものではないし、二重にも三重にも意味を持たせていたり、逆に本心を隠していたりもするでしょう?だからあの“焦げる”も、彼女にすべて説明させるのではなく、そのひとことだけでいいと思って」

る鹿「すごくかっこいい! あそこ観て、私も焦げた(笑)」

宮崎「それ映画の応援コメントに欲しいです(笑)。る鹿さんの『空洞です』も本当に良かったです。ゆら帝の『空洞です』のカバーでデビューって多分、オリジナルをやるよりハードルが高かったと思うんです。話が前後しますが、私、る鹿さんのことはサカナクションの『多分、風。』のMV観て知ったんです。初めて観た時、本当に風のような、掴みどころのない魅力を感じて。“なんだ、この子!”ってすぐググッたんですけど(笑)」

る鹿「なんか恥ずかしい(笑)。でもうれしいです」

宮崎「あのMVを観て感じたふわっとした雰囲気、追いかけてもスルッと手を離れてしまう、そういうイメージが今回のデビュー曲の歌声にもあって。透明感と、ふわっとゆるっとしたヌケ感が“ゆら帝の『空洞です』のカバー”というものを体現していると感じましたね。聴いてみて初めて“あ、私、女性ボーカルでこの曲聴いてみたかったんだ”って思いましたね」

る鹿「“掴みどころない。風みたいだね”って、この間、ある俳優さんにも同じことを言われました」

宮崎「現実と架空の間をふわっと彷徨っているような感じが素敵ですよね」

そんなおふたりが、今、この時代にモノ作りする上で大事にしていることは?

る鹿「周りの環境とか世の中の“みんなこうしている”とか、そういうことに影響されやすいじゃないですか、人間って。でも私、人生って自分と向き合うことだと思っています。他人は“私”じゃないから。“私”の課題は“私”しか解決できないから。だから自分とちゃんと向き合うこと、そして自分から生まれるものを探すっていうことが、モノ作りする上で大事なところだと思います」

宮崎「確かに今、選択肢があり過ぎるんですよね。“どこで誰が何作っている”みたいな情報も早くたくさん入ってきて、“時代はこうだから、こういうものを作ったほうがいい”とかなりがちなんですよね」

る鹿「わかります」

宮崎「だから自分が簡単にゲットできるあらゆるものから、自分を守るっていうことが大事だなと思います。本当に自分がやりたいこと、選びたいものや人を見失わないようにしないと。自分はブレずにいたいですね」

る鹿「すっごく共感できます。『グッドバイ』についてももっと聞きたいことがあるので、いつか飲みましょう!」

宮崎「ぜひ!」