クリエイターを繋ぐ対談連載CREATOR × CREATOR

異なるフィールドで活躍する若手クリエイターふたりがモノ作りの楽しさや面白さ、大事にしていることなどを語り合う本連載。第7回のゲストは、伝統的な水墨画の魅力をファッションやライブ・ペインティング、音楽とのコラボレーションなどを通じて発信するCHiNPAN×音楽制作はもちろんのこと、今年6月には自主レーベルを立ち上げ、ジャケットのアートワーク&MVのセルフプロデュースなども行うDaoko。

Vol.7水墨画家・CHiNPAN × 音楽家・Daoko

  • CHiNPAN
  • Daoko

「自分と向き合った時、嘘をついてないものを作品として残していきたい」(CHiNPAN)

作品の中の世界観は、CHiPANさんの内にあるものですか?

CHiNPAN「そうなんですかね(笑)。自分の考えだったり、出したいものを作品で昇華させるのが自分の作品作りというか。誰かに“私はこんなふうに思ってるんだよね”って言葉にして話すこともあるけど、それよりもコアな部分を作品として出すのが一番自分の中でしっくりくるというか。私は“自分自身を救う”というよりも、まだ模索中ではありますが、少し娯楽に近い部分があるかもしれない。作品は自分が今考えていることを噛み砕いて、噛み砕いて出す感じ。それを人に観てもらって、楽しんでもらいたい気持ちが強いですね。それは=モノ作りの喜びに繋がっているかもしれない」

改めてお互いに聞いてみたいことはありますか?

CHiNPAN「最近、『13歳からのアート思考』という本を読んだんです。ざっくり説明すると、芸術作品は花で、思考はその見えている花じゃなく、根っこの部分。きれいに花を咲かせることとは別に、その根の部分をどれだけ伸ばせるかが大切、みたいな内容で。Daokoちゃんは、花はもちろんきれいに咲いてるけど、その下には広く長く伸ばした根っこを感じるんです。ちょっと抽象的な質問ですが、最近のDaokoちゃんの興味事だったり、深く掘り下げてる根っこの部分を知りたいな」

Daoko「私は小さい時から常に頭の中は自問自答、脳内会議が行われています(笑)。“なんでこれはこうなるの?”“なんでこれは悲しいの?”って。“?”がいっぱいあって、それを常に知りたい。例えば、“音楽はどうやって始まったのか?”を調べていくと歴史や巫女に繋がり、そこから枝分かれし、また気になるテーマが出てきて、また紐付いて掘っていく感じです。最近気になっているのは、起源的なところ。脳のシステムとか、記憶の中でもなぜ音や匂いの方が濃く焼きつく感じがするのか、それは科学的にどうなのか、とか。気になったら学術書、西洋医学書などの専門書も全部調べて読んでみます。CHiNPANさんは、どういう時に作品のテーマを決めるんですか?」

CHiNPAN「Daokoちゃんに近いかも。心の中で気になっているものを常にメモしていて、それにまつわる文献とかを読んで枝分かれし、また気になるワードが出てきて、そこから近いニュアンスのものを画に起こすことが多いかな。内省の延長とも言える。もちろん感情が起点になる時も、時事ネタの時もある。いろいろ書き留めているので、そのパズルが出揃ってくると、“あぁこういうことか!”って自分で気が付くことも多いです」

では最後に、クリエイターをめざす人へのアドバイスなどはありますか?

Daoko「表現する上で必要な技術やスキルはもちろんあったほうがいい。そしてセンスと人間力も。そしてもうひとつ、ラックですね。運は本当に大切で、振り返ると私は運が良かったなって思うんです。運は神様からのプレゼントですが、間口を広げるためのアクションの大切さ、運に出会えるかどうかは自分次第かなと思います。少しでも気になったら始めてみる、扉を開いてみるとそれが運に繋がるかもしれません」

CHiPAN「本当にそうだよね。アウトプットする時の技術、センス、表現力も大切だけど、扉を開けるアクション、その準備をしておくのも重要だと思います。私が作品作りで大切にしていることは、自分に嘘をつかないこと。自分の中にないもの、カッコいいかなとか、ウケるかな、とかの邪念を極力排除する努力をしています。自分とちゃんと向き合った時に、嘘をついてないものを作品として残していきたい。とは言え、人にわかりやすく見せるためのデザインは必要。バランスですね」