FLYING POSTMAN PRESS

あさぎーにょ、日常を彩る魔法の言葉

目の前のワクワクを抱きしめることで
自分の好きが増えていく。それが個性に

 <ワクワクを抱きしめよう>をコンセプトに、原宿に店舗を持つファッションブランド「POPPY」を展開し、YouTubeでは日常の中で起きた、うれしかったり驚いたりした些細な出来事などを共有していく、クリエイティブアーティスト・あさぎーにょ。

 カラフルポップで眺めているだけで幸せになれる彼女の世界は、どのように生まれたのか? そのルーツを辿ると、自分自身を見失って苦悩した日々を救ってくれたある出来事が。その出来事を経て見つけた、人生をかけて世界に伝えたいメッセージとは?

取材・文:俵本美奈



結婚式で、空間作りの第一歩が開けた

──今日はあさぎーにょさんのカラフルポップな世界に込められた思いなど、その背景をお聞きしたいと思っています。まず昨年10月に行われたご自身のウェディングには、ファッション・空間・音楽…これまでの表現のすべてが詰まっていました。ウェディングを完成させるまでの思いを聞かせてください。

あさぎーにょ ウェディングはずっとやりたかったことだったので、シンプルに楽しみでした。世界観などは、“絶対こうしよう”みたいに意気込んでいたわけではなくて。プランナーさんにも協力していただき、“今の自分の好きを詰め込もう!”と、お仕事の中で空間を作るのとはまた全然違う心持ちでした。

▲ウェディングのコンセプトは「Be a kid again(子どもに戻ろう)」。空間テーマは「ロマンチックポップなティーパーティー」。ゲスト席もかわいく演出されている(提供写真)

──どのあたりが違っていましたか。

あさぎーにょ お仕事の時であればコンセプトやテーマをどう感じてもらいたいかを言語化したり、目標を立てることが多いのですが、この時はもっと遊びに近い感覚で。失敗もないですし、「こんなことやったら面白いよね」と、好きなことだけを詰め込む感覚で、本当に楽しみながら。

──大変だったことはありませんか?

あさぎーにょ 大変かぁ…。予算を使えば使うほど、ヤバいってことくらいかな(汗)。お仕事であれば予算も決まっていて、その範囲の中で最大限にできることをしていきますが、自分のウェディングでは枠組みがないので。

──最初にプランナーさんにイメージを伝えた時に、「これはできない」と言われたことはなかったですか?

あさぎーにょ それがまったくなくて。ゼクシィさんにも一緒に企画していただき、場所探しなどの準備は1年半ほど前から始めたのですが、プランナーさんもみなさんいい人ばかりで、最初はむしろ“こんな感じでいいの?”という反応だったんです。「もっと自由になんでもしていいのに」って。そこで私自身が、思っていた以上に“結婚式”という型にはまっているのかもしれないと気づきました。おばあちゃんにケーキに幸せパウダーをかけてもらおうとか、花火を上げようとか、新郎に馬で出てきてもらうといった部分は、後から出てきたアイディアなんです。


▲ケーキカットの前に、大好きなおばあちゃんに“幸せパウダー”をかけてもらう演出が。子どもに戻ったおばあちゃんの無邪気な笑顔が会場を幸せムードに(提供写真)

──みなさんの心に残るハイライトとなった部分ですね。映像を観ていると、あさぎーにょさんが1年半かけて考え尽くした舞台にお客さんという登場人物が入ることで完成する、あたたかい作品のように感じました。

あさぎーにょ 私も、これはみんなが作り上げてくれたなと思っていて。ドレスコードは、「私より目立ってきてください」と伝えていました。露出がないほうがいいとかレザー素材はダメだとかよく言われますが、「そういうことはまったく関係ないので、私の言葉を信じてきてください」と言っていたら、みんながカラフルポップな衣装で来てくれて、それで完成した感じです。

──この経験を経て、イベントや空間作りへの夢は広がりましたか?

あさぎーにょ そうですね。今までもひとつのイベントとして空間を作ることはありましたが、音楽やプログラムなど演出まで考えるのは結婚式が初めてだったので、そういう意味では第一歩が開けた気がして、もっとやりたいなという気持ちが湧いてきました。