FLYING POSTMAN PRESS

『君の忘れ方』坂東龍汰の映画作り

心を豊かにするのはエンタメやアート

──FLYING POSTMAN PRESSは<GOOD CULTURE, GOOD LIFE>をコンセプトに展開しています。カルチャー作品によって人生が豊かになったという経験はありますか。

坂東 いっぱいあります。例えば音楽だったら、小田和正さんの『たしかなこと』。最近よく聴いているのですが、音楽から派生して自分の人生を思い、友だちや家族のことを思って泣ける曲。音楽ってすごいなと改めて思いましたね。絵画も好きです。パッと思い浮かぶのは、イタリアで観たレオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』、ミケランジェロの『サン・ピエトロのピエタ』。生で観たらすごかったです。これを観る前と後では人生変わっちゃったなというぐらいの、得体の知れない何かを感じました。そして、映画です。僕の中では最高峰。映像、音楽、芝居と、いろんな芸術がひとつに凝縮されている総合芸術だと思います。僕はシュタイナー教育の学校に通っていて、テレビやゲーム、携帯から遮断されて育ったんです。でも、父が映画が大好きだったので週に一度はDVDをレンタルして何かしら観ていて。当時の僕は“自然の中で遊ぶか、父と映画を観るか”だったんですよね。

──すごい2択ですね。

坂東 確かに(笑)。子どもの頃の僕は現実世界と映画の世界の区別がついていなかった。脳みそが映画に蝕まれていたというか(笑)、かなり影響されていました。子どもの頃に観た映画は今も脳裏に焼きついています。例えば、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ(2001〜2003)とか。あの頃の僕は、主人公のフロドと確かに一緒に生きていました(笑)。『ハリー・ポッター』シリーズ(2001〜2011)も同じで、本気でハーマイオニーやロンに会えると思っていましたし、ほうきをまたげば飛べるとも思っていました(笑)。ちなみにハリー役のダニエル・ラドクリフ、原作者のJ・K・ローリング、ハーマイオニー役のエマ・ワトソンに手紙を書いたこともあります。僕は小学校低学年だったので、姉が代わりに全部書いて送ってくれて。そうしたら返事が返ってきたんです! 「うぉー!」って叫びました(笑)。その返事はいまだに大切に保管しています。それで思い出したんですけど、『星になった少年 Shining Boy & Little Randy』(2005)という映画にも姉とふたりでどハマりし、主演を務めていた柳楽優弥さんに手紙を送ったことがあって。

──約20年後に柳楽さんとドラマ『ライオンの隠れ家』で仕事をすることになるわけですね。

坂東 そうなんですよ。だから柳楽さんと共演させてもらうことが決まった時には、すぐに姉に連絡しました。エンタメとかアートって間違いなく人生を変えてくれる、人生を豊かにしてくれるものだと思います。実は僕、“人間ってエンタメやアートがなくても生きていけるんじゃないか説”を一度考えたことがあるんです。ごはんは食べないと死ぬ、寝ないと死ぬ、水も飲まないと死ぬ。でも、映画や音楽や絵画はなくても生きていけるんじゃないかなと。

──コロナ禍で同じように自問自答したエンタメ好き、アート好きは多かったと思います。

坂東 そうですよね。なくても生きていけるものでがんばってきたのかと僕も考え込んでしまって。でも、そんなの嘘です。縄文時代から人は歌ったり、踊ったり、絵を描いたりしてきたんですよ。考えれば考えるほど、人の心を豊かにするのはエンタメやアートみたいなものなんだと。映画や音楽や絵画によって救われたという人もいっぱいいるのかもしれないと。“だとしたら、やっぱりこの道でがんばっていくべきだ”と思い直しました。

──『君の忘れ方』も観た人の人生を豊かにしてくれる1本だと思います。作っていただいてありがとうございます。

坂東 こちらこそ、観ていただいてありがとうございます。そんなふうに思っていただけると、がんばった甲斐がありました。

──いつか映画監督にも挑戦していただきたいです。

坂東 挑戦したいです。見ていてください。昔クレイアニメーションの作品をひとりで作ったことがあって。20分ほどの作品で、戦争でパートナーが還らぬ人になってしまった、という死別の話を描きました。どこにも出していないそのクレイアニメをみなさんに観ていただける日が来たらうれしいですね。


坂東龍汰(ばんどう りょうた)

1997年、米ニューヨーク生まれ、北海道出身。近年の出演作に映画『若武者』『シサㇺ』(いずれも2024)、ドラマ『RoOT / ルート』『366日』『ライオンの隠れ家』(いずれも2024)、劇場アニメーション『ふれる。』(2024)など。出演舞台『ベイジルタウンの女神』が5月6日(火・祝)より上演される

映画『君の忘れ方』

https://kiminowasurekata.com

2024年/日本/107分

監督・脚本 作道 雄
原作 一条真也『愛する人を亡くした人へ』(現代書林・PHP文庫刊)
出演 坂東龍汰 ⻄野七瀬 津田寛治 岡田義徳 風間杜夫 南 果歩 ほか
配給 ラビットハウス

※1月17日(金)より新宿ピカデリーほかにて全国公開

©「君の忘れ方」製作委員会2024

坂東龍汰 サイン入りチェキを1名様にプレゼント

応募要項は以下の通り。
FLYING POSTMAN PRESS公式Xをフォロー、本記事の投稿をリポストしていただいた方の中から抽選でプレゼントいたします。

https://twitter.com/fpp_official

※当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
※非公開アカウント、DMを解放していないアカウントからの応募は抽選対象外です。
※当選後、住所の送付が可能な方のみご応募ください。取得した個人情報につきましては、プレゼントの抽選・発送以外には使用いたしません。
※応募者が第三者へ譲渡しないことが応募・当選の条件です。転売(オークションやフリマアプリへの出品含む)や譲渡が明らかになった場合、当選は取り消され、賞品はお返しいただきます。

締切:1月27日(月)