FLYING POSTMAN PRESS

Myuk最新作『Celeste』への思い

誰かの祈りや願いを歌で届けていきたい
5周年アルバム『Celeste』に懸ける思い

 デビュー5周年を迎えたシンガー・Myuk(ミューク)。 2月にリリースされた最新アルバム『Celeste』(セレステ)は、大橋ちっぽけやGuiano、センチミリメンタル、Suietらによる楽曲提供で、Myukの柔らかくも意思の強さを秘めた歌声の魅力がさらに引き出される内容となっている。

 Myukにとって“歌うこと”にはどんな意味があるのか、影響を受けてきたカルチャーを紐解きながら聞いてみた。

取材・文:俵本美奈



無邪気で自由な少女像に憧れてきた

──FLYING POSTMAN PRESSのコンセプトは<GOOD CULTURE, GOOD LIFE>です。まずは、Myukさんがどんなカルチャーから影響を受けてきたかを聞かせていただけますか?

Myuk いちばんは音楽なのですが、小さい頃からアニメーションにはかなり影響を受けてきたと思います。小学校の低学年の頃に、学校から帰って家でひとりでいる時間が多かったので、レンタルビデオ屋さんで作品を借りてきて、ディズニー作品やジブリ作品、『世界名作劇場』をずっと観ていました。『世界名作劇場』シリーズは1話が30分で、各作品50話ほどあるのですが、ほとんど観ていると思います。

──作品のどんなところに惹き込まれていましたか?

Myuk 空想に浸るのが好きで、非現実の世界に飛び込んでいく時間にすごく救われていました。中でもジブリ作品だと高畑勲監督の『かぐや姫の物語』(2013)や『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』(2010)など、少女に焦点を当てた作品が好きで、そこで繊細に描かれる少女の無邪気で自由な姿に憧れを抱いてきました。

──その後音楽との出合いが入ってくるんですね。

Myuk 音楽との出合いも同時で、どの作品も音楽の存在が大きくて、例えばディズニーの『リトル・マーメイド』(1991)の『パート・オブ・ユア・ワールド』のように、少女が抑圧された場所から殻を破って飛び出していく瞬間に必ず歌があるんです。『アナと雪の女王』(2014)でも『塔の上のラプンツェル』(2011)でもそうで、そうした憧れの少女像に歌があるという世界観が、私にとっていちばん大きく影響を受けてきた部分だと思います。物語の中に浸っている時間は、現実から離れてすごく自分の羽を広げていられる感覚がありました。

──当時、Myukさんの中に“広い世界に出て行きたい”“解放されて自分らしくいたい”といった感覚があったのでしょうか。

Myuk それはすごくあったような気がします。あまり人前に出るのが得意ではなかったのですが、ステージに立って歌いたい、自分の世界を表現したいという気持ちは強くあって。

──歌うことは自分の世界を表現することなんですね。

Myuk そうですね…私にとって音楽を作るということは、そういうことだったような気がします。小さい頃は自分でも短いファンタジーの物語を書いたりしていました。

──物語を書くように、今は音楽の中にご自身の世界を入れているという感覚ですか?

Myuk 自分が持っている世界観というものもまだよくわかりきってはいないのですが、自分の中にいろんな主人公像がいるなと思っていて。それを小さい頃は物語にしていたのですが、主人公が男の子だったり女性だったり、年齢も性別も関係なく、いろんな自分の主人公像があって、その主人公の感情を追いながら、その人生を一つひとつ曲にしていく感覚です。