FLYING POSTMAN PRESS

笑い、感動、スリル満載の初夏映画

“じゃないほう”の新チーム、誕生
アベンジャーズに代わる新チーム?
ヒーローじゃないけれど、やるしかない

 マーベル・シネマティック・ユニバース=MCUの最新作が描くのは、新チーム<サンダーボルツ*>。アベンジャーズ不在の世界を舞台に、ヒーローでも最強でも善人でもない、それぞれ過去に傷を持つ無法者たちが新チームを結成し、圧倒的に不利な状況から世界を救おうと奮闘する姿を描き出す。

 <サンダーボルツ*>のメンバーを演じるのは、個性と実力を併せ持ったキャストたち。ロシアの暗殺者養成機関で育ったエレーナに『オッペンハイマー』(2023)のフローレンス・ピュー、かつて暗殺者で現在は国会議員のバッキー・バーンズに『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』(2024)のセバスチャン・スタン。さらに、デヴィッド・ハーバー、ワイアット・ラッセル、ハナ・ジョン=カーメン、オルガ・キュリレンコらがクセの強めなメンバーに、ジュリア・ルイス=ドレイファスが暗躍するCIA長官のヴァレンティーナに、ルイス・プルマンが謎の男ボブに扮し、映画を盛り立てていく。

 製作はマーベル・スタジオを率いるケヴィン・ファイギ。数多くのMVや人気ドラマを手がけてきたジェイク・シュライアーが監督を務め、スタイリッシュな映像と人間ドラマを絶妙にブレンドさせた語り口でMCUに新しい風を吹かせる。

 正義感や使命感はなく、チームとしてのまとまりも皆無。そんな<サンダーボルツ*>は果たして世界を守ることができるのか? “なりたかった自分”になれなかった人間たちの敗者復活戦が今、始まる。

 <サンダーボルツ*>の中心にいるのは、スパイ機関で養成されて強制的に暗殺者=ウィドウになったエレーナと、長年暗殺兵器として利用されてきたウィンター・ソルジャーことバッキー・バーンズ。エレーナはブラック・ウィドウの疑似妹であり、バッキー・バーンズはキャプテン・アメリカの親友だった男。それぞれ本家アベンジャーズとワケあり、という設定だ。さらに、キャプテン・アメリカのライバルを主張するレッド・ガーディアンことアレクセイ・ショスタコフ、素顔を見せない人間兵器タスクマスターことアントニア・ドレイコフ、新キャプテン・アメリカになり損ねたUSエージェントことジョン・ウォーカー、あらゆる物体をすり抜ける能力を持つも孤独を抱えるゴーストことエイヴァ・スターと、いずれも完全無欠のヒーローからはほど遠い。悪役、暗殺者と呼ばれ、後悔と苦難を山ほど抱えた者たちが、時にボヤき、時に嘆き、時にみっともないケンカをしながらもなんとか力を合わせ、立ち向かおうとする。

 キャラクターの複雑な胸のうち、その背景がしっかりと伝わるからこそ、彼らの言動がすんなりと入ってきて心を寄せられるし、心を動かされる。観る側の共感と感動の度合いは、MCUシリーズでも指折りと言っていい。“じゃないほう”の彼らを好きになって応援したくなる、MCU史上最も“人間ドラマ”な1本に仕上がっている。

※5月2日(金)に『サンダーボルツ*』紹介ページを追加し、記事を更新しました。

『サンダーボルツ*』

https://marvel.disney.co.jp/movie/thunderbolts

2025年/アメリカ/127分

監督 ジェイク・シュライアー
出演 フローレンス・ピュー セバスチャン・スタン デヴィッド・ハーバー ジュリア・ルイス=ドレイファス ワイアット・ラッセル ハナ・ジョン=カーメン オルガ・キュリレンコ ほか
配給 ウォルト・ディズニー・ジャパン

※5月2日(金)より全国公開

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