FLYING POSTMAN PRESS

3月公開:アカデミー賞ノミネート作

人間と時代を映す極上ミステリー
秘密のベールに包まれた教皇選挙の内幕
予測不可能、極上の密室ミステリー

 バチカン市国の元首にしてカトリック教会の最高指導者であるローマ教皇の死去後、もしくは辞任後に執り行われるコンクラーベ=教皇選挙(※ラテン語で“鍵と共に”の意)。14億人以上いるとされるカトリック教徒のみならず、世界中の人々がその行方を見守る一大行事だが、舞台裏を知る者は数少ない。外部からの介入や圧力を徹底的に取り除くべく、メディアの取材もシャットアウトして秘密裏に進められるためだ。このミステリアスなコンクラーベを題材にしたロバート・ハリスによる小説を原作に、Netflix映画『西部戦線異状なし』(2022)のエドワード・ベルガーが監督を、『裏切りのサーカス』(2011)のピーター・ストローハンが脚色を担って映画化。レイフ・ファインズ、スタンリー・トゥッチ、ジョン・リスゴー、イザベラ・ロッセリーニらがコンクラーベにかかわる聖職者たちを演じ、疑惑と野心が渦巻く選挙戦の過程をスリリングに描いていく。

 第97回アカデミー賞では作品賞、主演男優賞、助演女優賞、脚色賞、美術賞、衣裳デザイン賞、作曲賞、編集賞にノミネートされ、ピーター・ストローハンが脚色賞を受賞した、珠玉のミステリー。世界が注目する行事の一部始終に驚くと同時に、激しく胸を揺さぶられるはずだ。

 カトリックの聖職者たちが世界中から集結し、その最高指導者を選挙で決める。聖職者たちではあるが、彼らは神ではなく人間だ。その選挙過程においては野心や疑念、嫉妬が渦巻き、熾烈なパワーゲームが繰り広げられることとなる。リベラル派と保守派とに分断が進み、いがみ合い、相手を蹴落とそうと策略を巡らせるさまを観ながら、デジャヴが起きた。今の世界の縮図のように思えたのだ。

 密室ミステリーの最高峰であり、今を映す秀逸な人間ドラマでもあり。観ながらこちらもこの物語が行き着く先を想像するのだが、創作者たちは一枚も二枚も上手だ。二度三度とサプライズがあり、どんでん返しまで待っているからたまらない。衝撃の真実が明かされた瞬間、何を思うのか。心に刻まれる映画体験となるはずだ。

『教皇選挙』

https://cclv-movie.jp

2024年/アメリカ・イギリス/120分

監督 エドワード・ベルガー
出演 レイフ・ファインズ スタンリー・トゥッチ ジョン・リスゴー イザベラ・ロッセリーニ ほか
配給 キノフィルムズ

※3月20日(木・祝)よりTOHOシネマズ シャンテほかにて全国公開

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