ひとりよがりにならずに、多面的に

──FLYING POSTMAN PRESSのコンセプトは＜GOOD CULTURE, GOOD LIFE＞です。おふたりはカルチャー作品に影響を受けたことはありますか。

神尾　いちばん影響を受けたのはBUMP OF CHICKENの音楽です。中学の頃、友だちからRADWIMPSの曲を勧められ、聴いてみたら良かったんです。興味が広がって“じゃあ、RADWIMPSは誰に影響されたんだろう？”と調べてみたら、バンプに辿り着いた。バンプの音楽は少なからず自分の人格形成に影響を与えたと思います。

──BUMP OF CHICKENの音楽の魅力はどんなものなのでしょう。

神尾　とにかく歌詞が好きですね。藤原（基央）さんにしか書けない歌詞があると思っていて。今回の映画のもとになった爆風スランプの『大きな玉ねぎの下で』の歌詞は、物語になっていますよね。バンプの歌詞も同じで、物語になっているものが多いんです。例えば、『K』とか『車輪の唄』とか。また、バンプの曲はどの感情にも合うと思っていて。落ち込んだ時にも楽しい時にも僕はバンプを聴きたくなります。だからこそ、いちばん好きな曲は何かと聞かれたら、答えるのが難しいです。その時々の感情によって聴きたい曲が変わってくるので。ちなみにバンプの歌詞は、藤原さんの実体験に基づいているものはあまり多くないそうです。1曲1曲の主人公が違うからこそ、聴く人それぞれが“自分の曲だ”と思える曲を見つけられるんだと思います。また、だからこそ藤原さん自身を主人公に書いた曲にたまに出会うとよりグッとくるものがありますね。例えば、『ベル』は藤原さんの実体験から生まれた曲で、すごく好きです。

桜田　私は『17歳のカルテ』（1999）という映画です。精神科病棟を舞台にした女の子たちの話なんですが、患者のボス的な存在を演じたアンジェリーナ・ジョリーさんの演技に衝撃を受けました。だいぶ前の映画です。18歳の頃に出会いました。

──ご自身が生まれる前の映画によく辿り着きましたね。

桜田　当時、アンジェリーナ・ジョリーさんの出演作をいろいろ観ていた流れで辿り着きました。向き合う相手にひとこと投げかけられ、その言葉に反応するアンジェリーナ・ジョリーさんの目だけが映るところがあって。目だけでこれだけのことを伝えられるのかと衝撃を受け、引き込まれました。そのカットだけを何度も繰り返し再生したことを覚えています。“こういう演技ができるようになりたい”と、俳優として火がついた瞬間でしたね。数年前、久しぶりに観たんですが、18歳の頃に観た時とはまた違う感情が芽生えました。観る年代によって感じられることが違うんだなと実感しました。

──俳優として作品を送り出す側にいる今は、どんなことを大切にしていますか。

神尾　極端な話、俳優の僕は駒のひとつでしかないと思っています。だから、あまり自分の思いだけで演じないようにと心がけていて。つまり、自分の思いだけでやって作品として伝えたいことの邪魔をしてはいけないと。監督がどんな作品にしたいと思っているのかをすり合わせることが大切だと思っています。

桜田　私はいろんな視点から見ることを大切にしています。自分には理解できない役をいただくこともあるものですが、そんな役でも私ひとりの価値観や経験だけを基準にしないで、いろんな視点から見てみようといつも思っています。役についてだけではなく作品全体も同じです。いろんな視点から見ることで、役や作品全体を豊かにしていけたらと思っています。

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締切：2月17日（月）