FLYING POSTMAN PRESS

ハンバート ハンバート最新作が到着

夢から覚めて慌ててレコーダーに録音

──今作『カーニバルの夢』はさまざまな“夢”をテーマにした曲が収録されていますが、テーマはどのように決めるのでしょうか。

遊穂 アルバムを作る時は、だんだん曲が出揃ってきた時にスタッフに見てもらうんです。占い師みたいな感じで(笑)。そこで「今回はこういう曲が多い」とか「こういうイメージが共通している」といったキーワードを言ってもらって、そこからタイトルを考えていきます。

良成 今回は曲を並べた時にいろんな意味の夢の曲が入っていて、自分でも“夢”がテーマになっているなというのが見えてきて。夢の中で作った曲も2曲あって、1曲目の『一瞬の奇跡』と最後の『クリスマスの朝』は夢の中でメロディを考えていて、起きた時にまだ覚えていたので慌ててレコーダーに録音して曲になりました。

──以前にインタビューで歌詞を書く時は、その曲が持っている物語を言葉に引き出していくといったことをおっしゃっていましたが、その作り方は今も変わらずですか?

良成 変わらずですね。すぐに出てくることもあれば、なかなか出てこないこともあります。出てこない時はひたすら考えて、缶詰状態です。時間に余裕がある時は一旦忘れて出てくるまで待つ時もあるんですが、締切が近づいている時は…。

遊穂 自転車でぐるぐる近所を回ったりね(笑)。

良成 机に向かって「よし書くぞ」って書くということはほとんどなくて、風呂に入っている時や電車に乗っている時、自転車に乗っている時など、ほど良くボーッとしている時間に考えることが多いんです。今回は行き帰り12時間ほどの長時間フライトの日があったので、『一瞬の奇跡』と9曲目の『恋はこりごり』は飛行機の中で書きました。

──ドキュメンタリー映画『大きな家』の主題歌でもある『トンネル』は、曲も歌詞も作品に寄り添っていて、エンドロールで流れた時は感動しました。

良成 僕も作品にぴったりでびっくりしました。この曲は主題歌の話をいただく前に曲も歌詞もできていて、録音を始めていたんです。お話をいただいた時に、すごく協力はしたいんだけどあまり時間がないので難しいかもしれないなと思いながら映像を観せていただいたら、スタッフが「この曲がぴったりなんじゃない?」と言って。監督や映画の制作スタッフにも聴いてもらったら「本当にぴったりだね」ということになりました。監督の要望で最後に少しだけ音をダビングしただけで、歌詞も最初のまままったく変えていないので、本当に不思議です。

遊穂 逆に、映画を観てからではこの詞はできない気がする。

良成 うん、意識し過ぎて書けなかっただろうね。

──『大きな家』の中でかかると、劇中の児童養護施設に暮らす子どもたちの心境に寄り添っていると感じましたが、良成さんが歌詞を書かれた時は、どんな心境からこれらの言葉が生まれたのでしょうか。

良成 作っていたのがちょうどコロナ禍だったんです。その頃抱いていた“この先どうしたらいいのかな”という鬱々とした気持ちが反映されていて、それが作品にシンクロしたんだと思います。