SPECIAL ISSUEMUSIC
Aoooのはじまりを石野理子に聞く
ここからライブもできるなという気持ち
──アルバム『Aooo』を通して聴いていると、“これはもうライブが観たい!”と思わずにはいられませんでした。
石野 ありがとうございます。アルバムがライブと近い感じにはなっていると思います。良い意味でファーストアルバムでしかできない鋭さみたいなのを出したくて、全員で一緒に一発録りでレコーディングしたんです。そこから出た勢いが残っているんだと思います。
──勢いを感じつつも、精度は高くて。今アルバムが仕上がっての心境は?
石野 とりあえずめっちゃ安心、という感じです。1年間かけてようやくある程度の曲数が揃ったので、ここからライブもできるなという気持ちで。
──石野さんが作詞されている曲が6曲。ひかるさんとも共作されていますが、制作はいかがでしたか?
石野 ひかるちゃんとの制作は、作詞が私で、作曲をひかるちゃんという形が多いのですが、音の部分は安心してお願いしていました。メンバーとの制作時間も増えてきて、ここは頼ってもいいなというのが自分の中でもわかるようになってきたというか。そういう部分ですごく助けられたのと、性格はみんな真面目なのですが、遊び心を持ってやろうみたいな気持ちが全員にあるので、普段のソロ活動だったらできないようなふざけた感じを入れたいとなった時にその好みが近かったりして。それがすごく楽しかったです。
──作詞の面で何か意識されたことはありますか?
石野 私が詞を書いた『青い煙』や『Casablanca』は、同世代だったり10代の方にも響いてほしいなという思いを込めて、自分が中高生の思春期を過ごしていた時に感じていたことを思い出しながら書きました。同じ思いを持った方に、たくさん聴いてもらいたいなと思っています。
──制作面で、石野さんがこれまで触れてきたカルチャーから影響を受けてきたところはありますか?
石野 映画はたくさん観てきたので、影響を受けている部分はあると思います。『Casablanca』は映画の『カサブランカ』(1942)からヒントを得ていて、映画の“カサブランカ”はモロッコの都市のことを指しますが、言葉だけ聞くと呪文みたいにも聞こえて面白いなと思って。調べると花のカサブランカの花言葉には“祝福”といった意味もあったので、焦燥感を抱えていた思春期のあの頃に祝福をあげられたらなと思って付けました。映画はミステリーやサスペンス、ヒューマンドラマ、史実に基づく話などが好きでよく観ます。フランスの監督や韓国の監督の作品も好きなものが多いです。
──最近観た作品で何か印象的だったものはありますか?
石野 昨年、韓国のイ・チャンドン監督の6作品と新作を上映するレトロスペクティヴを全作観に行きました。周りに映画の好みが近い人が多いので映画館で知り合いをちらほら見かけたのですが、私はいつもひとりで行くので「ひとり映画部」と呼んでいます(笑)。そうした作品からヒントをもらって自分の中で言葉遊びをしたりしながら歌詞に繋げることも多いですね。