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音楽×青春のアニメ『きみの色』

注目のアニメーション監督・山田尚子
音楽×青春で届ける最新作『きみの色』

 「けいおん!」シリーズ(2009~)や『映画 聲の形』(2016)などを手がける山田尚子監督のオリジナル長編最新作『きみの色』が8月30日より全国公開へ。本作はアヌシー国際アニメーション映画祭2024の長編コンペティション部門に出品したほか、第26回上海国際映画祭では金爵賞アニメーション最優秀作品賞を受賞。国内外で評価されるアニメーション監督が最新作で<音楽×青春>のストーリーを紡いでいく。

 メインキャラクターは3人の高校生。人が<色>で見えるが、唯一自分の色だけは見えないトツ子、高校を退学したことを同居する祖母に打ち明けられずにいるきみ、母の期待に反して隠れて音楽活動をしているルイ。それぞれ誰にも言えない悩みを抱える3人が出会い、バンドを組むことに。そして、音楽で心を通わせていく様子を<色>と<音楽>を巧みに使った美しくエモーショナルな世界の中で描き出す。

 これまでの山田尚子作品の集大成とも言える本作には、強力なスタッフとキャストが集結している。脚本は「けいおん!」シリーズ以降、多数の作品で山田監督とタッグを組む吉田玲子、音楽・音楽監督は『映画 聲の形』以降、やはり山田監督作の常連である牛尾憲輔。トツ子、きみ、ルイを演じるのは、1600人の候補者の中からオーディションを経て選ばれた鈴川紗由、髙石あかり、木戸大聖。さらに声優の悠木碧、寿美菜子、芸人のやす子、俳優の戸田恵子、新垣結衣らがキャストに名を連ね、映画を盛り立てる。

 仲間と一緒に音楽に打ち込みながら、互いに思いやり、同時に自分自身の本当の気持ちと向き合う高校生たちの姿に胸が揺さぶられること間違いなし。青春を深く味わう夏のひとときを。


point of view

 多彩かつ繊細な色合いと、水彩画を思わせる淡くやさしいタッチ、そして、キャッチーでエモーショナルなバンドサウンド。山田監督らしいストーリーテリングが極まっている。また、<色>と<音楽>だけが目立つものになっていないのもいいところ。<色>と<音楽>が今を生きる高校生たちの葛藤を物語る手段としてしっかりと機能し、それらすべてが高校生たちの揺れ動く心に寄り添い、折り重なって、忘れがたい青春のタペストリーを織り上げている。

 周りに合わせ過ぎてしまったり、ひとりで傷ついて殻にこもったり、自分自身の心を偽ったり。そんな3人の高校生が自分自身と向き合い、“好きなことは好き”と言える強さを身につけていく。青春を描く夏の劇場アニメーションに、またひとつ印象的な作品が誕生した。


『きみの色』

https://kiminoiro.jp

2024年/日本/101分

監督 山田尚子
脚本 吉田玲子
声の出演 鈴川紗由 髙石あかり 木戸大聖/やす子 悠木 碧 寿 美菜子/戸田恵子/新垣結衣 ほか
配給 東宝

※8月30日(金)より全国公開

©2024「きみの色」製作委員会