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映画『きみの色』 山田尚子監督ティーチイン付き学生限定試写会 │ 札幌レポート

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映画『きみの色』 山田尚子監督ティーチイン付き学生限定試写会

8月30日(金)より全国される映画『きみの色』の公開を記念して、7月25日(木)にTOHOシネマズすすきので開催されたイベントの模様をレポート! 山田尚子監督をゲストに迎え、会場に集まった約200人の学生との熱気あふれるティーチイン付き学生限定試写会の模様をお届けします。

監督:みなさんに届いてほしいのはもちろんのことなんですけど、触れると壊れてしまうような気持ちをすごく大事に描いているので、そういったものを大事にしている人たちだったり、何か取り残されたような気持ちになっている人がいたら、ぜひ作品でお会いしたいなと思っていて、そういう方にも観ていただけたら嬉しいなと思います。

監督:作品に出てくる登場人物の一人ひとりを“生きた人間”だと思い込んでいるので、大切にしているのは “キャラクターの心を描く”、“尊厳を保つ“ことです。

監督:いくつか学校を取材させていただいたり、実際に先生や卒業生の方にいろいろとお話を聞いたりしました。トツ子が通うのはカトリックの学校です。イメージだけだと、すごく真面目で静かなお嬢様学校を想像してしまうかもしれません。けれど、実は女子高って本当にやんちゃだし無邪気だし、いろんな子がいるし。学校の教えだけでは、囲い切れないみんなの元気というか、茶目っ気があふれている場所だと思うので、そういう感覚を大事にしたいなと思いました。いろんな人のお話や自分の実体験なんかをいろいろ詰め込んで描いてみました。

監督:一つと言い切れないことなのですが、女の子だからといって内股にしすぎないとか。トツ子の場合は、バレエをやっていた子なので少し“がに股”なんですよ。「がに股になっちゃうよな〜」とか、「がに股がかわいいよな〜」とか。そんな感じで型にはめないようにするっていうことでしょうか。「このキャラクターだったら、こう動くだろうな」とか、「手を振るときの手の高さはこの辺だろうな」「めちゃくちゃ大きく手を振るかな」とか、そういうのを各キャラクターに対して一つひとつ考えていくことをすごく大事にしています。

学生:劇中の音楽で、特に気に入っているフレーズがあれば教えてください。

監督:トツ子が考えたんですけど、『水金地火木土天アーメン』の歌詞に、“きみちゃん”と“ルイくん”と“トツ子”の名前が全部入っているんです! いま、初めて言いましたけど(笑)。1番にも2番にも入っています。トツ子に友だちができたうれしさで、名前を入れたかったんです。探してみてください。

監督:これがすごく難しくって。自分の世界、自分が見えている世界には、実は自分がいないですよね。なので自分を見ることができない、自分の存在を感じることができない。「はて? どんな色なんだろう」というのは、すごくずっとわからないままな気がします。そういったものを「あなたはどんな形をしているよ」とか、「どんな色をしているよ」って言ってくれる仲間がいるというお話を書いてみたかったんです。

監督:今日は、お集まりいただきまして、本当にありがとうございました。ひと足先にみなさんに観ていただけて、こんなに楽しそうなお顔で迎え入れていただけて、本当に嬉しいしほっとしています。この作品が世に生まれて良かったなって思いました。8月30日に公開されるので、またぜひ劇場で観ていただけたらと思います。またお会いしましょう。今日はどうもありがとうございました。

 

©2024「きみの色」製作委員会

映画『きみの色』

2011年に公開され社会現象を巻き起こした『映画けいおん!』、さらに2016年に公開し日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞など、国内外問わずに高い評価を受けた名作『映画 聲の形』など、全世界が注目するアニメーション監督・山田尚子の「音楽✕青春」集大成となる待望の完全オリジナル長編最新作がいよいよ公開。

監督:山田尚子
声の出演:鈴川紗由(日暮トツ子)、髙石あかり(作永きみ)、木戸大聖(影平ルイ)、他
配給:東宝
 

8月30日(金)より全国公開
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