CINEMA
「虎に翼」梛川善郎監督が語る名古屋の魅力
- 名古屋

劇場版「虎に翼」梛川善郎監督が ロケ地・名古屋市役所でトークショー
毎年名古屋市で行われている「歩こう!文化のみち」。今年も10月31日から11月23日までクイズラリーやガイドツアーなど様々なイベントが行われているが、その一環として、文化の日である11月3日に名古屋市役所本庁舎の一般公開が行われた。それにあわせて、名古屋市役所本庁舎でもロケが行われた劇場版「虎に翼」(2027年1月15日公開)梛川善郎監督のトークショーも開催。名古屋市の歴史的建造物の魅力について語ってくれた。
名古屋は歴史的建造物を大切にしていて インスピレーションが湧いてくる街
──まずはドラマ、そして劇場版でもロケ地となったこの名古屋に戻ってこられた今のお気持ちをお聞かせください。
梛川 ドラマのときから何度も足を運び撮影をしたので、名古屋のことはホームのように感じていて、とても落ち着きます。名古屋市役所は愛知県庁と同じで歴史的建造物ですが、雰囲気がすこし違いますよね。県庁のほうが少しだけ堅くて、市役所のほうが柔らかいです。
──本日の会場でもある正庁はスピンオフドラマ「山田轟法律事務所」の撮影で使われた場所です。
梛川 轟くんが最高裁の裁判官の前で弁論するシーンですね。法律や裁判って難しそうで冷たいもののようなイメージを持たれがちですが、人間が社会のためにつくって運用してきたものなので、そこには人々の思いが込められているんです。だから裁判のシーンだからといって怖そうな雰囲気の場所ではなく、この温かみを感じさせる正庁の雰囲気が良いなと思ったんです。
──全国に様々な場所がある中で、この名古屋がロケ地の候補にあがった理由はなんだったのでしょうか?
梛川 戦前の裁判所での撮影が必要だったことが大きな理由のひとつです。現存している建物はいくつかありますが、寅ちゃんのモデルとなった三淵嘉子さんが実際に働いていたのが、名古屋市市政資料館でした。そして市政資料館と市役所、県庁がすべて徒歩圏内にありますから、近い範囲でいろんなシチュエーションが撮影できて、ここでこのシーンを撮ろうとどんどんインスピレーションが湧いてきたんです。また、名古屋からすぐ近くの東浦町に戦後の荒廃した街を再現できる場所があったというのも理由のひとつですね。
──ドラマの放送期間中は市政資料館の来場者が普段の何倍にも増えたそうですね。
梛川 何度か撮影で足を運びましたが、行くたびに館長さんたちの態度が変わっていきました。最初は「そうですか、ドラマの撮影ですか」という感じだったのに、だんだん「ようこそお越しくださいました」に(笑)。出迎えてくださる職員の皆さんの人数もどんどん増えていきました。嬉しい限りです。
──名古屋市役所は国の重要文化財に指定されていますが、建物の魅力はいかがですか?
梛川 大理石と木の融合が素晴らしいですね。一番のお気に入りは議場へと繋がる廊下です。この廊下のように高低差がある作りは他にはあまりないと思います。こういう仕事をしていると、歴史的建造物で撮影をすることも多いですが、建造物を維持していくのはとても大変なことだと思います。予算の都合で維持を諦める自治体も多い中、名古屋は市民の方々も含め、歴史的建造物を大切にされているなと実感しています。
──キャストの皆さんともそういった場所や建物の話題はありましたか?
梛川 みんな名古屋めしの話題ばかりでした(笑)。1、2週間泊まり込みでの撮影のなかでの楽しみはやはり食でした。

──紅白歌合戦では名古屋市市政資料館での米津玄師さんのパフォーマンスもありました。
梛川 最初にショートドラマがあって、米津さんの歌唱に繋がるという作りになっていましたが、ドラマ部分は僕が担当しました。寅ちゃんたちが裁判を傍聴して廊下に出てくると、なぜかベンチに革ジャンを着た長身の男性が座っていて、寅ちゃんが「よねさん!」と山田よねを呼ぶと米津玄師が振り返るという。この構成を夜中に思いついたときはガッツポーズがでました(笑)。午前中にドラマ部分を撮影、夜に歌唱シーンを撮影するという長い一日でした。ドラマ部分の撮影は米津さんは緊張されていたようです。歌唱シーンは米津さんも紅白のスタッフもノンストップで撮ることにこだわっていらっしゃいました。
──今回の主題歌「こんにちはごきげんよう!」米津さんの描き下ろしです。今回は米津さんに完全にお任せして曲を作っていただいたそうですが、はじめて聞いた時の感想はいかがでしたか?
梛川 僕も脚本の吉田さんも主人公が亡くなるシーンは見たくないと、ドラマでは寅の晩年は飛ばしてしまったのですが、劇場版ではそれに向き合い、「どう人生を終えるか」もテーマのひとつと考えていました。だからバラードっぽい曲になるのかなと思っていたので、そうきたか、と。米津さんは解釈力おばけの天才ですから、編集中に映像をお渡ししてどう理解して表現に落とし込むかは米津さんにお願いしました。何回も聴けば聴くほどこれしかないなと思える曲ですね。
──今回もとても楽しみな作品ですよね。私はすでに試写をさせていただきましたが、冒頭から泣いてしまいました。
梛川 今回も名古屋市役所や市政資料館などが出てきます。どんなふうに出てくるかはお楽しみにしていただければ。あと、愛知県庁の本庁と西庁舎をつなぐ地下道をずっとなにかで使いたいと思っていたのですが、今回重要なシーンで使わせていただくことができました。
──聖地がまたひとつ増えたということですね。ここからはお客様からの質問にお答えいただければと思います。
お客さん 寅子は実在の人物をモデルにしたキャラクターですが、伊藤沙莉さんのイメージともよくマッチしていました。このキャラクター像はどのように作られたのでしょうか?
梛川 三淵さんについて我々は知ることのできる情報は、いくつかの文献とNHKに残っているニュース映像、そしてご遺族の方のお話です。そういったものと、演じる伊藤沙莉の個性、流れてきた歴史などをすべてミックスして、それに対して今を生きる我々がどう感じるかということが、寅子のキャラクター像を作るということでした。三淵さんとキャラクターの別の名前にしたのは、「虎に翼」は三淵さんの伝記作品ではなく、主人公は三淵さん本人ではなく、視聴者が観ていて楽しめる三淵さんへのリスペクトを込めたキャラクターとするためです。
──そろそろお時間となってしまいました。最後に皆様へのメッセージをお願いします。
梛川 皆様にドラマをご支持いただけたことで、映画化という形になりました。「虎に翼」は皆様といっしょに旅をしてここまで来た作品です。劇場版もぜひご覧いただき、感想などをいただければと思います。今日は本当にありがとうございました。

劇場版「虎に翼」

https://toranitsubasa.toho-movie.jp
| 監督 | 梛川善郎 |
|---|---|
| 脚本 | 吉田恵里香 |
| 主題歌 | 米津玄師「こんにちはごきげんよう!」 |
| オープニングテーマ | 米津玄師「さよーならまたいつか!」 |
| 出演 | 伊藤沙莉 岡田将生 石田ゆり子 岡部たかし 仲野太賀 森田望智 上川周作 土居志央梨 戸塚純貴 桜井ユキ 平岩紙 ハ・ヨンス 羽瀬川なぎ 南沙良 大城理樹 野呂佳代 原ふき子 土村芳 蓮見翔 高杉真宙 国仲涼子 / 髙嶋政宏 内田有紀 松本幸四郎 |
| 配給 | 東宝 |
※2027年1月15日(金)公開
©2027 劇場版「虎に翼」製作委員会
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