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「アニメを観た方も観ていない方もびっくりさせます!」│劇団四季『バケモノの子』大阪公演12月開幕!
- 関西

細田守監督の長編アニメーションを劇団四季がミュージカル化した『バケモノの子』。2022年4月に東京にて開幕した本作が12月10日(日)にいよいよ大阪に初上陸する。大阪公演の開幕に向けて田中彰孝(熊徹役)、大鹿礼生(蓮/九太役)、菊池俊(一郎彦役)のキャスト3名による取材会が行われた。 【STORY】 バケモノ界・渋天街(じゅうてんがい)に迷い込んだひとりぼっちの9歳の少年・蓮(れん)は、乱暴者だが心に強い信念を持つバケモノ・熊徹(くまてつ)の弟子となることを決意し、「九太」と名付けられる。 熊徹はバケモノ界を束ねる次期宗師(そうし)をかけて、強さも品格もある宿敵・猪王山(いおうぜん)と争うこととなり、九太とぶつかり合いながらも修行の日々を重ねて互いに成長し、ふたりの間には次第に本当の親子のような絆が芽生え始める。 一方、猪王山の息子で九太と同世代の一郎彦は、自分にはバケモノらしいキバが生えてこないという悩みを抱えていた。 バケモノと人間の間で「自分は何者か?」と揺れ動く九太。ある日偶然人間界に戻った九太は高校生の少女・楓と出会い自身の生きる道を模索していく。 やがて訪れた次期宗師を決する闘いの日。人間とバケモノのふたつの世界を巻き込んだ大事件が起きてしまう…。
国内外のクリエイターが集まり 舞台ならではの魅力が詰まっている(菊池)
——皆さんが思う本作の魅力と昨年の東京公演を経て今回演じる役についてブラッシュアップしたいところがあればお聞かせください。 菊池 今回「バケモノの子」を舞台化するということで、国内外で活躍されている様々なクリエイターの方々と共同でゼロから作り上げました。殺陣、映像、楽曲、衣装、トリック、パペットなど、舞台ならではの魅力がたくさん詰まっています。僕が演じたのは猪王山の長男での一郎彦という役で、一郎彦は強さと品格を兼ね備えていて父のような立派な剣士になることを夢見て修行しているのですが、父のようなキバや豊かな毛並が自分には出てこなくて“どうして僕だけ生えてこないのだろう”“自分は何者なのだろう”という孤独感や劣等感があり、人間でもあるにも関わらずバケモノの世界でみんなから受け入れられて成長していく九太に苛立ちを抱いています。一郎彦は九太に対して憎悪を向けて怒鳴るセリフが多いこともあり、喉のケアが一番苦労しました。大阪公演ではさらに一歩上手くケアできればなと個人的に思っています。 ——田中さん、大鹿さんはいかがですか? 田中 細田守監督の映画を舞台化するだけではなく、劇団四季が長年上演してきたファミリーミュージカルやオリジナル作品などの手法を踏襲している部分もたくさんありますので、お子さんにも見やすくなっていると思います。僕は熊徹がカッコ良くて憧れているのですが、東京公演では自分にない要素を求めすぎて「演じていた」と感じるところがあります。大阪公演に向けたお稽古ではどんどん自分を解放してリラックスできるような熊徹を目指したいと思っています。 大鹿 劇団四季は主に海外のミュージカルを上演していることが多いため、言葉を英語から和訳をしているのですが、人によっては聞き馴染みがない言葉があったかもしれません。今作は日本語の歌詞なので言葉と音楽がスムーズに入ってきやすいと思います。東京公演では試行錯誤しながらありのままの自分で演じるようにしましたが、大阪公演では劇団四季の教えでもある「居て・捨てて・語る」の通り、自分を削ぎ落としてより誠実に演じたいと思っています。 ——東京初演の時に苦労されたことはありますか? 田中 東京公演は昨年の4月開幕だったのですが、その年の1月までミュージカル「ライオンキング」のシンバ役として出演していたんです。僕は16年半ほどシンバ役を演じているのですが、シンバは(「バケモノの子」の)今作でいうと蓮(九太)、息子側のキャラクターです。長年、父親に憧れを抱く役を務めてきましたが、今回は父親側である熊徹へのチャレンジ。当初は、熊徹を演じているはずなのに、熊徹に憧れてしまう自分がいて、身体に無理をしたことがたくさんありました。声が出なくなったり、ヘトヘトになったり。でも、もっと力を抜けるところがあるのではないかと葛藤しながら探っていたところ、徐々に力が抜けていきました。

アニメを観た方も観ていない方も びっくりさせます!(田中)
——“ここはアニメーションに負けていない!”というアピールポイントや好きなシーンがあれば教えてください。 大鹿 舞台では、バケモノが戦う時に身体が大きくなるシーンをパペットで表現しています。お客さんの想像力でその大きさが表現されるというのはアニメーションとはまた違う良さがあると思っています。 田中 アニメーションは絵で人の心情を表現されますが、ミュージカルでは曲に心の内を乗せていますので、そこはミュージカルの醍醐味と楽しみ方じゃないかなと思います。映像には映像の良さがあると思うのですが、映像から舞台になったという驚きをまずは生で体感していただきたいです。 菊池 生の舞台なので毎公演違っていて同じ公演というのはひとつとしてないので、同じ作品でも進化し続けることができると思っています。基本は同じですが、同じ役でも演じる人が変われば作品の雰囲気もまた異なりますので、その日によって違った楽しみ方ができるのも生の舞台の魅力だと思います。 ——田中さんは16年間「ライオンキング」のシンバの役をされていますが、その間は他の作品のオーディションも受けられていたのでしょうか? 田中 入団して20年のうちに10役ほど演じています。ただ、シンバ役を長く演じていることもあり、他の作品に挑戦する際、自然とシンバのトライの仕方で役に臨んでいたように感じます。でも、「ノートルダムの鐘」で鐘付き男のカジモド役を演じた時に、その演じ方では通用しないと感じたんです。そこから僕自身の人生、そして俳優として次の段階に来たんだなと思い、「バケモノの子」のオーディションを受けることにしました。このタイミングで熊徹という素敵な役に出会えたと思っています。 ——九太役も一郎彦役もお二人にぴったりの役だと思うのですが、どの役を演じるかはご自身で考えてオーディションを受けられたのでしょうか? 菊池 今までいただいた役は優等生のキャラクターが多かったのですが、今回はアニメーションを観た時に僕自身が一番やりたいなと思ったので受けました。 大鹿 僕はオーディションを受けるかずっと迷っていたのですが、大先輩から「バケモノの子(のオーデイションを)受けないの?」と言われて、迷っていることを伝えると、「あなたは九太にぴったりだから、絶対受けた方がいいよ」と後押ししていただき、もし演じるなら九太役が自分は近いなと思っていたこともあって受けることにしました。 ——劇団四季の新しいオリジナルミュージカルを観られるのをずっと待っていた大阪の方も多いと思います。そんな大阪の皆さんにココを観て欲しいというところをPRしてください! 田中 大阪の皆さん、これまで待っていただきありがとうございます。東京で「バケモノの子」が開幕した時はコロナ禍の真っ最中でご観覧いただく際にも様々な制限がありましたが、それがようやく解除されて初めての公演が大阪です。お客様がどんな風に反応してくださるか楽しみにしています。 大鹿 プロジェクションマッピングやパペットなど、劇団四季の新しいミュージカルとしてぜひ観に来てもらえたらと思います。 菊池 殺陣はみんなで綿密に稽古をして、擦り合わせていいものができていると思います。これから大阪公演に向けて稽古が始まるのですが、東京公演よりさらに進化したものをお届けできると思います。特に九太との殺陣のシーンは期待していて欲しいです。後悔はさせません! 田中 最後に一言。アニメーションをご覧になった方も、アニメをご覧になっていない方もびっくりさせます!
劇団四季オリジナルミュージカル『バケモノの子』大阪公演
公演日程 | 12 月10 日(日)~2024 年5 月25 日(土)千秋楽 |
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会場 | 大阪四季劇場 |
チケット | 発売中 ※12月13日(水)~2024年3月31日(日)公演分 ※12月10日(日)の初日公演は全席種が事前抽選販売の対象となり、通常の販売はございません。 |