「400年以上も愛されてきたのは、時代が変わっても共通するものが描かれているから」│『ロミオとジュリエット』高杉真宙が語るシェイクスピアの魅力

  • 名古屋

世界中で知られている恋愛ストーリー『ロミオとジュリエット』が今、最も旬な若手実力派俳優の高杉真宙&藤野涼子にて、この秋上演される。若者の、疾走する激しくもたった5日間の恋の結末を描いたこの作品について、初のシェイクスピア劇にてロミオ役に挑む高杉真宙に話を聞いた。

今回、シェイクスピア作品の中でも最も有名な『ロミオとジュリエット』のロミオ役を演じられるということで、プレッシャーはありますでしょうか?

“演劇といえば”という作品で、舞台に関わる者としていつかはと憧れていたので、プレッシャーは感じています。年齢によって演じられる役が変わってくるので、10代のロミオを演じられるギリギリのタイミングである今、この役をいただけてとても嬉しいです。

ジュリエット役の藤野さんの印象は?

落ち着いていて安心させてくれるような和やかな方です。お芝居に大切なのは感性なので、先輩後輩なんて関係ないですが、僕のほうが先輩なので、現場の雰囲気作りではリードしていけるといいなと思っています。

役作りはどのようにされていますか?

まだ現時点では本読みを2回しただけなので、演技プランがしっかり固まっているわけではないですが、ロミオは恋愛にまっすぐでとても純粋なので、そのピュアさを感じさせる演技がしたいです。また、シェイクスピアの作品はとても詩的な表現が多いので、そのリズムを崩さず美しく伝えること、そしてそれだけではなくそこに込められた意味や感情も伝えることが今回の目標です。ジュリエット役の藤野さんはシェイクスピアのリズムを崩さずにうまく自分の中に取り込んで演技をされていて羨ましいと思っています。

セリフには日常生活ではあまり使わない言い回しも多く、覚えるのが大変なのでは?

はい、どうやって覚えたらいいんですかね?長年の疑問です。先輩方に聞くと、それぞれの手法があるようですが、やはり皆さん時間を掛けて覚えていらっしゃるようです。僕は台本を歩きながら、セリフを声に出して覚えるようにしていますが、今回は長いセリフも多く特に苦労しています。でも、例えば”あなたが好き”という感情をそのまま伝えるのではなく、たくさんの言葉を使って表現するのは、シェイクスビア作品の特徴ですよね。読んでいて面白いなと思うし、舞台を観ている人にも様々なことを考えさせる。芸術作品は表現する側だけでなく、受け取る側の協力も必要だと思います。受け取る側が理解しようと思わないと表現したいことが伝わらないんです。それを顕著に感じられるのが、400年以上、シェイクスピアの作品が愛されてきた理由の一つなんじゃないでしょうか。

ほかにはどんなところが『ロミオとジュリエット』の魅力だと感じられていますか?

このお話が書かれたのは作中でも登場するペストが、流行していた時代で、コロナ禍を経験した私たちと通ずるところもあります。また、ロミオやジュリエットが感じていた閉塞感は、こんなにもインターネットが発達して世界が広がったはずの時代を生きる僕たちが感じている息苦しさに近いものかなとも思います。時代が大きく変わっても共通するものが描かれた作品だからこそ、こんなにも長い間読みつがれ、演じられてきたのだと思います。

作品のテーマである「愛」もその一つですよね。高杉さんにとって「愛」とは?

“人生を彩るもの”です。愛によって感情が揺さぶられることで人としての成長が促される。相手は人でも動物でも作品でも、何でも良くて、相手によって色が違う。だから人生がカラフルで色鮮やかになるんだと思います。

10/14、15には愛知での公演がありますね。愛知にはどんな印象をお持ちですか?

ファッションや食など、文化が確立している街ですよね。それと…、ひつまぶしが大好きです。

なにか愛知でのエピソードがあれば教えてください。

先日、30分くらい歩いて矢場とんに行ったのですが、お休みだったんです。なので、隣のお店でひつまぶしを食べようとしたらそこも閉まっていて…。改めて矢場とんを見ると、ぶーちゃん(矢場とんのキャラクター)の顔ハメ看板を見つけて…。一人だったので、近くにいらっしゃった方にお願いして撮影してもらいました(笑)。僕、顔ハメ看板があったら絶対に写真を撮るようにしているんですよ。

高杉真宙
1996年7月4日生まれ、福岡県出身。2009年より活動をはじめ、2012年には映画「カルテット!」で初主演を務める。2024年大河ドラマ「光る君へ」(NHK)に出演予定。


『ロミオとジュリエット』

出演 高杉真宙 藤野涼子 矢部昌暉 新原泰佑 三浦獠太 佐伯大地 冨樫真 廣田高志 一谷真由美 松澤一之 星田 英利 石井愃一 他
ウィリアム・シェイクスピア
翻訳 松岡和子
演出 井上尊晶

10.14(土)・10.15(日) 東海市芸術劇場 大ホール

チケット好評発売中 全席指定 ¥11,000 / 学生席(当日引換券) ¥5,500(税込) ※未就学児入場不可