新しい趣味にいかが?立川かしめと傍島将大が語る“落語の楽しみ方とこれから”

  • 名古屋

イベントの規制緩和も進み、少しずつ出かけたり、ライブや舞台などの公演に足を運んだりする機会は増えてきたが、それでもまだ、エンタメ不足を感じている人も多いのでは?
そこで、新たな趣味として“落語”はいかがだろうか。一見敷居が高そうな伝統芸能の世界だが、オンラインでの配信も増えていて、より気軽に楽しむことができるようになっている。

今年4月に二ツ目に昇進した注目の若手落語家・立川かしめと、昨年から落語プロジェクト「極rakugo」をスタートさせ、古典落語に挑戦している俳優・傍島将大。積極的にオンラインでの配信を行う2人が語る“落語の楽しみ方とこれから”とは。

 

お二人くらいの世代だと、落語にあまり触れたことがないという人も多いと思います。落語に興味を持たれたきっかけをお聞かせください。

かしめ「最初に落語に触れたのは大学生のころでした。たまたまテレビで「竹の水仙」という演目が放送されているのを観たのですが、これは落ちがないタイプの話だったこともあり、そのときは魅力がわかりませんでしたね。でも、その次に観た三遊亭白鳥師匠の「スーパー寿限無」という「寿限無」をアレンジしたものが、ものすごくおもしろくて。こんな自由な落語もあるのか!と、それまでお年寄りが観る芸能だと思っていたイメージが一気に変わりました。落語家になろうと思った初めのきっかけは前に務めていた広告代理店での人事面談なんです。自分がやりたいことを100個書き出すという作業をしたのですが、その時に楽しくしゃべりたおす落語のことをふと思い出して…“人の前で話をしてお金がもらえるなんて最高だし、話すことは大好きだし、これならできるかも!?”と。でも実際演じてみたら全くできませんでしたが(笑)」

傍島「僕はお仕事で、名古屋出身の落語家さん達とご一緒することがあって、初めて落語を生で聞きました。本当に単純に、落語って面白い!って思って。
例えば演劇なら複数の役者、演出家、脚本家などたくさんの人が集まって作り上げますが、落語家さんは全て一人で行っているのがすごいなと! 落語家さん達の芸への向き合い方もすごく刺激的で。それからは落語を沢山聞いて、自分でも挑戦してみたくなりました」

初めて落語に触れる人におすすめの演目はありますか?

傍島「若い方には、まず新作落語や古典落語を現代風にアレンジしたものがおすすめです。そのほうが情景をイメージしやすいし、落ちを理解しやすいので。落語はその独特の“落ち”がわかるとおもしろくなってきて、他の話や古典落語もどんどん聞いてみたくなるんです。そして沼に嵌っていく(笑)」

かしめ「どの演目でもいいので、なるべく歳が近い人の落語を観に行ってみるいいかなと思いますよ。実は落語家って自分で受付やお見送りもするのでお客さんとの距離が近いんです。僕なんかはAKB48の10倍会えます(笑)。若手の公演は値段も安くて、直接話せるので楽しいですよ。ただ当たり外れがないわけではないので、どうしても失敗したくない人には立川志の輔師匠の落語を聞いてください。絶対におもしろいので」

かしめさんはこのコロナ禍において、いち早くオンラインでの配信を始められましたよね。

かしめ「僕の場合はまだそこまでコロナが騒がれていなかった今年の1月に、うちの師匠(立川こしら)から「配信をするぞ!」って突然メッセージが来て。そこから毎週配信を続けているのですが、師匠の先見の明もあり、早くからオンライン配信を始めることができました」

傍島さんもオンラインでの配信を行っていますが、どんなところにリアルな公演との違いを感じますか?

傍島「リアルな公演だとお客さんの笑い声や表情で反応がわかるのですが、オンラインではそれがわからないのが大きいです。画面の向こうで観てくれている皆さんをイメージできるように、トレーニングしています」

かしめ「お客さんがいると噛んだり間違えたりしても笑ってくれて、それに対してリアクションも取れるのですが、お客さんがいないとただの静寂が訪れるんですよ。怖いでしょ…(笑)。おかげで、噛んだり言いよどんだりすることが少なくなりました。数ヶ月にわたるオンライン配信の成果ですね(笑)」

オンライン配信の思わぬメリットですね(笑)

傍島「東京と地方、ひいては海外のお客さんとの距離の問題を飛び越えられるのもメリットの一つですよね。ネット環境さえあれば気軽に伝統芸能に触れられるようになったので、今後リアルな公演ができるようになっても、プラスアルファとしてネット配信も続けていきたいです」

これからのオンライン配信で新しくチャレンジしてみたいことはありますか?

かしめ「今も配信のお手伝いをしたり、ノウハウや機材を無料でお貸ししたりしているのですが、今後は落語家さんに向けたオンライン配信講座もしたいと思っています。僕もコロナが収束してもネット配信は続けていくつもりなので、ネットならではの見せ方を考えてきたいです」

傍島「オンラインだからこそできる表現もあるので、そこは毎回稽古で色々工夫を重ねています。僕は俳優なので、俳優が挑戦する「極rakugo」ならではの落語を目指しています。これからも古典落語に挑戦して、いろんな表現を活用して“今回はあえてオンラインで見てみよう”と思っていただけるようなものにしていきたいですよね」

立川かしめ

愛知県出身。
2015年、立川こしらに入門。2020年4月に二つ目に昇進。11月25日には国立演芸場にて二ツ目昇進披露興行を開催予定。

立川かしめ ブログ http://tatekawakim.hatenablog.com/

9月の予定

■木りん・好吉二人会プラス立川かしめ二つ目昇進お祝い
会日時:2020/09/26 (土)13:00 - 15:00  場所:江戸東京博物館

 

傍島将大

岐阜県出身。
2015年から俳優・モデル・タレントとして名古屋を拠点に活躍中。2019年から落語プロジェクト「極rakugo」をスタートさせ、古典落語に挑戦し公演を重ねる。

極rakugo ブログ https://ameblo.jp/gokurakugo

9月の予定

■極rakugo 9月オンライン独演会
日時:2020/9/30(水)19:30~ ツイキャスプレミアにて配信