日本のアニメーションを作った男
高畑勲の展覧会が麻布台ヒルズにて開催

　1960年代から半世紀にわたって日本のアニメーション制作のキャリアを積み、その世界を牽引したアニメーション映画監督・高畑勲（1935～2018）。1959年、東映動画（現・東映アニメーション）に入社後、『太陽の王子 ホルスの大冒険』（1968）で壮大な世界観を表現すると、『アルプスの少女ハイジ』（1974）や『赤毛のアン』（1979）など数々のアニメーションを発表し、アニメーションにおける新しい表現に挑戦していった。スタジオジブリの設立に参加する1985年を含む80年代以降は『じゃりン子チエ』（1981）や『火垂るの墓』（1988）などの作品を通じて、日本の風土や庶民生活のリアリティーの表現を追求。また、セル画ではなくコンピューターによる彩色で手描きのスケッチを表現するという当時世界的に前例のない技法を進化させ、2000年代にはその技術の発展形である『かぐや姫の物語』（2013）を作り上げた。

　2025年は高畑勲の生誕90年と太平洋戦争から80年という節目。『火垂るの墓』に注目した新たな資料も展示されるので、今年の夏はぜひ、高畑勲展に足を運んでほしい。