CINEMASPECIAL ISSUE
津田寛治が<俳優・津田寛治>役
“物語”という広大な世界を職場に

──今の津田さんの芝居のモチベーションはどんなものですか。
津田 最初にお話ししたことかな。もっともっと物語に入り込みたい。物語の中でその役になりたい。それができていないと思うから、ちゃんとできるようになりたいです。自分の職場を“撮影現場”とか“芸能界”とか考えると狭い世界になりますが、“物語”と考えると、ものすごく広大な世界じゃないですか。“物語”を職場にしたいですね。職場の半分は“物語”で、あとの半分はカラオケ屋(笑)。<俳優・津田寛治>みたいに、カラオケに行って台詞を覚えるっていうこと本当によくやっていますから。
──あのシーンはリアルだったわけですか。
津田 はい、本当にやっています。台本ができた後に、「カラオケに行って台詞覚えます」と萱野監督に話したら、「それ、増やしましょう」と、本当に足してくれました。カラオケに行って延々と台詞を覚え、覚えてからもずっとその台詞を言い続け、自分の体に染みこませた状態で現場に行き、「ヨーイ、スタート!」の声がかかった瞬間、物語に入り、覚えた台詞を言うというよりも、本当にその役の気持ちになった状態で無意識に口から出る。それが理想です。だからやっぱり、<俳優・津田寛治>みたいに月に18本なんてやれないですよね。とてもじゃないけど準備が追いつかない。
──役の台詞ですが、口から出す時には自分の言葉として出す。となると、本当に自分自身がその局面を経験した、という感覚になるのでは?
津田 そうです。
──ものすごい数の人生を経験していらっしゃるわけですね。
津田 そういうことになるのかな。なんだか不思議な仕事ですよね。だけど魅力的な仕事なんです。本当は神様がやるような仕事だと思いますけど、それを僕らが真似してやらせてもらっているというね。
──本作の経験は、ご自身にとってどんなものになりましたか。
津田 最高の経験でした。撮影中、録音さんがボーッと立っていたことがあって。「どうしたんですか?」と聞いたら、「さっきまでスタッフ役で映画の中に出ていて、いつもしているスタッフの仕事をしたんですけど、カットがかかった今もまた同じことをしていて、今現実にいるのか物語の中にいるのか、よくわからなくなっちゃって…」と言うんです。俺より先にこの人は物語に入り込んでいると、ものすごく感動しました。今回は、ずっとしたいと思っていた、“物語に入る”ということができた。いつもの何十倍も、物語の中に入っている率が高かったと思います。とても幸せな経験をさせてもらいました。
津田寛治(つだ かんじ)
1965年生まれ、福井県出身。俳優。近年の出演作に大河ドラマ『どうする家康』(2023)、ドラマ『特捜9』シリーズ(2018〜2025)、映画『アフター・ザ・クエイク』(2025)など。4月17日(金)より映画『人はなぜラブレターを書くのか』、2026年に『仏師』『フクイラプトル』が公開予定

『津田寛治に撮休はない』
2025年/日本/114分
| 脚本・監督 | 萱野孝幸 |
|---|---|
| 出演 | 津田寛治 平澤由理 一ノ瀬 竜 こばやし元樹 篠田 諒 中村祐美子 ほか |
| 配給 | アークエンタテインメント |
※3月28日(土)より新宿 K’s cinema ほかにて全国順次公開
Ⓒ映画『津田寛治に撮休はない』製作委員会

