CINEMASPECIAL ISSUE
南沙良×出口夏希×吉田美月喜
かかわったみんなの愛を感じる映画

──朴秀美はヒップホップとSF小説好き、矢口美流紅は映画好き、岩隈真子は漫画と文学好きという設定で、彼女たちが影響を受けた作者名や作品名が出てくるのも本作の面白いところです。それらの作品に触れてみたりは?
南 朴秀美が好きだと言う小説やラップは、ひと通り触れてみました。特にラップはおしゃれで格好良い曲が多かったです。
出口 映画の中で『ファイト・クラブ』(1999)のあるシーンが印象的に使われているので、そこは観ておきたいなと思って観ました。ただ、実は…観たのはそれだけです…。
吉田 私は美流紅が影響を受けた『ザ・ワールド・イズ・マイン』という漫画を読んでみました。画が個性的で、すごく美流紅っぽい作品だなと思いました。あと、岩隈が『初恋は(『ポケットモンスター』の)ヒトカゲ』と話すところがあって。その岩隈の気持ちにはどうしても共感できなかったけど(笑)、こんなことを言っちゃうのが岩隈の愛おしいところだなと思ったりもしました。
出口 『初恋はヒトカゲ』のところ、韓国でウケていたよね。
吉田 そうそう。釜山国際映画祭で上映した時、児山監督と私たち3人も現地の観客のみなさんと一緒に映画を観ることができて。『初恋はヒトカゲ』のところ、ウケていたんです。“ヒトカゲってやっぱり、世界に通ずるんだ!”って、ちょっとうれしくなりました。

──みなさんも、本作で演じた役柄と同じ年頃に触れ、影響を受けた作品はありますか。
南 私は小説を読むのが好きなんです。中学生の頃、辻村深月さんの『凍りのくじら』という小説を読んで、影響を受けました。主人公は高校生の女の子で、結構卑屈なところがあるというか、斜に構えているところがあるんです。多分、好き嫌いは分かれる主人公だと思いますが、私はすごく好きなんです。なんだか愛らしく見えましたし、またその頃の私はあの主人公の感じに憧れていたところがあって。
──南さんは思春期に『凍りのくじら』に出会えて幸せだと思います。
南 本当にいい時に出会えました。私の愛読書のひとつになりましたし、物語の力みたいなものを改めて信じられたというか。私にとってはそんな作品です。
吉田 私は母とカラオケに行くことが多くて。母が昭和の歌謡曲をよく歌うんですけど、山口百恵さんの曲とか、母が歌うのを聴いて私も好きになったんです。
──なかでも特に好きな曲と言うと?
吉田 選ぶのが難しいんですけど、やっぱり『秋桜』です。私の家は結構厳しくて、私がこの仕事を始める前までは動画とかも見せてもらえなかったんです。見せてもらえるようになったのは14歳で事務所に入ってから。その時、初めて山口百恵さんが歌っている姿を映像で観て衝撃を受けました。“え、この山口百恵さん、私と同い年ぐらいなの!?”とびっくりして。
──確かにそうですね。山口百恵さんは14歳でデビューされ、21歳で引退されました。
吉田 その頃の私と同じ年頃なのに、あまりに大人っぽくて、あまりに色気があって本当にびっくりしましたし、あまりに格好良くてシビれました。山口百恵さんだけじゃなく、例えば中森明菜さんもそうですけど、昭和のアイドルの方って大人っぽくて格好良い方が多いですよね。
南 確かに。
吉田 山口百恵さんが歌唱する姿には表現者としての魅力しかなかったです。演技レッスンを始めたばかり、表現することを始めたばかりの当時の私にとっては憧れの存在でした。
──出口さんはいかがでしょう。
出口 私、小説も映画もあまり触れてこなくて。これと言ってお話しできるエピソードがないんです。だから……ないです。
南 潔い(笑)。
吉田 本当に潔い(笑)。
──カルチャー関連ではなくても、何かほかに好きなものとか、趣味とか。
出口 それが私、趣味もないんです。小さな頃からずっと。暇な時は大抵寝ています。寝て、起きたらボケーッとしています。
南・吉田 してそう(笑)。
出口 あとは癒されるアニメを観たり、おいしいごはん食べたり。そういう、何気ないことが自分の幸せだなって思います。
吉田 おいしいものを食べている時がいちばん幸せだよね。
──改めて、『万事快調〈オール・グリーンズ〉』の撮影は楽しかったですか。
南・出口・吉田 楽しかったです。
出口 だから、撮影はあっという間でした。
南 キャストもスタッフさんたちも全員が、この作品に対する愛がすごく強くて。そういう現場だったなって思うんです。
出口・吉田 うん。
南 作品に対する愛情を持つことはものづくりをする上で、お芝居をする上で大切なことだと思っていて。私はそういうものを、この作品を観て感じました。かかわったみんなの愛を感じる映画になりました。
南 沙良(みなみ さら)
2002年生まれ、東京都出身。俳優。近年の出演作に映画『この子は邪悪』(2022)、『愛されなくても別に』(2025)、ABEMA×Netflixオリジナル連続ドラマ『わかっていても the shapes of love』(2024)、大河ドラマ『光る君へ』(2024)など。2月6日(金)より映画『禍禍女』、春には初の海外製作映画『殺手#4』が公開される
出口夏希(でぐち なつき)
2001年生まれ、中国出身、東京都育ち。俳優・モデル。近年の出演作にNetflixシリーズ「舞妓さんちのまかないさん」(2023)、ドラマ『アオハライド』(2023/2024)、『ブルーモーメント』(2024)、映画では『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』『赤羽骨子のボディガード』(いずれも2024)、『か「」く「」し「」ご「」と「』(2025)など。2022年より雑誌non-noの専属モデルを務める
吉田美月喜(よしだ みづき)
2003年生まれ、東京都出身。俳優。近年の出演作に映画『カムイのうた』(2023)、劇場アニメーション『ルックバック』(2024)など。現在はドラマ『俺たちバッドバーバーズ』が放映中。3月6日(金)より短編映画集『GEMNIBUS vol.2』(オムニバスの1編『顔のない街』に出演)、2026年に初の海外製作映画『KARATEKA』が公開予定

『万事快調〈オール・グリーンズ〉』
https://www.culture-pub.jp/allgreens/
2025年/日本/119分/PG12
| 監督・脚本・編集 | 児山 隆 |
|---|---|
| 原作 | 波木銅「万事快調〈オール・グリーンズ〉」(文春文庫) |
| 出演 | 南 沙良 出口夏希 / 吉田美月喜 羽村仁成 黒崎煌代 / 金子大地 ほか |
| 配給 | カルチュア・パブリッシャーズ |
※1月16日(金)より新宿ピカデリーほかにて全国公開
©️2026「万事快調」製作委員会
