ある深夜、17人の子どもが姿を消した
バズり中の『WEAPONS／ウェポンズ』
ネタバレは厳禁！ 衝撃のミステリー

　MLBのワールドシリーズで連覇を果たしたロサンゼルス・ドジャースを祝し、MLBの公式Xアカウントがある映画のビジュアルをオマージュした投稿をした。＜The night before, at 12:17 in the morning, the @DODGERS won the 2025 #WorldSeries!＞というコピーと共に両腕を広げて走る大谷翔平選手の後ろ姿が載った投稿に、「何これ？」と興味を持った人も多いはず。そのネタ元である映画『WEAPONS／ウェポンズ』が11月28日（金）から、ワーナー・ブラザース・ジャパン配給による最後の洋画作品として公開へ。世界でバズりまくりの衝撃ミステリーが、ついに日本でその全貌を明らかにする。

ある集団失踪事件、その衝撃の真相とは

　『IT／イット』二部作（2017/2019）や『死霊館』ユニバーズ（2013～2025）などを手がけてきたニューライン・シネマが、『バーバリアン』（2022）で注目されたザック・クレッガーと組み、クレッガーが監督、脚本、製作を担って衝撃のミステリーを製作。2025年8月に全米で公開されると、たった3日間で興行収入65億円を突破。その後、映画は世界各地へと広がり、2025年11月現在で世界興行収入389億円を超えるメガヒット作に。興行的な成功に加え、レビューサイト「Rotten Tomatoes」では批評家スコア94%という高評価を獲得するなど、質の高さも証明済み。本年度の映画賞レースにおいてノミネートされることが予想されている。

　郊外の静かな町・メイブルック、ある水曜日の深夜2時17分。17人の子どもたちが一斉にベッドから起き上がり、自ら玄関のドアを開け、暗闇の中へ姿を消した。消息を絶ったのは地元の小学校の1クラスの子どもたちだけで、事件への関与を疑われた担任教師のジャスティンはその真相に迫ろうとする。しかし、この日を境に不可解な事件が多発。やがて町全体が狂気に包まれていく…。

　失踪した子どもの保護者であるアーチャーにジョシュ・ブローリン、失踪した子どもたちのクラスの担任教師ジャスティンに、『アシスタント』（2019）で高く評価されたジュリア・ガーナー。さらに、オールデン・エアエンライク、オースティン・エイブラムズ、ケイリー・クリストファー、ベネディクト・ウォン、エイミー・マディガンらが、奇妙な集団失踪事件にかかわる人々を鮮烈に演じている。

　なぜ子どもたちは同じ時刻に忽然と消えたのか？ 今、どこにいるのか？ ちりばめられた謎と伏線が回収され、やがてひとつとなった時、物語は衝撃的な結末を迎える。鑑賞後は誰かに真相を話したくてたまらなくなるだろうけれど、ネタバレは厳禁だ。

ザック・クレッガー監督の独創性

　前述した通りで、本作はネタバレ厳禁のミステリー。謎解きのヒントを出すのでなく、ザック・クレッガーが脚本を執筆する際にとったユニークな手法を紹介することで、本作の魅力を伝えたい。ミステリーの脚本はあらかじめ起承転結を組み立て、辿り着きたいラストから逆算して全編を詳細に作り込んでいくことが多いが、ザック・クレッガーには、“先の展開をまったく知らない状態で書き始める”というルールがあるのだという。とにかく書き出してみる。その結果、最初に“子どもたちが家から駆け出していく場面”を書いた。書いている自分自身が、「これは面白い。どう解決するんだろう」と思っていたとクレッガーは明かす。「なぜ？」という問いの答えを追い求めて、同じように答えを探す親や担任教師の心情を慮ってみた。「なぜ？」の答えを出そうと、この奇妙な事件の真相解明にかかわる人々それぞれの視点に立ち、物語を転がしていくことになったという。

　そのクレッガーの創作姿勢が演出にもそのまま反映されている。予定調和は一切ない。この先何が起こるのかと、ドキドキワクワクしながら観進めることになるはず。もちろん、ホラー要素の強いミステリーとあってビジュアルの仕掛けも満載。とりわけクライマックスの限界突破ぶりは見ものだ。

　監督、脚本家としてのみならず、俳優、コメディアンとしても活躍し、長編映画デビュー作『バーバリアン』ではその独創性が高く評価され、「ホラー映画の未来を変えた」とまで言われたザック・クレッガー。本作で改めてその異才ぶりを示している。