FLYING POSTMAN PRESS

望海風斗に聞く「アール・デコ100年展」

パリは、人が人として生きるための場所

──お仕事でもプライベートでも訪れておられるフランス・パリの印象を聞かせてください。

望海 セーヌ川やエッフェル塔の景色を眺めているだけで「あぁ、パリに来たな」と感慨深いものがありますし、モンマルトルのムーラン・ルージュに行けば、かつて芸術家たちが集まっていた場所であるという空気を今でも感じることができます。ニューヨークのエネルギッシュさとはまた違って、フランス革命が起きた場所であるということも大きく、ただ華やかなだけではなく、人が人として生きるための場所でもあるというところに強いエネルギーを感じます。

──中之島の景観は、大阪の再開発の際にパリのセーヌ河畔に倣ったと言われているようです。

望海 そうなんですね。それを知ってから行くのが楽しみになりました。中之島は賑やかな大阪とはまた違って、落ち着いていて、ひと息つける雰囲気が好きです。

──望海風斗さん流、美術館のめぐり方はありますか?

望海 ガイドブックなどでその美術館のことを簡単に調べて行き、ざっとひと通り観て回った後に、自分の中で一番感動した作品に戻って、もう一度確認して帰ります。先日ウィーンに行った時に、ベルヴェデーレ宮殿へクリムトの「接吻」を観に行ったんです。他にもクリムトの絵はあったのですが、「接吻」は観た瞬間に涙が溢れてきて、全身が解放されるような気持ちになりました。実物からはやはり心に残るエネルギー、その人がその瞬間に描いたタッチを感じます。

──最後に、来場される方へメッセージをお願いします。

望海 写真で見るだけではわからない展示作品のエネルギーを直接感じていただけたらと思います。私自身、音声ガイドの収録を通してアール・デコに対する印象は大きく変わり、華やかなだけではない、その時代に生まれた理由を知ることができました。舞台や映画で描かれることの多い時代でもありますので、舞台が好きな方や映画が好きな方であれば特に、「アール・デコ100年展」で時代背景を知ってまたこの時代の舞台を観ると、より深く楽しめるようになると思います。ぜひお越しください。


新時代のヴィーナス!アール・デコ100年展

https://nakka-art.jp/exhibition-post/artdeco100th/

会場 大阪中之島美術館 5階展示室
会期 2025年10月4日(土)〜2026年1月4日(日)
休館日 月曜日、10/14(火)、11/4(火)、11/25(火)、12/30(火)、12/31(水)、1/1(木・祝) *10/13(月・祝)、11/3(月・祝)、11/24(月・休)は開館
開場時間 10:00〜17:00(入場は16:30まで)

<音声ガイド>
望海風斗さんがナビゲーターを務める音声ガイド。アール・デコの時代をきらびやかに彩った女性たちの活躍、そのファッションやジュエリーをご案内します。同時代の音楽とともにお楽しみください。
貸出料金:700円(税込)
※音声ガイドは会期中、展覧会会場入口でご購入いただけます(ガイド機レンタル方式)。