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望海風斗に聞く「アール・デコ100年展」
音声ガイド・望海風斗に聞く 「新時代のヴィーナス!アール・デコ100年展」の魅力
大阪・関西万博が開催された今年2025年からちょうど100年前、フランス・パリで開催された芸術史上極めて重要な「現代装飾美術・産業美術国際博覧会」、通称アール・デコ博。
大阪中之島美術館では、10月4日より、博覧会開催から100周年を記念し、“アール・デコと女性”をテーマに、グラフィックデザイン作品をはじめジュエリー、香水瓶、ドレス、車など、この時代を象徴する作品や資料を展示する「新時代のヴィーナス!アール・デコ100年展」を開催する。
直線的で幾何学的なデザインが特徴で、華やかでありながらも機能性と合理性を備えたデザインが生まれた背景をアートから学びながら、ぜひ当時の女性のパワーを感じてほしい。本展の音声ガイドナビゲーターを務める望海風斗さんに話を聞いた。
取材・文:俵本美奈
女性たちがコルセットから解放された時代
──望海さんが音声ガイドナビゲーターを務められるのは、本展覧会が初めてとなりますが、最初にお話を聞かれた時はどう思われましたか?
望海 やってみたいという興味が以前からあったので、お話をいただけてとても嬉しかったですし、大阪という土地は私にとってなじみのある場所でもあったので、大阪の美術館の展覧会の音声ガイドということもうれしかったです。
ルネ・ラリック 香水瓶《ヴェール・ル・ジュール(夜明け前に)》ウォルト社 1926年 箱根ラリック美術館
──音声ガイドの収録を終えて、いかがでしたか?
望海 来場者の方々は作品をご覧になりながらこの音声を聴いてくださるため、私も観ているように話さないといけないのが難しいなと思っていたのですが、話しているうちにだんだん楽しくなってきて、私も展覧会を観ているような気持ちになって収録に挑むことができました。
──ガイドで紹介した中で望海さんが一番観たいと思われる作品はどれですか?
望海 ドレスです。舞台でも1920年〜30年代が背景の作品を演じることがあるので、実際にその時代に作られたドレスには興味があります。今回、アール・デコのドレスのゆるやかなシルエットには、フランスの女性たちがコルセットから解放されて社会に進出した背景があることを知ることができ、より関心が深まりました。また、車と女性が並んで描かれている作品には、社会進出を果たした女性がたちハンドルを握るようになった時代背景がありました。
(左) ユップ・ヴィールツ 《ヴォーグ、今年の冬の香水はこれだ》 1925年 サントリーポスターコレクション(大阪中之島美術館寄託)
(右) ロジェ・ブロデール 《温泉地ヴィシー、スポーツ、旅行、劇場(PLM鉄道)》 1928年 サントリーポスターコレクション(大阪中之島美術館寄託)
望海 そこで女性たちが何か次の新しいものを生み出していこうとしたからこそ、今の時代に繋がっているのだと思いますし、当時の女性たちの自分の道を力強く切り開いていく姿に、私はとても憧れました。
──アール・デコの装飾などが印象的な宝塚作品と言えば何が思い浮かびますか?
望海 一番は『グレート・ギャツビー』ですね。舞台美術や衣装もアール・デコを基調としていて、観ていてワクワクしますし、いつかそういう作品にも出てみたいなという憧れがあります。