自分らしさは“真似”することで見つける

──FLYING POSTMAN PRESSのコンセプトは＜GOOD CULTURE, GOOD LIFE＞なのですが、ナナヲさんのカルチャーとの関わりについて聞かせてください。

ナナヲ　私にとって欠かせないのはアニメ・漫画・ファッションです。アニメは幼稚園の頃から本当に狂ったように観ていて、文字が読めるようになってきたらそれが漫画に移行して、少年漫画から少女漫画まで、家にある漫画はすべて読んでいました。お兄ちゃんが漫画が好きだったので、家にたくさん漫画があったんです。ファッションはずっと興味はあったのですが、自分の個性をちゃんと意識し始めたのは、上京して古着屋さんで働き始めた頃くらいからなので、結構遅めに取り入れたカルチャーだと思います。

──漫画やアニメの触れ方でのこだわりってありますか？

ナナヲ　今は漫画も置く場所がないのでスマホの中で完結させているのですが、いずれは自分のお気に入りの漫画を全巻揃えて壁一面の本棚に並べて置きたいなという夢があります。やっぱり背表紙を見て、お気に入りの刊を取ってすぐに読めるというのが紙の醍醐味だと思うので。ちなみにバンドのサポートメンバーたちとみんなで話ができるのは、ダントツで『デジモンアドベンチャー』の話です。「最終回はマジ泣ける！」「わかる！」みたいな話で盛り上がります（笑）。

──ファッションに関しては、自分らしさはどのように見つけていきましたか？

ナナヲ　原宿の古着屋さんで働くようになると、店長さんをはじめ、先輩だったり周りにおしゃれな人が増えるので、「そのシャツめっちゃかっこいいです。どこで買いました？」「そのデニムどこで買いました？」と聞いて教えてもらって、古着なので同じものはないのですが、似たものを買って、最初は自分が“かっこいい”と思う人の真似から始めました。

──聞くことに抵抗はなかったですか？

ナナヲ　その辺のプライドはゼロなんで（笑）。すべて聞きます。それで真似してみると、これは似合わないとかこれは似合うというのがわかってくるので、そこからは自分だけで好きな服を選んで着られるようになりました。

──個性ってその人の生活がそのまま出るなと感じているのですが、ナナヲさんの場合面白いなと思うのが、三次元でのファッションやそのコミュニティと二次元への愛の深さが共存しているというか。それがそのまま音楽にも顕れているように感じます。

ナナヲ　確かに、アニメと漫画が本当に好きで、ファッションもめちゃくちゃ好きで、両極端なカルチャーかもしれないのですが、それが混じったのがナナヲアカリの音楽になっているなというのは今話していて私も思いました。

──今後もっとこんなカルチャーに触れていきたいなどの思いはありますか？

ナナヲ　美術館に行くのはとても好きなんです。写真や絵を観るのも好きなのですが、そこに対してはまだ解像度が高くないというか。歴史もまだあまり知らないし、「アートが好き」って言っちゃダメなんじゃないかみたいな暗黙の圧ってあるじゃないですか（笑）。でもその圧に負けないくらいの好きの域に到達したいなとは思っています。

──ナナヲさんの場合、アニメや漫画、ファッションの知識と好きのレベルが高いから、そのレベルまで行かないと語ったらダメだみたいな感覚があるのかも。

ナナヲ　勝手に自分に課しているのかもしれないですね（笑）。「浅い知識で物申しては申し訳ない」みたいな。

──でもさっき話してくださった「コピーから入った」というのは、10代などこれからカルチャーに触れていく人にとって心強いアドバイスだと思いました。

ナナヲ　最初はみんな真似っこから入っていると思います。自分のロールモデルを見つけると、自分がどんな好きなジャンルが好きなのかがわかりやすくなるし、その人のファッション、その人が好きな音楽を追ってみて、ファッションは好きだけど音楽は自分の好みと違うとなれば、それが自分の個性になると思うから。そういう順番で自分を知っていくといいのかなと思います。