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『リンダ リンダ リンダ』同窓会

『リンダ リンダ リンダ』が愛される理由

──山下監督が「コロナの時、『リンダ リンダ リンダ』からバンド名をとったリンダ・リンダズ(※アメリカのバンド)が結成されたという話を聞いて救われ、励みになった」とおっしゃっていました。時を超え、国境を越えて本作が愛され続けている理由はなんだと思いますか。

ドゥナ 音楽がモチーフになっている青春の物語や、コピーバンドが達成感を味わう姿を描いた物語はたくさん作られていますよね。でも、この作品にはザ・ブルーハーツという象徴的なバンドの歌が使われている。まずその点があると思います。あと、前夜祭で改めて映画を観て思ったことがあって。国が違えば文化もジェスチャーも違ってくるもので。でもこの映画には、そういうものを超えたユーモアがあると思うんです。言葉の意味がわからなくても、ウィットや独特の間、タイミングが面白くて笑ってしまうんですよね。私は山下さんのコメディが好きです。どこの国の人たちであっても老若男女笑わずにはいられない作品だから、というのは大きいのかなと。もうひとつ言えば、この映画で描かれているストーリー、その中にある情緒や感性、感情も、誰もが共感できるものだと思っています。

香椎 この年代独特の時間の流れってあるじゃないですか。大人になると1日が短く感じるものですが、あの頃は1日がすごく長かったなって、私自身振り返ってみても思います。その特有の時間の流れがそのまま映画に出ている気がして。それはきっと誰もが一度は感じたことがある時間の流れで、だからこそたくさんの人に共感してもらえるのかなって思います。

前田 何者でもない4人、等身大の彼女たちを観て、自分自身が過ごしてきた時間を思い返す方も多いんだろうなと。あとはやっぱり、山下さんの独特の低めのテンションですよね。あのテンションがこの物語、この登場人物たちに本当に合っているというのが大きいと思います。山下監督本当にすごいです。

関根 この映画は本当に面白いなって私自身も思うんですが、ポピュラーではないというか、いわゆる大衆向けに作られた映画ではないじゃないですか。

全員 (笑)。

関根 それなのにこんなに評価を得られたのはどうしてなのかなと考えたことがあって。正直よくわからないマジックがあるんだと思う。キャスティングだったり、監督の演出だったり、いろんなことが本当にうまくいって得体の知れないエネルギーを持った。そういう映画なのかなと思います。


ペ・ドゥナ

1979年生まれ、韓国・ソウル特別市出身。俳優。韓国のみならず世界的に活躍している。主な出演作に映画『ほえる犬は噛まない』(2000)、『グエムル-漢江の怪物-』(2006)、『空気人形』(2009)、『ベイビー・ブローカー』(2022)。公開待機作に『ウイルス』(2025)がある

前田亜季(まえだ あき)

1985年生まれ、東京都出身。俳優。近年の主な出演作に映画『茜色に焼かれる』(2021)、『フロントライン』(2025)、スペシャルドラマ『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』(2023)、『まぐだら屋のマリア』(2025)、舞台『白衛軍 The White Guard』(2024)など

香椎由宇(かしい ゆう)

1987年生まれ、神奈川県出身。俳優。主な出演作に映画『パビリオン山椒魚』(2006)、『真夜中のマーチ』(2007)、ドラマ『走馬灯株式会社』(2012)、『恋なんて、本気でやってどうするの?』(2022)。9月26日(金)より映画『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』が公開

関根史織(せきね しおり)

1985年生まれ、埼玉県出身。Base Ball Bearのベース担当。チャップマン・スティックを用いたソロプロジェクトsticoも行う。Base Ball Bearとして8月にDigital Single『夏の細部』をリリース、10月11日(土)に開催される<TOKYO ISLAND 2025>に出演予定

『リンダ リンダ リンダ 4K』

https://www.bitters.co.jp/linda4k/

2005年/日本/114分

監督 山下敦弘
脚本 向井康介 宮下和雅子 山下敦弘
出演 ペ・ドゥナ 前田亜季 香椎由宇 関根史織(Base Ball Bear) ほか
主題歌 「終わらない歌」(ザ・ブルーハーツ)
配給 ビターズ・エンド

※新宿ピカデリー、渋谷シネクイントほかにて全国公開中

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