FLYING POSTMAN PRESS

人魚姫役・山田杏奈×STUDIO4℃

ふたりの恋の流れに説得力を持たせたい

──チャオは魚の姿と人魚の姿とふた通りに変化しますが、演じる上で意識の違いはありましたか。

山田 “がんばらないといけないことがたくさんあり、緊張しながら過ごしている魚の姿のチャオ”と、“緊張が抜けている人魚のチャオ”という意識の違いはあったと思います。チャオが人魚の姿でいる時はステファンに心を許している状態という設定なので、リラックスしている感じを出せたらと思っていました。声のトーンも魚の姿の時より少し落とし、お姉さんな感じを出してみるというのも、アフレコ現場でみなさんとお話しして意識していたことです。

──ステファンとチャオの関係性もユニークかつ魅力的でした。

山田 ありがとうございます。チャオは“純度100%、ステファンが大好き”というところからスタートしますが、ステファンは“得体の知れない魚から突然結婚しようと言われた”というところからのスタートです。それが、一緒に生活するうちにステファンもチャオの献身的なところに惹かれていって、自然と愛情を抱くようになる。その過程に説得力を持たせたいという思いはずっと持っていました。チャオがステファンにグイグイ行くところも自分勝手に見えないように、嫌みのない感じにできたらいいなと思っていました。

──鈴鹿央士さんが演じるステファンの声の印象も聞かせてください。

山田 ステファンの実直さとか、ちょっと抜けているけれど憎めない感じが、鈴鹿さんの声によって魅力的に表現されているなぁと。あと、物語の中で成長しながら、ちゃんと物語の真ん中にいる感じが声から伝わってきて、そこも素敵でした。

──チャオとステファンのシーンでお気に入りのものはありますか。

山田 体調が悪くなったステファンをチャオが介抱するシーンが私は好きです。チャオは人魚の姿になっていて、そんなふたりの様子を、チャオをサポートしてくれているマイベイ(シシド・カフカ)が見ている。画が美しいですし、チャオとステファンの心の繋がりができた瞬間だとも感じられて、とても好きなシーンです。