FLYING POSTMAN PRESS

人魚姫役・山田杏奈×STUDIO4℃

STUDIO4℃が贈るミラクルな恋の物語
山田杏奈が声の演技で“かわいい”を表現

 『鉄コン筋クリート』(2006)や『海獣の子供』(2019)などの名作を数多く手がけ、世界中のファンに支持されるアニメーション制作スタジオ・STUDIO4℃。その最新作となるオリジナルアニメーション映画『ChaO』が、8月15日(金)より公開される。

 アンデルセンの名作童話「人魚姫」をベースに、人間の青年・ステファンと人魚王国のお姫さま・チャオのドタバタでミラクルな恋を描く『ChaO』。手描きアニメーションにこだわり、アニメーション映画の総作画枚数は一般的に3~4万枚とされるところ、本作の総作画枚数はなんと10万枚を超えたという。その画の力は圧倒的で、独特の色彩や動きに魅了されること間違いなし。さらにストーリー展開にも意外性があり、次に何が起こるのかとワクワクせずにはいられない。オリジナル&手描きアニメーションの良さがギュッと詰まった1本だ。

 チャオのボイスキャストを担うのは山田杏奈。アフレコでは、声の演技で“かわいい”を追求していったという。

写真:徳田洋平 スタイリング:渡邊 薫 ヘアスタイリング&メイクアップ:サイオチアキ 取材・文:佐藤ちほ



みんなでかわいいチャオを作っていく

──映画『ChaO』への出演オファーを受け、最初に物語に触れた際にはどんなことを思いましたか。

山田 キャラクターデザインと、ある程度できあがっている映像にガイドの方の声が載っている映像資料をいただいたんですが、ひと目見てその美しい色遣いと独特の世界観に惹かれました。ストーリーも新鮮味があって。人魚と人間の恋を描いていますが、その中で、自分とは違う人と一緒に生きるためにどう歩み寄っていったらいいのかということも伝えている。素敵なストーリーだと思いました。

──ご自身が演じる人魚の王国のお姫さま・チャオのキャラクター像はどう感じていましたか。

山田 チャオは一途にステファン(鈴鹿央士)のことを想っています。ステファンのためなら自分のすべてを捧げるし、慣れない人間界の生活にも必死に努力してなじもうとする。そういう真っ直ぐなところが魅力的でした。あと、チャオは“必要なものがあればいい、高価なものをたくさん持っていても仕方ない”という考えを持っていて。価値観がしっかりしていて、そんなところも素敵だと思いました。

──チャオのキャラクター像について、青木康浩監督と意見交換する機会もあったのでしょうか。

山田 アフレコの初日、本腰を入れて収録を始める前に本読みをする時間がありました。その時に青木監督が「とにかくチャオをかわいく見せたい」とおっしゃったんです。“チャオがかわいい”ということが、この映画全体においてとても大事なポイントだったんだと思います。青木監督のお話を聞いてからは、チャオのかわいらしさをどう声の演技で表現できるのかとずっと考えていたような気がします。私自身が意識していたのは、声のトーンを普段より高めにすること。あとは収録現場にいるみなさんにその都度相談して、いろいろとアドバイスをしていただきながら、徐々にチャオというキャラクターの声を作っていった感じです。私も声の演技の経験がそうあるわけではないので、“みんなでチャオを作っていく”という感じがすごくありがたかったです。

──青木監督の言葉以外にも、アフレコ現場で受けた演出の言葉でヒントになったものはありますか。

山田 「擬音を台詞として言ってみる?」と、STUDIO4℃の制作の方に提案していただいて。例えば、チャオが覗く時に『チラッ』と言ってみるとか。自分の声色や言い方を変える以外にも“かわいい”を表現する方法はあるんだと、すごく勉強になりました。“なるほど”と思ったのですが、とは言え、『チラッ』みたいな擬音が実際に作品にどうなじんでいくのか、アフレコ現場では想像できていなかったんです。でも、完成した映画を観たら、そういうちょっとしたところが確かにチャオの魅力になっていると感じられて、すごいと思いました。