CINEMA
真夏はエンタメな大作映画
なぜか真夏は“竜”を観たくなる
陸・海・空の3大恐竜のDNA採取に挑む 『ジュラシック』シリーズ、新章に突入
シリーズ全6作の累計世界興行収入は9400億円を超える『ジュラシック』シリーズの新章の幕が上がる。新たな冒険を率いるのは、現代の映画界を代表するスターのひとり、スカーレット・ヨハンソン。シリーズ初の女性主人公となる秘密工作の専門家ゾーラ・ベネットを凛々しく演じている。さらに、『ムーンライト』(2016)、『グリーンブック』(2018)でアカデミー賞助演男優賞を二度受賞したマハーシャラ・アリがゾーラが信頼する傭兵のダンカン・キンケイド役、『ウィキッド ふたりの魔女』(2024)で注目のジョナサン・ベイリーが古生物学者ヘンリー・ルーミス博士役としてシリーズに参戦する。
監督を務めるのは、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)のギャレス・エドワーズ、脚本はシリーズ第1作、第2作を手がけたデヴィッド・コープが28年ぶりにカムバック。そして、スティーヴン・スピルバーグは製作総指揮として参加する。
舞台は、前作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022)から5年後の世界。かつて世界中に放たれた恐竜たちは気候や環境に耐えられず数を減らし、赤道直下の限られた場所だけに生息していた。人類を救う新薬を開発するため、陸・海・空の3大恐竜のDNAを採取するというミッションを引き受けたゾーラ率いるチームは、かつて極秘研究が行われていた禁断の島へと辿り着く。そこで目撃する衝撃の事実とは──。
スティーヴン・スピルバーグ監督が『ジュラシック・パーク』を生み出したのは1993年のこと。アメリカ本国では同年6月11日に、日本では7月17日に公開された。以来、本作を含めてシリーズ作品は7本作られているが、いずれも日本では夏場のスクリーンを賑わせている。夏に“竜”を観たくなる理由のひとつに、『ジュラシック・パーク』シリーズがあるのは間違いない。視聴習慣がついている、ということだ。
本作もいつものように楽しませてくれる。海のモササウルス、陸のティタノサウルス、空のケツァルコアトルスとさまざまなタイプの恐竜をド迫力で見せてくれるし、美しくて凛々しい主人公たちは知力・武力を尽くして縦横無尽に活躍する。欲深い人間は学習せずに同じ過ちを繰り返すが、ちゃんと報いを受けるので気分は悪くない。かわいい子どもとかわいい恐竜の仲良しぶりにも癒されるし、友情と家族愛にはやっぱりぐっとくる。お約束満載なのがかえってすがすがしい。“観る人を楽しませたい”という気持ちが伝わるものになっている。大きな生きものは大きなスクリーンで観るに限る。さあ、今年の夏も映画館で“竜”を体感しよう。
『ジュラシック・ワールド/復活の大地』
2025年/アメリカ/134分
監督 | ギャレス・エドワーズ |
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出演 | スカーレット・ヨハンソン マハーシャラ・アリ ジョナサン・ベイリー ほか |
配給 | 東宝東和 |
※8月8日(金)より全国公開
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体験型ドラゴンライドアドベンチャー 少年とドラゴンのかけがえのない友情
ドリームワークス・アニメーションの代表作のひとつである『ヒックとドラゴン』(2010)が、ユニバーサルスタジオとのタッグによって実写映画となった。バイキングとドラゴンが争いを続けてきた島を舞台に、心やさしいバイキングの少年と傷ついたドラゴンの交流が、島の未来を大きく変えていく様子を描く。
監督と脚本を務めるのは、オリジナルのアニメーション映画を手がけたディーン・デュボア。『マトリックス』シリーズ(1999~2003)などで革新的な映像を生み出してきたビル・ポープが撮影監督を務め、圧巻のドラゴン飛行シーンを撮りあげた。
主人公のヒックを演じるのは、『ブラック・フォン』(2021)で注目を集めたメイソン・テムズ。さらに、ヒックの父ストイックにオリジナルでも同役のボイスキャストを務めたジェラルド・バトラー。『ダンボ』(2019)や『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』(2025)に出演するニコ・パーカーが、ヒックの憧れの少女であり、優れた戦士のアスティを演じる。
少年とドラゴンの絆が紡ぐ大冒険が今、始まる。驚異のドラゴンライドアドベンチャーを満喫したい。
最新のIMAX®カメラで撮影されたドラゴンライドは圧巻だ。大きなスクリーンと最新の音響設備が備わった映画館で観れば、まさに自分がドラゴンの背に乗って大空を飛び回っているような感覚を味わえるはず。風を切る、とはこのことで、その力強さ、爽快感をリアルに体感できる。
物語も共感できるものになっている。今まで当たり前だったものを“本当に当たり前なの?”と疑ってみたところから、少年の世界は広がっていく。自分を客観視してみたり、相手の立場を慮ったりと、視点を変えることでさまざまな気づきがあり、成長していけるということを少年が身をもって教えてくれる。主人公の少年は腕っぷしが強いわけではないが、心は誰よりも強い。こんな少年だからこそドラゴンは心を開いたのだろうと思える、とても魅力的な主人公だ。本作はスケールの大きなアドベンチャーであり、ジュブナイル映画でもある。少年が成長していく姿こそが、何より心動かされるものになっている。
15年ぶりにスクリーンに帰ってきた『ヒックとドラゴン』。あの感動を再び味わいたい。
『ヒックとドラゴン』
2025年/アメリカ/126分
監督 | ディーン・デュボア |
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出演 | メイソン・テムズ ニコ・パーカー ジェラルド・バトラー ニック・フロスト ほか |
配給 | 東宝東和 |
※9月5日(金)より全国公開
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