FLYING POSTMAN PRESS

強烈な個性、Kroiという集合体

新しいアレンジは常に考えている

──カップリングの『Clay』も独自の世界観があって最高にかっこよかったです。

内田 嬉しいです。最近タイアップが多かったので、自分たちの世界観をちゃんと作り込んだ作品を作ろうという気持ちがあって。ちょっと制作の間が空いて曲の作り方がわからなくなっていたので、みんなが今やりたいことがわかるように、全員で何日間かZoomを繋ぎっぱなしにして、それぞれができたものをガンガン上げていけるように自宅で作業をしたんです。最初のコンセプトは益田さんが出してくれて。

益田 HIP HOPのビートに、リゾネーターギターという、ボディに共鳴板が入っていてブルースなどで使うようなギターを合わせた楽曲を作ってみたいということを提案して。これが初日だったかな。でもその日、怜央は体調が悪くて病院に行ったんです。僕らはその間何をしていいかわからなくて闇鍋状態でグデ〜っとしていて、3、4時間後に帰ってきた怜央に「この方法はダメだ、怜央」って言ったら「諦めんじゃないよ!」と熱く言ってくれて。

内田 嘘! そんな言い方じゃないでしょ(笑)。俺、そういうキャラでやってないんだけど。

益田 でも「すごくいいと思う、頑張ろうよ」みたいな感じで。それで1時間後くらいに、怜央から最初のデータをフックアップして他のパートも入れた音源が返ってきて。体調悪いのに!

──体調悪いのに(笑)。

長谷部 体調いい4人が3時間くらいで諦めて。夜作業してたら千葉さんの部屋だけ真っ暗になってごはん食べに行ってるし(笑)。

益田 そしてできあがったのが『Clay』です。諦めないとこんなことができるんだと感動しました。

──そんな制作ドラマがあったんですね。8月からはホール&アリーナツアーも始まります。アリーナ規模は初開催となりますが、どんな思いがありますか?

 会場的なところもそうですが、今回新しい試みだなと思っているのが、“リリースに紐づいていないツアー”であることなんです。これまでの自分たちの楽曲をいかに新しく、新鮮に聴かせるかというところになるので、武道館やアリーナとは向き合い方がまた違ってくるというか。新曲がなくてもハッとさせられる、今回のツアーに来て良かったと思ってもらえるようなライブができたらいいなと思っています。

──常に自分たちが新鮮さを求めて進んでいるんですね。

 自分たちが飽き性みたいなところがあって、同じライブをしてしまうとフラストレーションが溜まっていくので、アレンジの話は日常的にしているかもしれないです。もしかするとお客さん以上に自分たちが新しい表現をしていきたいと思っているのかもしれないですね。