SPECIAL ISSUEMUSIC
強烈な個性、Kroiという集合体
言葉にならない世界観を伝えたい時に 音楽はとても面白い表現方法だと思う
『SAKAMOTO DAYS』第2クールのオープニング・テーマ『Method』を担当するKroiにインタビュー。今期の世界観を完全に捉えた完成度の高い楽曲を聴かせる一方で、沼のような深さを見え隠れさせながらも肩の力の抜けた5人の空気に、どこか煙に巻かれたような気持ちにもなる…強烈な敵キャラ臭を漂わせる恐るべし、Kroi。
インタビュー後半では、最近影響を受けたカルチャーの話を。メンバーそれぞれからまったく違う話題が次々と飛び出し、あれよあれよという間に加速して転がり、その幅の広さと熱量に改めて驚かされることになる。「覗くな、危険」な香りたっぷりのKroiワールドをお届けします。
取材・文/俵本美奈
戦闘の緊張感と日常の緩急を音で表現
──まずは『SAKAMOTO DAYS』のオープニング・テーマ曲『Method』の制作のお話から聞かせてください。
内田怜央(以下、内田) もとから タイアップのお話をいただいて、『SAKAMOTO DAYS』を知っているメンバーもいたのですが、自分はこのお話をいただいてから初めて知ったのですぐにAmazonで全巻注文して読んだんです。もう、めちゃめちゃ面白くて1日で全部読んでしまって。そこから第2クールとなる部分を何度も読み直してデモを書いて、メンバーと肉付けをして、できあがった感じですね。
──第2クールの特にどういった部分に注目されましたか?
内田 死刑囚編ということで第1クールより戦闘シーンが多くなって、“SAKAMOTO DAYS”らしさが全開になってくるところと、対照的に商店の日常があって、その対比が繰り返されることで生まれる緩急の部分はやっぱり表現したいなと思っていました。
──それをメロディでも歌詞でも表そうと思われた感じですか?
内田 そうですね。最近は音でどれくらい言い表せるかということを考えているので、メロディラインとかビートとか、楽曲を構成するサウンドである程度語って、その上に言葉をつけて、少し補ってあげるという感じで書くことにハマっています。
──その部分をもう少し詳しく聞かせていただけますか。
内田 自分は結構インストも聴くので、インストを聴いた時に思い浮かぶ風景って、音楽の良さだなと思うんです。文字であれば文字の抽象さがあるし、絵なら絵の、映画なら映画の、“ここは考えてください”みたいな抽象さがあると思うんです。
──観た人に委ねる余白のような。
内田 そう、その中で音楽って抽象的に書ける部分がすごく大きい表現方法だなと思っていて。言葉にならない、自分が考えている世界観が伝わりづらいけどどうにか人に共有できないかなという時の方法のひとつになるというか。そうした言葉にならないコンセプトを頭の中に思い浮かべて、音にして、そこにプラスして言葉で補完していくみたいな作り方をしていきました。
──そこに『SAKAMOTO DAYS』の映像が合わさって、より作品への気持ちが高まるオープニングとなっています。
長谷部悠生(以下、長谷部) やっぱり自分たちの曲で好きなキャラが動いているというのは感慨深いですね。
益田英知(以下、益田) 音にバッチバチに映像を合わせてくれていて、かっこよくて感動しました。
関将典(以下、関) 『SAKAMOTO DAYS』って日常と殺し屋というかけ離れた世界が共存していて、それがありそうでなかった感覚というか。何を使ってでも殺しができるエリートな坂本だからこそほのぼのとした日常生活を送っていても殺し屋の一面を覗かせるところがあって、シリアスな場面はめちゃくちゃかっこいいし、一方でふっと笑っちゃうコメディ要素もあるから、そのコントラストもすごくいいなと思います。
千葉大樹(以下、千葉) 坂本家の家訓に「殺してはいけない」というのがあるのが僕は好きです。こんな作品で「殺す/殺さない」の葛藤があるって面白くないですか? そこがジャンプっぽいというか。
益田 たしかに。愛があるよね。
左から千葉大樹(Key.)、内田怜央(Vo.)、益田英知(Dr.)、長谷部悠生(Gt.)、関将典(Ba.)
──Kroiの皆さんって、『SAKAMOTO DAYS』の中にそのままキャラクターとして出てきそうですよね。
全員 (爆笑)
長谷部 『クレヨンしんちゃん』の悪役に憧れているところがあるので、そういうところが出ているのかもしれないですね(笑)。個性的な敵キャラみたいな。
益田 敵キャラだよね。(関さんを差しながら)どう? 味方に欲しい?
内田 倒したいでしょ、みんな(笑)。