CINEMASPECIAL ISSUE
水上恒司と髙石あかりがお菓子役
「たべっ子どうぶつ」が劇場アニメに 国民的お菓子役の水上恒司と髙石あかり ふたりの心に響いた素敵なメッセージ
1978年生まれの国民的お菓子「たべっ子どうぶつ」が、ついに劇場アニメーションになる。このニュースに「お菓子の映画化ってどういうこと?」と、驚いた人も多いはず。
お菓子と人間が共存するスイーツランドを舞台に、世界的人気を誇るスーパーアイドルグループ「たべっ子どうぶつ」が、この世のすべてのお菓子を排除しようとする最凶の敵に立ち向かう姿を描く劇場アニメーション『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』がGWのど真ん中、5月1日(木)に公開となる。武器なし、策なし、意気地なし。モフモフかわいいだけが取り柄の「たべっ子どうぶつ」が世界を救うなんてことできる…かどうかは観てのお楽しみだ。
注目のボイスキャストから、「たべっ子どうぶつ」のパッケージを彩るお馴染みのキャラクターであるぞうくんを演じる水上恒司と、映画オリジナルキャラクターのぺがさすちゃんを演じる髙石あかりに映画の魅力を語ってもらった。
写真:徳田洋平 【水上恒司】スタイリング:藤長祥平 ヘアスタイリング&メイクアップ:Kohey(HAKU) 衣装協力:ジャンプスーツ 143,000円(カズキナガヤマ/スタジオ ファブワーク TEL03-6438-9575) 【髙石あかり】スタイリング:金田健志 ヘアスタイリング&メイクアップ:住本 彩 取材・文:佐藤ちほ
お菓子だけど人間味があるキャラクター
──人気のお菓子「たべっ子どうぶつ」が映画になると最初に聞いた時にはどんなことを思いましたか。
髙石 「たべっ子どうぶつ」は昔から食べていたお菓子ですし、最近ではパッケージのキャラクターがグッズ化されていたりして、それも好きだったんです。「たべっ子どうぶつ」のガチャガチャとか回したりしていたりして。だから、オファーをいただいた時には自分が好きなものの一員になれるといううれしさがありました。知らない人はいない有名なキャラクターたちが、映画の中でどう描かれるんだろうと想像が膨らんで。また、その中で私は新メンバーのぺがさすちゃんをどう演じていけるのかなと、ワクワクしました。
水上 僕は子どもの頃はあまりお菓子に興味がないほうで、そんなに食べていたわけではないんです。そんな僕でも「たべっ子どうぶつ」は知っていました。すごく有名なお菓子というイメージがありましたね。最近、しみチョコとコラボした商品もあったじゃないですか。
髙石 「たべっ子水族館」ですか?
水上 そう。あれ、うまいですよね。『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』が成功すれば、次は『たべっ子水族館』ができるのかなと思ったりしています。
髙石 『たべっ子水族館』には私たちは出演できないですけど(笑)。
水上 でも、いつかは「たべっ子どうぶつ」と「たべっ子水族館」のバトルを描けるんじゃないかな。
髙石 そことそこは戦わないでほしいですけど(笑)。
水上 いずれバトル映画になるだろうと勝手に想像しています。
髙石 まずは今回の映画からです(笑)。
水上 今回、僕はぞうくん役の声優としてオファーをいただいたんですが、実はこれまでアニメーション作品の声優のオーディションを何度か受けていて、ことごとく落ちてきたんです。だから正直、オファーをいただいた時には“大丈夫かな。僕の(声の演技の)未熟さ具合をみなさんご存じなのかな?”と。でも、そんな僕に期待してぞうくん役を託していただいたからには応えたいと思いました。
──オファーを受けた時点で、脚本や絵コンテは仕上がっていたのでしょうか。
水上 脚本はありましたよね?
髙石 ありました。あと、私は一緒に映像もいただいたんです。
水上 そうなんだ。
髙石 はい、結構画ができあがっているものをいただいて。映画の冒頭のライブシーンもある程度できていて。それが自分の想像を超えていて、本当にすごい映像だったんです。
水上 僕は最初、脚本を読ませてもらいました。映画の冒頭に僕らが演じる「たべっ子どうぶつ」が生まれた経緯が語られるシーンがあって。“スイーツランドのカヌレ山に隕石が落ちて…”みたいな感じで語られるんですが、科学的根拠は何もないんです。専門家も「どうしてこうなったか説明できません」みたいなことを言うんです。
髙石 そうですね(笑)。
水上 それでも問題なく物語が進んでいくという。僕や髙石さんが普段ベースにしている実写作品では、そのあたりツッコまれないように何かしらの根拠をもたせるのが通常のやり方です。でも、この作品ではあえて解明せずに物語を進めるんだと。それがすごく新鮮で。
髙石 序盤も序盤ですけど(笑)。
水上 いつか、『たべっ子水族館VSたべっ子どうぶつ』が作られるならば、なぜ僕ら「たべっ子どうぶつ」が生まれたのか、科学的に解明されることを期待しています。
髙石 ずっと次作に向けた発言をされていますが、まずは今回の映画ですよ(笑)。
水上 その通り。まずは今回の映画です。
──物語全体はどんなふうに感じましたか。
髙石 豊かな物語性がある作品だと感じました。特に後半はどんでん返しもあったりして、自然と引き込まれていきました。あと、印象的だったのがキャラクターです。私たちが演じる「たべっ子どうぶつ」は“見た目が動物のお菓子”ですが、すごく人間味があると感じられて。
水上 確かに僕らが演じるのは人間ではないんですが、人間味がありますよね。そこが素敵だと思ったし、子どもだけではなくて大人にも響く部分なのかなと。そういった作品の一端を担えることがすごくうれしかったです。
髙石 私が演じたぺがさすちゃんも人間味のあるキャラクターだったので、これまでのお芝居の仕方を混ぜながら演じられました。
──髙石さんは劇場アニメーション『きみの色』(2024)でも声優を経験されています。その経験は生きましたか。
髙石 『きみの色』で演じた役とぺがさすちゃんはまったく違う役でしたし、やっぱり、今回も難しかったです。つい技術的なことに集中してしまいがちなんですが、技術に気を取られ過ぎるとなかなか届くものにはならないという実感があって。普段のお芝居では自分の中で燃やし続けていれば自然と表情とかににじみ出て、そこから何かが伝わると思っています。でも、声だけで演じる時にはそうはいかないんですよね。感覚で言ったら、“自分の中で感情を膨らませていって、その感情を声に移して届ける”という感じ。そういう部分は今回も難しく感じました。
──水上さんは初めて声優を務められましたが、いかがでしたか。
水上 難しかったです。僕は楽しいとはみじんも思えなかったです。悪い言い方に聞こえるかもしれないですが、それぐらい自信が持てなかったということで。僕が収録した時には、わにくん役の立木(文彦)さん、ひよこちゃん役の間宮(くるみ)さんの声があてられている状態だったんですが、やっぱりプロの声優さんたちの技術はすごいなと思いましたね。それに比べ、台詞回しが器用ではない俳優の僕は大丈夫かなと、正直不安でした。どれだけそのあたりのギャップを埋めていけるのか。今回の収録はそういう作業になったと記憶しています。