CINEMASPECIAL ISSUE
新春エンタテインメント・ムービー
九龍城砦、男たちが繰り広げる死闘
監督は『ドッグ・バイト・ドッグ』(2006)や『リンボ』(2021)などを手がけるソイ・チェン、主要キャストはルイス・クー、レイモンド・ラム、テレンス・ラウ、サモ・ハン、アーロン・クォック、リッチー・レンら香港映画界のニュースターとレジェンドたち。無法地帯として知られ、今は失われた九龍城砦で黒社会の男たちが繰り広げる死闘をスケール感とエモーションたっぷりに描き、香港映画歴代1位の動員数(※2024年9月時点)を記録。さらには第97回アカデミー賞国際長編映画賞の香港代表作品に選出されるなど、そのクオリティも高く評価されている。
1980年代、香港へ密入国した青年・陳洛軍(チャン・ロッグワン)は黒社会の掟に逆らったことで組織に追われ、運命に導かれるように九龍城砦へ逃げ込む。そこで住民たちとの絆を深めながら仲間と出会い、友情を育んでいく。やがて九龍城砦を巻き込んだ争いが激化する中、陳洛軍とその仲間たちはそれぞれの信念を胸に、命を懸けた戦いに挑む。
『るろうに剣心』シリーズ(2012~2021)やドニー・イェン出演作を手がける谷垣健治がアクション監督を担い、圧巻のアクションシーンを連発。さらに、幅の広い音楽性を持つ川井憲次が手がけたビジュアルとシンクロする音楽、約10億円の製作費を投じた九龍城砦のセットなども注目ポイントに。香港アクションの王道とも進化系とも言える会心作が誕生した。
エモーショナルな物語とアクションの融合
かつて香港の九龍半島に位置し、清朝時代に軍事拠点として築かれた要塞都市=九龍城砦。その後、統治権があいまいになったことで独特な都市環境へと変貌を遂げた。そして第二次世界大戦後、香港が急速に発展していく中で九龍城砦は無法地帯となり、人口も爆発的に増加。違法建築が上下に積み重なり、いわゆる都市迷路となっていった。
香港の黒社会を象徴する場所であり、同時に社会から取り残された人々の暮らしがあり、絶望だけではなく希望が渦巻く場所でもあった九龍城砦を、綿密なリサーチを重ねた上で見事に映画のセットとして蘇らせている。その芝居場を観るだけでも胸が熱くなる上、そこで男たちが互いの信念を胸に死闘を繰り広げるわけだ。友情の物語と継承の物語が絶妙に折り重なり、アクションも単に観客を驚かせるだけのものにはなっていない。香港アクションのお家芸である拳法を中心にしつつ、それぞれのキャラクターに合った武器も巧みに使い、都市迷路で縦横無尽に繰り広げられるアクションはまさに圧巻。さらに、戦うその姿に大切なものを守りたいという思いがにじみ、どうにも熱いものがこみ上げてくる。描きたいのはバイオレンスではなく人間の感情であることが、しっかりと伝わってくる。
王道を引き継ぎつつ、随所で進化を見せる香港アクションがここに。アクション+男たちのドラマで存分に熱くなれること間違いない。
『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』
https://klockworx.com/movies/twilightwarriors/
2024年/香港/125分/PG12
監督 | ソイ・チェン |
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アクション監督 | 谷垣健治 |
音楽 | 川井憲次 |
出演 | ルイス・クー レイモンド・ラム テレンス・ラウ フィリップ・ン トニー・ウー ジャーマン・チョン リッチー・レン サモ・ハン アーロン・クォック ほか |
配給 | クロックワークス |
※1月17日(金)より新宿バルト9ほかにて全国公開
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