MUSIC
ハンバート ハンバート最新作が到着
最新アルバム『カーニバルの夢』は “夢”をテーマに繋がる12曲
11月27日に12枚目となるオリジナルアルバム『カーニバルの夢』をリリースしたハンバート ハンバート。収録された12曲はそれぞれにテイストの違う楽曲でありながら、見た夢や思い描いた夢といった“夢”で繋がり、さまざまに生きる登場人物たちの物語が広がる。
楽曲制作と作詞作曲を担当する佐藤良成は、結成から26年を迎えてもなお「変わることのない理想形を追い求めて試行錯誤」を続けていると言い、伸びやかで力強い歌声を聴かせる佐野遊穂は「“歌”って難しい」と言う。音楽に真摯に向き合い続けるふたりに、今作について話を聞いた。
取材・文:俵本美奈
この新曲がまだどんな曲かはわからない
──『カーニバルの夢』は何度もリピートして聴き続けたくなる、とても心地良いアルバムでした。完成して、今どんな気持ちでおられますか?
遊穂 これから、かな。このアルバムが自分の中にインストールされて自分とひとつになるのって、これからツアーで楽曲を歌っていく中でなんです。ライブでお客さんに聴いてもらって、お客さんが感じているものがこっちまで波のように届いて、そこで自分も“『カーニバルの夢』というアルバムってこんな感じなんだ”というのがわかってくるというか。
良成 アルバムって新曲だから、僕たちもいちばん慣れていないんですよね。それに何百回練習するよりも、人前で1回歌うほうが歌がグッと育つというところはあるよね。
遊穂 そう。だから、この曲がどんな曲か、まだよくわかんない(笑)。自分なりの曲の印象は1曲1曲に対してあるんですが、それは自分がそう思い込んでいるだけだったりするから。
──そういう感覚なんですね。
良成 遊穂はそうなんですよね。逆に私は完成するまでに曲を作ってアレンジして調整して、それぞれの曲を何千回と繰り返し聴いているので、ふたりでだいぶスタートが違うんです。
──自分のおなかを痛めて子どもを産んだお母さんと生まれてきて初めて子どもと向き合っていくお父さんみたいですね(笑)。
遊穂・良成 そうかもしれない(笑)!
良成 まさに、私は子どもは産んでいないけど、音楽に関してはそれに近い感覚があります。だから今はちょっとほっとしているような、疲れた…という感じですね(笑)。やれることはやり尽くしたというか。でもお客さんの前にふたりで立って大きな音で響かせて曲を聴いてもらうのは、曲を作るのとは頭の全然違う部分を使う感覚なんです。アルバムを作る時にはライブでこれをどう演奏するかということは考えずに作っているので、今はライブに向けた準備をしているところです。
──曲を作る時にはライブのことは想定されていないんですね。
良成 以前は今よりライブの頻度も高くて、ライブを想定して作っていた時もあったんですが、最近は“この曲はこういう風にしたい”というイメージにすなおに従って広げています。ライブのことはとりあえず後で考えようって感じで(笑)。今回もツアーでどう再現するのかは一切考えずに作ってしまったので、これをどうお客さんに観せるか、ライブのアレンジを考えているところです。
遊穂 自分がどの楽器を弾くか、からだよね(笑)。
良成 そうそう。とりあえず自分の担当は決まりました。