FLYING POSTMAN PRESS

眉村ちあきが語る最新作『うふふ』

眉村ちあきの7thアルバムは
うふふな日常に寄り添う作品

 高い歌唱力に加え、ユーモアのあるサンプリング、トラックメイク技術、明るく自由奔放なキャラクターに注目が集まる弾き語りトラックメーカーアイドル・眉村ちあき。

 先日発売したオリジナルアルバム『うふふ』には、デビュー5周年を迎えた眉村の、表現者として、そしてソングライターとして飛躍を感じる全14曲が収録されている。声帯嚢胞という初めての物理的な歌手人生の分岐点を越えた彼女が本アルバムに込めた思いを聞いた。

取材・文:山中歩



アーティストはやさしくなれる職業

──『うふふ』というタイトルにはどんな思いが込められているのでしょうか?

眉村 日常でうふふな気分になるときってあると思うんです。私だったら絶妙な火の通り具合の半熟卵ができたり、コンビニで大好きな紅茶豆乳を見つけたり。そんなときに聴いてほしいアルバムです。特に「とっておき」は最高だった日の気持ちを取っておいて、元気がない日に引っ張ってこられたらいいのにという曲なので、みなさんの日常で少しでもうふふな出来事があったのときに聴いていただきたいですね。

──今作には声帯嚢胞手術をする前と後の曲が収録されています。手術前後で声はどのように変化しましたか?

眉村 声帯嚢胞が息の通りを妨げていたことで、自分でも意図しないところでハスキーボイスになってしまっていたのですが、それはそれで大人っぽくかっこよくて。だからハスキーボイスだからこそ表現できる切なさを出したい曲は手術の前に収録をしておきました。声帯嚢胞とは約半年ともに過ごしましたが、その時期ならではの創作活動ができたと思います。手術を担当してくださったお医者さんがすごくいい人だったので、不安なく手術に望めましたし、手術後は無事声帯嚢胞ができる前の声に戻りました。

──手術が物理的な歌手人生の分岐点だとすると、歌手になろうと決意したタイミングが精神的な分岐点のひとつだと思います。

眉村 高校卒業後、看護学校に行こうと願書も書いていました。でも看護って若くなくても学ぼうと思えば学べるじゃないですか?だったら歌手になりたいというティーンの衝動を優先したくて進路を変更しました。なにごともやってから考えればいいというマインドなので、歌手を目指すことに不安はなかったです。むしろ活動を始めてからのほうが、どんどん繊細になっていって泣いたり怒ったりすることが増えました。ちゃんみなさんがアーティストは「心の健康には悪い職業」と言っていましたが、まさにその通りだと思います。でも、大御所のアーティストさんは決して人を傷つけるような発言はしない、女神のような方が多いんです。人前に出ることが多く、人の痛みをより強く感じることも多いからこそ人にやさしくなれる職業でもあるので、悪くない職業です。

──心の健康を守るためにしていることはありますか?

眉村 もともとあまり寝たくないし休みはいらないと思っていたのですが、手術前後に休まざるを得なくなって、休むと元気になることに気がつきました。だからしっかり休むこと。そして仕事以外のことに熱中することも大切です。最近は『名探偵コナン』のアニメを観すぎて、事件が起こったときに流れる不穏なBGMを聴くと落ち着くようになってきました(笑)。

行動の理由はやってみたいからでいい

──ギターを持って弾き語りをするスタイルはどの様に確立されたのでしょうか?

眉村 最初は楽器が弾けなかったのでDTMで曲作りをしていたのですが、ライブに出るようになってなにかを持ちたいなと思ったんです。そのとき周りギターを弾いている人が多かったのでギターにしました。だからピアノを弾く人が身近にいたらピアノにしていたかもしれません。小室哲哉さんみたいに複数のキーボードを弾いたり、銅鑼などの中華系の楽器を使ったりしてのライブもいつかしてみたいですね。

──曲作りはどの様に勉強されましたか?

眉村 音楽って正解がないものなので、特に勉強はしていなくて。メロディは子どもがオリジナルの曲を歌いながら歩いているのと同じような感覚で作っています。歌詞は印象的な出来事や作りたいテーマをメモしておいて、そこから膨らませていきます。例えば『Pitapat』は友だちと3人で旅行に行ったときに2000円台のオムライスを食べて、高級ホテルのラウンジでコーヒーを飲んだという事実があって、もし友だちではなくて好きな人と来ていたらと置き換えてみました。「季節風」は恋愛リアリティ番組を観て、高校生の気持ちになって書いた曲です。高校時代のまっすぐで語彙力がなくなっちゃうような恋愛を歌詞にしたので、若い世代に共感してもらえると思います。

──ボーナストラックの『オー!サカナ!!』は本作では唯一眉村さんの作詞作曲ではない曲ですが、歌うにあたって自身で作られた曲との違いは感じますか?

眉村 全く違います。他の人が作った曲はどうしてこの譜割りやメロディラインになったんだろうって気になっちゃうんから自分が作った曲よりも覚えるのが大変で…。しかもこの曲はサカナの名前が多すぎて本当に難しかったです。ちなみに水産物ではウニと生しらすが好きで、最近はエンガワとエイヒレの炙りにもハマってます。

──新曲の『幸福ミュージック』は聴いていると自分の存在を肯定してもらっているようで幸せな気持ちになる曲で、MVも曲にピッタリなかわいらしいものになっています。

眉村 日本では憲法で幸福追求権が保証されているんです。それってとても素敵なことなのに、意外と知られていないので、みんなにそのことを伝えたくてこの曲を作りました。ラブリーなデビルが好きな男の子を弓矢で刺すMVは監督のアイデアです。女子が多い撮影現場だったので、女子校みたいな雰囲気でとても楽しかったし、盛れている映像をたくさん使ってくださっているのが嬉しいです。

──株式会社を立ち上げたり、映画やドラマに出演されたりと、歌手の枠を越えて様々なチャレンジをされていますが、今後挑戦してみたいことは?

眉村 有村架純さん主演のドラマの曲を書くのが夢の一つです。スタジアムやドームでのライブもやりたいし、海外アーティストと国を越えたコラボもしてみたい。楽曲提供も頑張っていきたいです。

──FLYING POSTMAN PRESSのコンセプトは<GOOD CULTURE, GOOD LIFE>です。影響を受けたカルチャー作品はありますか?

眉村 「うちの三姉妹」というアニメで、次女のすーちゃんがお箸をコップに入れてガチャガチャ混ぜていたのをお母さんが注意したら「なんで?だってやりたいんだもん」って答えるシーンがあって。それを観て、何かをする理由はやってみたいからでいいんだと気づきました。音楽的にはいろんな方から少しずつ影響を受けていますが、強いていうならビヨンセさんです。ライブをしているときの姿や表情がまるでライオンみたいでかっこいいですよね。私もそのくらい気合を入れて歌いたいといつも思っています。


眉村ちあき

高い歌唱力に加えギターを弾き語りするスタイル、さらにユーモアのあるサンプリング、トラックメイクの技術、明るく自由奔放なキャラクターで大注目の弾き語りトラックメイカーアイドル。はじめまして松尾ですとのタッグでも話題の日清食品「カップヌードルPRO」TV-CM、TVアニメ「ちみも」オープニング主題歌、さらにTOKYO FM「Roomie Roomie!」のパーソナリティを担当するなど精力的に新しいことへのチャレンジを続けている。


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