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Aoooのはじまりを石野理子に聞く
これまでと違うことをするのは 面白いかもしれないと思った
元・赤い公園の石野理子(Vo.)、すりぃ(Gt.)、やまもとひかる(Ba.)、ツミキ(Dr.)の4人が結成したバンド・Aooo(アウー)が、2023年9月に初ライブを行い、世のバンド好きたちをザワつかせて1年。
先日9月16日には1周年記念ライブをShibuya eggmanで行い、10月16日にはセルフタイトルを冠した1stフルアルバム『Aooo』をリリース。アルバム発売記念として新宿・歌舞伎町でフリーライブも行われ、いよいよ本格始動の気配だ。
今回のインタビューでは、Aoooのはじまりを記録すべく、今石野理子が感じているAoooについて聞いた。4人の才能が詰め込まれた1stアルバムをリピートしながら、12月に控える初ワンマンツアーを心待ちにしたい。
ヘアスタイリング&メイクアップ:芳賀奈々美 取材・文:俵本美奈
楽曲制作に携わることで、覚悟を決めた
──今日はお聞きしたいことがたくさんあるのですが、まずはAooo結成の経緯から聞かせていただけますか。
石野 ドラムのツミキさんとベースのやまもとひかるちゃんが、あるアーティストのライブの打ち上げ会場で意気投合して、ノリで一緒にバンドを一緒にやってみたいという話になって。ツミキさんがもともと親しかったギターのすりぃさんに声をかけて3人集まったところでボーカルに私を候補に挙げてくださり、スタッフさんたちを通じて話をいただきました。私は音楽的な広がりは持ちたいと思っていたのですが、赤い公園での活動を終えたばかりということもあって、バンドをすることにはまだためらいもあって。でも話を聞くと3人が遊び心を持ってバンドをすることを重視しているんだと感じて、これまでと違うことをするのは面白いかもしれないと思って参加することにしました。
──それがいつくらいだったんですか?
石野 Aoooで最初にライブをしたのが2023年の9月で、メンバーがまとまったのがその1ヶ月ほど前の8月頭くらいで。ライブまでのスパンが短かったので、結成が決まったその場でバンド名などいろいろ決めて。楽曲はセルフカバーというか、メンバー各々の楽曲や提供曲をカバーしたり、そのライブに向けてオリジナル曲を1曲作りました。それが『アパシー』という曲で、バンド名のAoooが犬の遠吠えに近いなというところから、スタジオで遠吠えっぽいギターの音を鳴らしてみて、じゃあリズムはこんな感じがいいかなとかホワイトボードにコードとかを書いてみんなで話し合いながら作って。これも本当にライブの直前にできて…(笑)。結成ライブはそんな感じでした。
──最初はためらいもあったところから加入を決めて、あっという間の初ライブ。そこまでに何か気持ちの変化はありましたか?
石野 初めてのオリジナル曲を作るとなった時に、リハも後半に差し掛かってきていて私も主体性を持ってバンドをやりたいと思ったので、自分が詞を書いてみようと思いました。メンバー全員が作詞作曲できるから誰がやっても良かったのですが、私も新しいことに挑戦したいと思ったし、その気持ちをお客さんにも届けたいなという思いもあって。積極的に関与していくことで自分の覚悟を固めていったというか。
──そうだったんですね。では石野さんからご覧になったメンバーの印象を聞かせていただけますか。
石野 陽のイメージを持ったメンバーがベースのひかるちゃんとギターのすりぃさん、ちょっと陰というか憂いのあるイメージを持ったメンバーが私とドラムのツミキさん。ちょうどバランスが取れていて、ひかるちゃんとすりぃさんはムードメーカーで現場を明るくしてくれています。ひかるちゃんはアカデミックな知識を本当にたくさん持っていて、音楽的なことも感覚的ではなく知識にもとづいているんだなと感じます。
──すりぃさんはいかがですか?
石野 すりぃさんはひかるちゃんと似ているところもありつつ、より直感的に動いている人だなと感じます。制作もフィーリングでしているところが強みで、みんなが真面目に考え込んじゃうところでも“こんな感じでいいんじゃない?”みたいな程よい適当さがあって、グループをまとめてくれています。
──ツミキさんはどうですか?
石野 ツミキさんはいつもちょっと一歩引いて見ていて、よく考えて何か言ってくれる感じがあります。ひかるちゃん、すりぃさん、私、それぞれにテンションを合わせて話してくれて、バンドの方向性をどうするかだったり曲のことだったり、大切なところではズバッと言ってくれるので頼りになります。
──石野さんはAoooの中ではどんな感じですか?
石野 私はどうなんだろう…? この間メンバーから言われてすごい恥ずかしかったのは、「理子ちゃんはすごいがんばってくれてるから」と言われて。がむしゃらにがんばる“がんばり屋さん”という印象があるみたいです(笑)。Aoooというバンド名はみんなの血液型を合わせて付けたのですが、私は4人の中で唯一A型なので、みんなが気づかないところに気づいたりしているところはあるかもしれないです。
──普段の石野さんとAoooの中にいる時とでは何か違っていたりしますか?
石野 テンションは明らかに高めで、明るいメンバーふたりの空気に自然と引っ張られて、気持ちの温度が高くなっているところがあると思います。スタジオでもひかるちゃんとすりぃさんが話していると必ずふざけてどこかでボケが入ってくるので、私はひたすら笑ってます(笑)。そこに関西人のツミキさんがツッコミを入れてくれる感じです。